ちりめん生地
サンプル例
染色したちりめん生地 × モノクログラデーション
通常、昇華転写プリントでは白色の生地にプリントを行います。色や柄のカラーバリエーションを作る場合、生地の地色はプリントで表現されますが、
- プリンターのインクで表現できる色しか表現できない
- 昇華転写は原則片面プリントのため、裏側は白いまま残る(生地の厚みによりある程度裏側に抜けます)
といった技術的な限界はあります。
そこで、あらかじめ染色された生地にプリントするサンプルを作成しました。赤色の生地に黒のグラデーションをプリントしています。
生地色の赤は転写プリントでは出せない鮮やかな赤、裏側も生地色の赤となります。
ただ、
- プリントする色が、生地色の影響を受けるのでデータ通りの色ではプリントできない(どのような影響があるかはシミュレーションできますが、実際に色味を確認するためテストプリントが必要です)
- 生地色が濃くなりすぎるとプリント絵柄が見えなくなってしまう
といった制約も出てきます。
絵柄と生地色の組み合わせ次第で、昇華転写プリントを使った新たな表現が可能です。
※本サンプルは少量のテストプリントです。量産性の検証等は別途必要です。
※類似生地のお持込によるテストプリントも可能です。
ちりめん生地とは
「ちりめん(縮緬)」とは、経糸に撚りのない糸、緯糸に強く撚った糸(右回りにねじった糸と左回りにねじった糸を交互に配置)を使って織った生地です。織った後に精練することで生地の撚りが元に戻ろとする力が働き、生地が縮んで表面にシボ(凹凸)が生じます。このシボがちりめんの特徴です。
もともとちりめんとは、絹を平織りにして作った織物の事を言い、高級な和服地として知られていましたが、現在ではレーヨンやポリエステルで作られた縮緬もあります。洋服地では「クレープ」と呼ばれます。
ちりめんの産地としては、丹後ちりめん(京都府)、長浜ちりめん(滋賀県)、越後ちりめん(新潟県)などが知られています。
ちりめん生地の特徴
●特徴的なシボ
ちりめんの特徴は、何といっても表面にはっきりと出たシボです。シボがあることで、シワがよりにくく、肌触りの良いしなやかな風合いが出ます。
●独特の表現
染め生地としても使われる場合には、シボの凸凹による乱反射が深みのある独特の色を生み出します。
●様々なバリエーション
使用する糸や織り方により、表面の凹凸感や生地表現に様々なバリエーションが生まれます。
ちりめん生地の用途
和装では高級な着物、帯地などに主に使われています。
また洋服地としての「クレープ」は、ブラウス、ジャケット、コート、ワンピース、スカート、パンツなど、様々な用途で使われています。
また、風呂敷をはじめとした生活雑貨など、和風のテイストを出した製品に多く使われています。
昇華プリントのよくある質問
洗濯について
選択によって色が落ちるようなことはまずありません。プリントする生地により多少変動しますが、当社が外部の検査機関に依頼した洗濯堅牢度試験では変退色4-5級という結果が出ています。
発色について
昇華転写プリントは色の再現域が広く、鮮やかな発色が可能です。一方で紫外線による褪色は強いとは言えず、当社が外部の検査機関に依頼した耐光堅牢度試験では4級という結果になりました(最高は8級。生地との組み合わせで変動します)。ただ、一般的に、紙の印刷を含め、どのようなプリント方式であっても屋外に放置すると紫外線によって色は褪せていく傾向があります。
色の範囲について
当社では通常6色のインク(CMYKの4色にライトシアン、ライトマゼンタを加えた6色)を使ったプリンターを使用していますが、より鮮やかな発色が可能な8色インク(上記の6色に蛍光インキ2色を加えたもの)のプリンターも保有しています。表現する色と生地の組み合わせにより耐光堅牢度が少し下がることがありますが、より鮮やかな色彩表現を目指す場合には選択肢に入ってくると思います。
昇華プリントの注意点
アイロン不可
昇華転写は熱を使って生地に着色するという構造上、高温のアイロンを当てるとインクが再び気化して色落ち、もしくは他の服へ色移りする可能性があります。スチームでシワを伸ばす程度であれば問題ありません。
素材はポリエステルのみ
こちらも昇華転写というプリント手法の構造的な特徴で、インクはポリエステルにしか定着しないため、綿や絹、ナイロンなどの素材にはプリントができません。
オーガンジーの場合印刷がずれる場合がある
オーガンジーは非常に薄い生地のため、プリント工程で完全な水平垂直を取ることができません。反物を転写機に通す際、完全にまっすぐ送り出して巻き取ることは構造上困難で、多少の歪みが生じます。そのため厳密なストライプやチェックなど幾何学的な柄は不向きです。ただ、アパレルやインテリアでオーガンジーを使うシーンというのは、生地の揺れや透明感が表現の中心となることが想定されますので、柄の正確さが厳密にわかるような見せ方(板に貼って額に飾る等)をしなければ、目立つほどの歪みが生じるわけではありません。念のため、事前にテストを行うことをお勧めいたします。
ちりめん生地のプリント生地サンプル
Fabrightは、高精細な入力技術と昇華転写印刷技術を使って、高品質なプリント生地を製作します。
ちりめんは表面の凹凸が大きいため、プリントしにくいイメージがありますが、ポリエステルのちりめんにもプリントできます。
ただ、表面の凹凸により、表面の平滑性の高い生地に比べると、高精細画像の再現性はやや低くなります。
ちりめんには、糸の選択や織り方で様々な表情の生地が存在します。プリントとの組み合わせで独特な生地表現を行うことが可能です。
お客さまの生地や絵柄でサンプル作成することも可能です。(原則ポリエステル100%の生地。事前にプリントテストが必要です)
マス見本も作成いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
Fabrightだからできる色彩表現例
グラデーション
印刷会社ならではの美しいグラデーション。シホン、デシン、ベロアなど様々な生地にプリント可能です。
花を印刷
フラワーアレンジメントをそのままスキャニングし、立体的な画像を取得できます。
ワニ革を印刷
クロコダイルの皮をスキャニング。エキゾチックレザーの質感を精密に表現します。