在庫管理の自動化に活用されるセンサー技術

在庫管理システムは日々進化しています。
一度に多数の在庫が確認できたり、置くだけで在庫が確認されたりするなど、自動化、省力化が進んだシステムが実用化されています。この記事では在庫管理システムに活用されるさまざまなセンシング技術を紹介します。

在庫管理は業績改善を考えるうえで重要な業務のひとつです。
有名な「Just in time 生産システム」のように、徹底した在庫管理対策によって業績が向上した事例は数多く紹介されています。

しかしその一方で、在庫管理業務は「大事な仕事だけれど手間がかかる大変な仕事」というイメージを持たれがちです。
一般的な在庫管理業務は作業者が倉庫に籠って品物の数をチェックしていくという方法で行われます。この作業には時間と労力が必要です。そしてこのような人手による在庫管理では、チェックした数量が実際の数量と合わず数え直すといった苦労が日常的に発生します。在庫管理を「手間がかかる大変な仕事」と感じても仕方がないかもしれません。
また、このような手間のかかる作業では、作業者の人的コストも大きくなりがちです。

この問題を解決するため、在庫管理の省人化、自動化を実現する様々なシステムが開発、導入されています。

最も普及しているシステムはバーコードによる管理システムです。製品についたバーコードをハンドスキャナーで読み取ることで製品名と数量が自動的にデータベース化されていくので、間違えることが無く、確認のスピードも速くなります。
しかしこのシステムでもバーコードの読み取りは作業者が行います。そのため、読み取り落としといったヒューマンエラーの懸念は残ります。

こういった背景から、より確実に自動化、省人化されたシステムの開発が進められています。

2.在庫管理システムのIoT化を支えるセンサー技術

新しい在庫管理システムの開発では、IoT(Internet of Things)の技術が積極的に活用されています。ここからは、バーコードシステムに代わる新しい在庫管理システムを紹介していきます。

RFIDタグによる在庫管理

RFID(radio frequency identifier)タグによる在庫管理は、タグに書き込まれた情報を無線通信により読み取ることで行われます。

製品の情報が書き込まれたRFIDタグを貼り付けることで、無線の届く範囲であれば一度に多くの製品情報を読み取ることができます。

バーコードとは異なり、箱に隠れていたり、汚れて見えなくなっていたりしても読み取れるので、製品を動かすことなく、離れた場所から在庫管理が行えます

短所としては、バーコードと同様に全ての在庫にRFIDタグを貼り付ける必要があり、貼り付けの手間がかかります。また、RFIDタグはバーコードよりも割高であり、読み取り装置も大きくなるので、在庫の種類や数が多くなる際には導入コストが大きくなります。

画像認識による在庫管理

画像認識による在庫管理は、カメラで撮影した画像を解析することで、在庫の種類や数を判別して行われます。

タグを全ての製品に取り付ける必要がなく、撮影するカメラを設置してシステムに接続すれば在庫管理が行えます。

短所としては、在庫が全て見える状態になっていなければ確認が行えず、在庫の置く位置や方向に注意が必要になります。

箱に入ったものも確認できません。中身が異なっていても、外観が全く同じ形や色の物は同じ在庫として数えられてしまいます。

その場合、見分けるための識別マーク等を取り付ける必要がでてきます。

圧力センサーによる在庫管理

圧力センサーによる在庫管理は、センサーの上に置かれた在庫の重さを検知して、在庫の残量の確認を行います。

センサー上に置かれた物品は自動的に検知されるので、置き位置や方向に注意する必要はありません。タグなどを取り付ける必要もありません。

短所としては、圧力センサーに厚みがあると高さの低い棚などに設置することが難しくなります。また、計測できる値は、圧力または重量のため、数量を把握するためには、その商品の圧力や重量を事前に把握している必要があります。

NISSHAが開発する欠品検知センサーの紹介

NISSHAでは、在庫管理や棚管理に活用できる欠品検知センサーを開発しています。
NISSHAの欠品検知センサーは、次のような特徴を持っています。

欠品検知センサーの特徴

列単位での欠品を検出

センサーは感圧式で、15mm程度のピッチでライン状に複数のセンサーを配列した構成になっています。
加重の有無によりON/OFFが切り替わるので、棚の列ごとに商品在庫が残っているかどうかを検知することができます。

かさばらず、収納性に優れたシート型センサー

シート型センサーはかさばることなく棚上に設置できます。また、センサーの制御装置は棚の裏側に収納できるため、複雑な配線は不要です。

通信プロトコルはModobusを採用

産業用機器で使われている一般的な通信プロトコルであるModobusを採用しているので、出力したデータを他のシステムと容易に連携することができます。

欠品検知センサーの詳細は製品webサイトで紹介しています。以下のバナーより、製品サイトをご覧ください。

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