モビリティ外装の新たなCMFデザイン
塗装やめっきといった従来の自動車外装加飾は、それぞれ独自の魅力を持っていますが、表現できる色や質感の制約、そして環境への影響が課題となることもありました。NISSHAが提供する加飾フィルムのインサート成形技術は、こうした課題へのソリューションとなります。
フィルムインサート成形とは、高精細なグラビア印刷技術を用いてデザインを施した加飾フィルムを、射出成形と同時に金型内で樹脂パーツ表面に一体化させる工法です。この技術を自動車の外装に用いることで、塗装では難しかった複雑な模様や繊細な質感までも表現でき、デザインバリエーションは格段に豊かになります。高精細で多様なデザインを外装パーツに表現することは、CMFデザインにおける表現の可能性を大きく広げるものです。
加飾フィルムによる豊かなデザイン表現の例をいくつかご紹介します。


① モダンな印象を刻む、精緻な幾何学模様
グラビア印刷ならではの高い印刷精度により、シャープな直線や複雑なパターンで構成される幾何学を忠実に再現。知的でリズミカルな意匠は、先進性とモダンな印象を与えます。
② 多彩な表情を映し出す、高品位な金属調表現
金属調のメタリックカラーをベースとして、立体的な意匠パターンを組み合わせることによって生まれる精悍な表情。塗装では再現が難しい、繊細で洗練された金属の質感を演出します。
③ 唯一無二の存在感を放つ、フォージドカーボン調
炭素繊維がランダムに重なり合う複雑な積層柄を忠実に再現。一点物のような独特な模様の美しさは妥協のない意匠性を担保しつつ、フィルム加飾ならではのパーツ軽量化も同時に実現します。
④ 素朴さと先進性が同居する、アップサイクル調
アップサイクル素材に見られる不均一な粒状感を柄として採用。実際の材料選定に縛られることなく、視覚的にサステナブルなストーリーと、親しみやすいユニークな個性を自動車外装に付与します。
こちらでご紹介した以外にも、多種多様な意匠表現が可能です。新たなCMFデザインのご提案を通して、お客さまの創造性を刺激し、豊かなエクステリアデザインの実現をお手伝いします。

デザインバリエーションが生む、グレードマネジメント対応への可能性
フィルムインサート成形による多彩なデザイン表現は、見た目の美しさだけに留まらず、自動車の製品ラインナップにおける戦略的な「グレードマネジメント」にも応用が可能です。例えばベースとなる樹脂パーツの形状はそのままに、加飾フィルムのデザインを変えるだけで、標準グレードから上級グレードまで、それぞれのモデルが持つ世界観や価値を視覚的に表現することが可能になります。

エンドユーザーの多様なニーズに応える製品展開を実現するための選択肢となります。
加飾フィルムを使ったインサート成形技術はデザインの自由度を高めるだけでなく、より戦略的な製品開発にも貢献します。
デザイン性・サステナビリティ・品質の共存
NISSHAのインサート成形技術は、豊かなデザイン性だけでなく、サステナビリティと品質の両立も追求しています。特に環境負荷低減の観点では、従来の塗装プロセスに対するアドバンテージが期待できます。

一般的に加飾フィルムを使ったインサート成形工法は、塗装に比べて製造時のCO2排出量を抑制し、リードタイムも短縮できると言われており、これは環境規制への対応や生産効率向上といった、現代の自動車開発に求められる重要な要素に応えるものです。
当社が開発したフィルムは、過酷な環境にも耐えうる高い耐候性・耐久性も確保し、美しいデザインを長期にわたり維持します。私たちはこれまで自動車業界の厳しい品質基準を満たす製品を安定供給してきた実績を基に、京都にある本社と国内外の生産拠点、そして北米・欧州・アジアの営業拠点が連携するグローバルサプライチェーンにより、世界中のお客さまのニーズにお応えします。
自動車外装デザインの未来を、NISSHAと共に
NISSHAはこれまでIMDをはじめとする成形技術によって、自動車内装に心地良さと機能性のある加飾パーツを提供してきました。今後は自動車の外装デザインに、サステナブルかつ豊かなCMFデザインの表現という新たな価値をもたらします。
この記事でもご紹介しました実物大の外装モックアップを通して、フィルム加飾の可能性にぜひ一度触れてみてください。「フィルム加飾についてもっと詳しく知りたい」「具体的なデザインバリエーションや品質スペックについて聞きたい」「外装モックアップの紹介を希望する」など、下記リンクよりどうぞお気軽にお問い合わせください。