NISSHAの高品質な昇華転写生地「Fabright®(ファブライト)」とは
Fabright®(ファブライト)は、NISSHAが長年培ってきた高度な印刷技術を活用し、他にはない圧倒的なプリントクオリティを実現した昇華転写生地です。NISSHAは、もともと紙の印刷分野において国内外で高い評価を受けてきた企業であり、特に美術印刷や高級グラフィック表現の分野において、多くの実績を持っています。
そうした高度な印刷技術の蓄積を基盤として、Fabright®では、微細な色のニュアンスまで正確に再現できる独自のカラーマネジメント技術を駆使しています。色の再現性においても妥協を許さず、お客さまが思い描く「理想の色」を、忠実かつ鮮やかに具現化します。
その結果、Fabright®は単なる転写生地にとどまらず、繊細な表現を求められるファッション用途や、空間演出、広告・ディスプレイ分野など、幅広い分野で高品質なテキスタイル素材として展開されています。優れた色再現性と質感表現により、デザイン性と機能性を両立する生地として、多くのプロフェッショナルから高い信頼を得ています。
アパレル用生地とファブライトの相性
アパレル業界では、視覚的なインパクトに加えて、着心地や質感といった“素材そのものの魅力”が求められます。特に、デザイン性の高い柄や鮮やかな色を再現しながらも、生地の風合いを損なわないことは、多くのブランドにとって大きな課題になっています。
Fabright®は、そうしたアパレル用途におけるニーズに応える昇華転写生地です。ベースとなっているのは、NISSHAが長年培ってきた高精細な印刷技術。美術印刷でも採用されるその技術を活かすことで、柄データの鮮明さやグラデーション、微妙なニュアンスまで忠実に再現することができます。
また、発色面でも優れたノウハウが活かされています。印刷機の設定や転写紙の選定といった工程においても、用途や素材に応じた調整を行っており、美しい色合いを引き出す工夫が施されています。視覚的な鮮やかさと色の深みを両立できる点は、ファッション性を重視するアパレル製品との相性が良い理由のひとつです。
さらに、プリント後の生地の風合い保持にも配慮されています。たとえば厚みのある素材でも、転写によるつぶれを抑え、素材本来の質感を損なわずに仕上げることができます(生地ごとのテストは必要です)。
柄の再現性が高いこと、発色が美しいこと、そして生地の風合いを損ないにくいこと。この三点を兼ね備えたFabright®は、アパレル製品において高い完成度を追求したい方にとって、非常に頼れる選択肢となっています。
柄の再現性が高い

発色が良い

生地の風合いを損ないにくい

アパレル生地としての実績
ファッションブランドMUZE

当社からプリントサンプルをご提案する中で、京都・丹後の縮緬生地を提案したところ、縮緬生地への昇華転写プリントは他社で例がなかったことから、オリジナリティを求めるお客さまのニーズと合致。お客さまがイメージするデザインの実現に貢献しました。
生地とプリントの組み合わせの提案と高品質な印刷技術、安定した品質をご評価いただきました。
本件では、紙の印刷で培ったカラーマネジメント技術、高品質の昇華転写技術、 レーザーカット技術など、当社の能力が余すところなく使われています。
上田安子服飾専門学校様

上田安子服飾専門学校様のご依頼で、学生が描いた絵画をもとにオリジナルのプリント生地を製作しました。原画は大判だったため、当社スタジオにて高精細カメラを使い4分割で撮影し、色や質感を忠実にデータ化しています。
その後、色調補正や配色変更を行い、生地幅に合わせたリピートデータを作成。大容量データの処理や色補正には、印刷に強い当社の技術と設備が活かされています。
完成データはご支給いただいたポリエステル生地に昇華転写でプリント。試作後に本生産へと進め、色ブレのない安定した仕上がりを実現しました。完成品は衣服に仕立てられ、プリントの再現性と品質について高い評価をいただいています。
ファブライトのアパレル生地の種類
昇華転写は、基本的にポリエステルの生地であれば加工が可能です。ただし、「ポリエステルだから全部同じ」というわけではなく、生地の織り方や仕上げによって、その風合いや表情は大きく変わってきます。同じポリエステル素材でも、織りや加工によってデシンやオーガンジー、ベロアなど、まったく異なる質感の生地を作ることができます。
Fabright®は、そうした多様なポリエステル生地に対応できる昇華転写技術を備えており、一般的なフラットな平織り生地はもちろん、凹凸や光沢のある特殊素材への転写も可能です。テキスタイルの風合いや立体感を活かしながら、美しいプリントを実現します。
下記に一例として対応可能な生地をご紹介していますが、それ以外の生地にも柔軟に対応しています。具体的な素材や用途がある場合は、お気軽にご相談ください。ご要望に応じた最適な方法をご提案いたします。
生地の種類 | ファブライトサンプル | 生地の説明 |
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デシン生地 |
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デシンは、「クレープ・デ・シン(crepe de chine)」の略称で、中国の縮緬(ちりめん)をもとにフランスで発展した生地です。表面には細かなしぼ(縮みじわ)があり、軽やかでしなやかな風合いが特徴です。 素材にはポリエステルやシルクが使われることが多く、横糸には強く撚りをかけた糸を使用し、平織りで仕立てられています。 |
オーガンジー生地 |
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オーガンジーは、上品な光沢と繊細な透け感が魅力の薄手の生地です。平織りで織られており、少しハリのあるしっかりとした手触りが特徴です。 もともとは書籍の装丁用の織物として使われていたことが起源とされており、現在ではポリエステルやレーヨン、シルクなど、さまざまな素材で展開されています。素材によって微妙に異なる風合いや表情が楽しめるのも魅力のひとつです。 |
ベロア生地 |
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ベロアは、ベルベットに似た起毛感のある生地で、やわらかな手触りと、なめらかに流れるようなドレープ性が特徴です。見た目にも高級感があり、衣料からインテリアまで幅広く使われています。 素材には、ウールやレーヨン、アセテート、コットン、ポリエステルなどが使われており、用途や仕上がりの印象に応じて多彩なバリエーションが存在します。 |
キャンバス生地 |
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キャンバス生地は、綿や亜麻の糸を平織りにした厚手のしっかりとした素材で、「帆布(はんぷ)」とも呼ばれます。 油絵のキャンバスとして知られていますが、アパレルではトートバッグやスニーカー、エプロンなどにも使われる丈夫な生地です。使い込むほどにやわらかく馴染み、革製品のような経年変化を楽しめるのも魅力のひとつです。 ポリエステル製のキャンバスは、軽さや発色の良さに加えて、コットンのような自然な風合いもあわせ持っています。 |
ジャージ生地 |
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ジャージー生地は、一般的にメリヤス編みと呼ばれるニットの一種で、伸縮性があり、やや厚みのある生地です。 日本では体育の「ジャージ」がよく知られていますが、スポーツウェアに限らず、このタイプの編み生地全般を指して「ジャージー」と呼びます。ニット特有の伸びやすさが動きやすさにつながり、スポーツ用途にもよく使われています。 もともとはイギリス・ジャージー島で漁師の防寒着として生まれた編み方が起源とされ、後にアメリカでスポーツウェアとして広まっていきました。 |
サテン生地 |
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サテンは、「朱子織(しゅすおり)」と呼ばれる織り方で作られた織物のことを指します。織物の基本的な組織には「平織」「綾織」「朱子織」があり、そのひとつがサテンのベースとなる朱子織です。 綿やシルクなど素材に関わらず、この織り方で仕立てられたものをサテンと呼びます。朱子織の特徴は、経糸か緯糸のどちらかが長く表に出る構造で、それによって生地表面がなめらかで光沢のある仕上がりになります。 |
ちりめん生地 |
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ちりめん(縮緬)は、経糸に撚りのない糸、緯糸に強く撚った右撚り・左撚りの糸を交互に使って織られた生地です。織った後に精練を行うと、撚られた糸が元に戻ろうとする力で生地が縮み、独特のシボ(細かい凹凸)が生まれます。このシボこそが、ちりめんの大きな特徴です。 もともとは絹の平織りで作られ、高級な和服地として親しまれてきましたが、現在ではレーヨンやポリエステルを使ったバリエーションもあります。洋服地では「クレープ」と呼ばれることもあります。 代表的な産地には、丹後ちりめん(京都)、長浜ちりめん(滋賀)、越後ちりめん(新潟)などがあります。 |
ローン生地 |
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ローンは、細番手の糸で織られた薄手の平織り生地です。細い糸を使うことで、やわらかくなめらかな肌触りと、上品な見た目を実現しています。薄地でありながら、適度なハリとコシがあるのも特徴です。 もともとはリネン素材でしたが、現在ではコットンを使った「コットンローン」が主流で、ポリエステルなどの素材でも展開されています。 名前の由来は、フランスのラン(Laon)地方で作られていた麻の薄地織物にあるとされています。 |
アパレル用生地を作る際のこだわりについて
高いカラーマネジメント技術
昇華転写は、インクが気化して生地に浸透するという特性上、印刷物の色がモニターや紙とは大きく異なって見えることがあり、色の再現が非常に難しい技術とされています。とくに濃淡や微妙なグラデーション、特定のブランドカラーなどを正確に再現するには、高度なカラーマネジメントが不可欠です。
弊社では、長年にわたり高級美術印刷で培ってきた色再現のノウハウをもとに、テキスタイルにおけるカラーマネジメントを追求しています。単に色を合わせるのではなく、使用する生地の発色特性や質感、用途、照明条件などを丁寧に検討しながら、「最終的にどのように見えるべきか」というゴールを見据えた色設計を行います。
また、測色機を用いた定量的な色管理にも対応しており、印刷前後の色調整や試作時の確認を精緻に行うことで、色ブレのない安定した品質を実現。小ロットであっても品質のばらつきを抑え、安心して量産につなげることができます。
色へのこだわりが強いデザイナーやブランドの方にもご満足いただける、信頼性の高い昇華転写を提供しています。



印刷機のコントロール
高品質な昇華転写を実現するうえで欠かせないのが、印刷機や転写機の精密なコントロールです。私たちは、生地の特性や絵柄の内容に応じて、印刷から転写までの各工程で細やかな条件設定を行っています。
まず、昇華転写用に設計された専用インキを使用し、転写紙に絵柄を印刷します。この段階では、色の濃度や線のシャープさ、インキの安定供給などを高精度に管理。特にグラデーションや細かいディテールのあるデザインでは、この時点での刷り精度が最終的な仕上がりを大きく左右します。
次に行うのが、生地への転写工程です。印刷済みの転写紙と布地を密着させ、回転ドラム型の転写機へ挿入。ドラムが加熱されることでインキが気化し、布地に染み込むように転移していきます。このプロセスでは、ドラムの温度、加圧の強さ、送り速度など、複数の条件を細かく制御しています。
たとえば、ドラムの温度が高すぎると色が飛び、低すぎると十分に発色しない。また、圧力が強すぎると生地の質感を損なう可能性があり、逆に弱すぎれば転写が不完全になることもあります。そのため、絵柄の種類や使用する生地の厚み、織り方などを考慮しながら、最適な条件に設定しています。
こうした緻密な印刷機のコントロールによって、発色の美しさ、柄の再現性、生地の風合い保持といったバランスを高いレベルで実現しています。私たちは「機械を動かす」ではなく、「表現を引き出す」ために機械を制御するという意識で、1枚1枚のプリントに向き合っています。


品質管理について
色に関する厳しいご要望に対応してきた実績は、テキスタイルプリントにも活かされています。紙媒体や美術印刷で培われた色調管理の技術をもとに、繊細な色のニュアンスや意図を正確に再現できる体制を整えています。
プリントは京都市内の工場で行っており、国内生産ならではの高い品質とスピーディーな対応を両立しています。現場との距離が近いことで、細やかな確認や調整がしやすく、安定した品質につながっています。
また、デジタル印刷の特長を活かし、試作と量産で同じ条件のもとプリントを行うことで、色ブレのない安定した仕上がりを実現しています。高精度な工程管理によって、再現性の高いプリント品質を保っています。
生地の大きさや仕様
製品特徴
対応メディア | ポリエステル |
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インク | 分散染料 |
工程 | 転写紙へ印刷→生地へ昇華転写 |
品質優位性 | 色鮮やかで滑らかな調子 |
環境対応 | 水を使わない捺染技術 |
生地の質感 | 変わらない |
洗濯堅牢度 | 変退色4-5級※ |
耐光性 | 4級※ |
対摩擦性 | 5級※ |
耐アルコール性 | 4-5級※ |
※外部機関にてJIS規格に準じた試験を実施
印刷スペック
ワイド:メディア幅 (印刷可能幅) |
1,910mm(1,890mm) |
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スーパーワイド:メディア幅 (印刷可能幅) |
3,300mm(3,290mm) |
最高印刷解像度 | 1,200dpi×600dpi |
色数 | CMYK・LC・LM |
最小ロットについて
プリント用の下地生地(P下)は、一般的に1反(約50m)単位での販売が主流となっています。これより短い長さで購入する場合には「カット賃」が発生するため、単価が割高になることがあります。
そのため、生地のロスを抑えるという観点では、1反(50m)単位でのご注文をおすすめしています。ただし、昇華転写は小ロット対応にも強みがあり、1反に満たない数量でも対応可能です。用途やご予算に応じて柔軟にご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
環境負荷を軽減 サステナブル対応
昇華転写は、プリント工程で水を使用せず、ガスや電気の使用量、CO₂の排出量を抑えることができる環境負荷の少ないプリント技術です。使用するインクにも有害物質は含まれておらず、環境や人体への影響にも配慮されています。
また、リサイクルポリエステルへのプリントにも対応しており、再生素材の活用とも相性が良いのが特長です。さらに、小ロットでの生産が可能なため、必要な分だけを効率よく生産することで、廃棄や無駄の削減にもつながり、持続可能なものづくりに貢献します。
裁断納品について
レーザーカッターを保有しており、型紙に合わせてパーツをカットした状態での納品にも対応しています(写真参照)。レーザーカットは熱によってポリエステル生地をカットするため、切断面がほつれにくく、場合によっては後加工の工程を省略できるというメリットがあります。
カット用のデータは、Adobe Illustrator形式でご提供いただければ、そのまま使用してカットすることが可能です。1枚ずつ丁寧にカットしていく方式のため、大量生産には不向きですが、小ロットや試作などに最適な加工方法です。
お手入れの方法について
アパレル用途でご使用いただく際は、製品に記載されている「取扱表示」に従ってお取り扱いください。
洗濯堅牢度や耐光性、耐摩擦性、耐アルコール性については、上記の表の通り十分な性能を備えており、通常の洗濯にも対応しています。色移りや色落ちについても、基本的には問題ありません。
ただし、昇華転写は熱によって色を定着させているため、高温のアイロンを長時間あてると、色が抜けたり変色したりする可能性があります。アイロンをかける際は、低温設定や当て布の使用をおすすめします。
サービス一覧
Fabright®では、昇華転写を中心としたプリント技術を軸に、さまざまな素材や用途に対応したサービスを提供しています。プリントだけでなく、前後の工程までを見据えた一貫対応が可能で、企画段階から量産まで安心してご相談いただけます。
たとえば、ポリエステル生地への昇華転写に加えて、合成皮革などへの印刷が可能な水性顔料インクジェット機も保有しており、素材に応じた最適な方法でのプリントが選択できます。また、プリント後の生地は、反物の状態での納品だけでなく、レーザーカッターを使った高精度な裁断にも対応しており、パーツごとの納品も可能です。
さらに、素材の表情や細かなテクスチャーを正確に捉えるための高精細スキャンサービスや、最大35億画素に対応したデジタルカメラによる撮影サービスも展開しています。これらの技術を活用することで、手描き作品や立体物、アーカイブ資料なども高い再現性でデジタル化し、プリントデータとして活用することができます。
ご相談やデータ作成、サンプル製作から本生産に至るまで、各工程でのノウハウを活かしながら丁寧に対応いたします。素材の特性や表現したいビジュアルに合わせた最適なご提案を行いますので、まずはお気軽にご相談ください。