小型化・薄型化が進む電化製品において、微小なスペースに電子部品を設置する必要性が高まっています。
しかし、小型の電子デバイスではスペースが限られており、部品設置スペースの確保は簡単ではありません。
この課題を解決する技術のひとつが、樹脂パーツに電子部品を一体化するインサート成形技術です。
インサート成形技術を使えば、従来工法では設置が困難だった箇所に電子部品を設置することが可能になり、デザイン・機構設計の自由度を向上させることができます。
さらには、インサート成形でしか実現できない機能・性能向上の可能性を提供します。
本ページでは、電子部品の一体成形プロセス、電子部品をインサートするメリット、
および、電子部品の中でLEDを取り上げ、樹脂パーツにLEDをインサートする事例についてご紹介します。
電子部品をインサート成形するプロセスは、とてもシンプルです。
金型に筐体パーツの表面となる意匠フィルムと電子部品を搭載した電極フィルムまたはFPCをセットし、射出成形することで、樹脂成形と同時に電子部品および配線のインサートが行われます。
このシンプルな製造プロセスにより、組立工程・製造コストの削減、部品調達・部品管理の簡素化を実現します。
樹脂パーツに電子部品をインサートするメリットは多数ありますが、代表的な3つをご紹介します。
●限られたスペースへの部品設置
インサート成形により、限られたスペースに電子部品を設置することが可能です。
従来工法では難しい深い凹凸形状といった特異形状にも適用可能です。
また同時に、製品の小型化・薄型化・軽量化にも寄与します。
●高信頼性・高耐性
一体成形により電子部品が樹脂パーツに埋め込まれた形で固定されるため、
振動に対する信頼性に優れます。
●製品の機能・性能向上
インサート成形でしか実現できない機能・性能向上の可能性を提供します。
適用例
・ LED:光の取り出し効率の向上
・ ヒーター:熱伝導性の向上
・ 各種センサー:センシング性能の向上
●限られたスペースへの部品設置
ボタンキャップにLEDをインサートした事例です。
内部径9mmのボタンキャップにLEDをインサート成形しています。
ボタンキャップに静電センサーとLEDがインサートされています。
このような限られたスペースには、従来技術ではLEDを設置することは困難です。
両面テープなどの接着剤による極小スペースへの貼り合わせには、手間のかかる手作業が必要で、コストも時間も要します。
樹脂パーツに電子部品をインサートし同時成形することによって、このような深い凹凸形状にも対応することが可能です。
●高信頼性・高耐性
一体成形により、LEDが樹脂パーツに埋め込まれた形で固定されるため、振動による位置ズレやパーツの欠落が発生しません。
従来技術である両面テープなどの粘着剤は、貼り合わせる面積が小さくなるほど強度が低下します。
樹脂パーツに電子部品をインサートし同時成形することによって、LEDをしっかり固定することが可能です。
●製品の機能・性能向上
LEDを筐体パネルにインサートすることによって、LEDから発せられる光の取り出し量を向上させることができます。
LEDをPCBに実装した場合、筐体パネルとの間にエアギャップが存在し光の反射が発生してしまいます。
インサート成形では筐体パーツにLEDが一体成形されるため、エアギャップがなくなり、光の取り出し効率が向上します。
省電力化が重要な課題となる小型製品において、効果を発揮します。
・LEDと筐体パネルの間にエアギャップが存在するため、光のロスが発生する
・基板と筐体パネルが別パーツのため、製品の小型化が難しい
・樹脂パーツと一体化されているため、光のロスを低減
・製品筐体とLEDおよび配線の一体化による小型化・薄型化
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