エタノールって何?その使い方と注意点
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エタノールって何?その使い方と注意点

エタノール=アルコールと受け取られることもありますが、エタノールはアルコールの一種です。「揮発しやすい」「水や油と溶けやすい」「殺菌効果がある」といった性質を生かし、清掃用や消毒用などさまざまな用途で使用されています。

目次

エタノールはアルコールの一種で、さまざまな場面で使用されている物質です。アルコールというと普段に飲んでいるお酒のイメージがありますが、アルコールのすべてがお酒として飲めるわけではありません。こちらではエタノールがどのような場面で使われており、扱ううえでどのような点に注意すべきかをご紹介していきます。

エタノールとは何?

エタノールとはアルコールの一種であり、私たちが飲むお酒に含まれる物質で、「エチルアルコール」「酒精(しゅせい)」などとも呼ばれます。お酒で酔うのはこのエタノールによる現象です。

アルコールにはいくつもの種類がありますが、エタノール(エチルアルコール)を単にアルコールと呼ぶことも多く、さらに、そのエタノールが含まれるお酒のことをアルコールということもあります。普段の会話で何気なく、「ちょっとアルコールを買ってきて」などと言ったことのある方も多いのではないでしょうか。

アルコールとは

アルコールとは、炭化水素の水素原子をヒドロキシ基(OH)と置き換えた物質全般(フェノール類を除く)のことです。

エタノールのほかにもメタノール(メチルアルコール)やイソプロパノール、プロピルアルコールなどさまざまな種類があり、それぞれに異なる性質を持っています。

科学や産業の領域では試薬や化合物の原料、洗浄剤、燃料、消毒など幅広い用途で用いられており、近年では有害な排出ガスを発生させにくいクリーンエネルギーとして、エタノールやメタノールを使用する技術が確立されています。

市販されているエタノールの分類

エタノールには成分濃度の違いによって、次のような種類があります。医薬品や医療機器の品質や有効性、安全性確保などについて国が定めた「日本薬局方」で規定されるエタノールの種類は、「無水エタノール」「エタノール」「消毒用エタノール」の三つです。用途によって適した種類が変わってくるので、まずはそれぞれの特性を把握しましょう。

無水エタノール

濃度99.5vol%以上(vol%はアルコール濃度の単位。質量でなく体積に対する比率)というほぼ純粋なエタノールで、水分をほとんど含んでいません。洗浄力は高いもののすぐに蒸発してしまうため、水拭きが向いていない電化製品のお手入れなどに適しています。アルコール度数が高いため殺菌する前に蒸発してしまい、消毒にはあまり適しません。ただし、精製水を混ぜて濃度を調整すれば、消毒用として使用可能です。

刺激が強く肌に直接触れると水分を奪ってしまいます。扱う際には手袋などを着用しなければいけません。

エタノール

濃度95.1~96.9vol%で、清掃用や自家製化粧品の原料などさまざまな用途で使用できます。無水エタノールと同様に精製水による濃度調整で、消毒用エタノールとしての利用ができます。

消毒用エタノール

濃度が76.9~81.4vol%で、無水エタノールに比べて蒸発しにくいという特徴があります。ある程度の時間その場にとどまって殺菌ができるので、80%前後の濃度が最も消毒能力が高くなると言われています。エタノールで不活性化できるインフルエンザなどのウイルス対策にも使用できるので、手すりやエレベーターのボタンなど、人がよく手を触れる場所の消毒にも使われるエタノールです。

無水エタノールに比べると、肌への刺激もそれほど強くありません。

その他

このほか、グリセリンなど別の成分を混ぜて手に擦り込みやすいようジェル状にした製品、ヒアルロン酸など肌に良いとされる成分を配合して手肌への刺激を軽減した製品などが市販されています。

エタノールの性質と使い方

エタノールは無色透明で芳香がある、揮発性(蒸発しやすい性質)の液体です。引火しやすいので、火気厳禁です。燃える際に悪臭やすすを出さず、炎は青白くあまりよく見えません。

お酒として楽しむほか、さまざまな用途があります。

主な用途の一つが前述の「消毒用」。ウイルスや細菌、カビ、害虫などを殺す作用があり、小売店やレストラン、公共施設などさまざまなところでエタノールを含む消毒薬を目にすることも多いと思います。

しかし一方で、エタノールに対して深刻なアレルギー反応を起こす人がいます。重度の人では、エタノールを含む消毒薬が皮膚にかかっただけでただれてやけど状態になったり、揮発した気体を吸い込んで軌道が腫れ、呼吸が困難になったりするケースもあります。そういう重度の人の場合は本人が注意をしているはずですが、周囲にいる人も消毒薬を使う際には配慮しなければいけません。

エタノールは水にも油にもよく混ざるため、清掃用やアロマテラピーで精油を水に溶けやすくする溶剤などにも活用されています。

自作の消毒液の作り方

ご紹介したように、市販されている無水エタノールやエタノールを精製水で薄めれば、消毒液を自作もできます。「人の出入りが多い場所で大量に使用する」「市販の消毒液が手に入りにくい」といった場合には、この方法も検討してみましょう。

消毒効果が最も高いのは、濃度約80%と言われています。500mlの無水エタノールに対して、精製水100 ml程度を入れて薄めましょう。引火性の液体なので作業は絶対に火の気のないところで行うこと、揮発性が高いので適度に換気することも重要です。

エタノールの製造方法

エタノールには大きく分けて、次の2種類の製法があります。

発酵エタノール

糖蜜やサトウキビなどの糖質と、トウモロコシやサツマイモ、ジャガイモなどのでんぷん質を、酵母を用いて発酵させて作ります。食酢の原料や味噌、醤油といった食品の防腐用に使われたり、濃度を調整して各種エタノールとして販売されたりします。

合成エタノール

原油や天然ガスに含まれるエチレンを原料に、化学合成によって作ります。合成エタノールの製法はさらに、エチレンと水を反応させる「直接水和法」と、エチレンと硫酸を反応させて硫酸エステルを精製し、さらに水を反応させてエタノールと硫酸を精製する「関節水和法」の2種類に分けられます。化粧品や香料、医薬品などの原料として用いられ、食品衛生法の規定によって食品用として用いることはできません。

その他のアルコールとの混同は危険

ドラッグストアなどで手に入る燃料用アルコールは、人体に有害なメタノール(メチルアルコール)でできています。名前は似ていますが、アルコールランプの燃料など工業用に使われるもので、エタノールのように消毒液として使用できません。

大量に摂取すると吐き気やめまい、こん睡、意識障害、失明などの症状が出て、最悪の場合は死に至ることもある劇物です。失明の危険があることから、「目散る(メチル)アルコール」などと呼ばれることもあります。

ウイルス性感染症の流行によってエタノールが手に入りにくくなっていても、代用は一切できません。誤用にはくれぐれも注意してください。薬品類は用途や使用法をよく確認して購入、使用しなければいけません。

特性を生かして幅広い用途に活用

単にお酒の成分として捉えられることも多いエタノールですが、ほかの物質にはない特有の性質を生かし、さまざまな用途で使われています。普段の生活で使うこともありますが、火の気を近づけない、アレルギーのある人の近くで使わないこと。また、エタノールと混同して誤ってメタノールを消毒用などに使用しないといった基本的な注意点を守って使用することが大切です。

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