先進国では高齢化、人口減少が進み、国力の低下が予想されている昨今、輸入に頼らない地産地消を始めとした持続可能な成長を支持する考えが定着してきている。
深い考えを持って消費する人々は商品のバックグラウンドにある人件費や輸送コストについても知った上で商品を選ぶ傾向にある。
一過性の衝動よりも、タイムレスな価値を求め、伝統や自然から生まれる美意識を重要視する方向性。

自然災害やテロなどによって、平穏であることの価値を重視する考えが広がりつつある。
成長、拡大を謳う消費社会に疑問を持ち始め、ものに溢れた生活をリセットするミニマリストの考えは日本から世界へと広がっている。
物の本質を大切にし、シンプルで機能的な美しさを基調とする傾向。

大人も子供も多忙な日々に追われ、一人で食事をする人の人口は年々増加傾向にあり、家族の絆や精神と健康のバランスを取り戻したいと願う人々が増えている。
つながりっぱなしのオンライン疲れや、運動不足による体力低下などから、19世紀半ばに文明から離れ、森でのシンプルな生活を選んだアメリカの思想家ヘンリー・D・ソローの生き方に共感する人々。

戦争や移民問題に直面している一方で、SNSでの交流は国境から人々を解放し、リアルとバーチャルの境界はぼやけてきている。
マーケティング競争で数値化された好感度は、個性を消した同じような商品を産み出し、オリジナリティーが失われ始めていることに危惧する人々は人工、自然、文化や性別を超越したようなフレキシブルなアイデンティティーの存在に惹かれ、多様性を受け入れる社会が進みつつある。