水素とは
水素の特長
水素(化学式:H2)は、無色、無臭、無毒の物質です。
融点は-259.14℃、沸点は-252.87℃で、常温では気体として存在します。
水素の分子量は2.016であり、地球上で最も軽い気体です。
水素の生成方法
- 水蒸気改質
- 化石燃料や天然ガスに含まれる炭化水素から水素を作る方法です。
メタン (CH4)やナフサなどの炭化水素を水蒸気と化学反応させると、水素と一酸化炭素、二酸化炭素が発生します。この化学反応を利用して水素を精製する方法を水蒸気改質といいます。水蒸気改質は工業的な水素の製造方法として、古くから利用されている製法です。 - 石炭から生成する方法
- 石炭を蒸し焼きにすることで水素を生成させる方法です。
石炭は酸素や水蒸気などと加熱反応させることでガス化します。この石炭ガスがさらに水や酸素と反応すると水素と一酸化炭素が発生します。そして、発生した一酸化炭素は水と反応することにより水素と二酸化炭素に変化します。この工程を経て発生したガスを精製することで水素を取り出すことができます。 - 水の電気分解により生成する方法
- 水は電流を流すことで酸素と水素に分解されます。この現象を利用して水素を製造する方法です。純粋な水は電気分解しないため、水酸化カリウムなどの電解質を溶かした水が使われます。電気分解には大量の電力が必要とされます。
水素の安全性
水素は可燃性ガスです。しかし純粋な水素のみで燃焼することはなく、酸素などの支燃性ガスが共存する場合に燃焼が起こります。空気中で水素が爆発する濃度範囲は4.0%~75%と言われています。
水素の研究・開発分野
水素燃料電池
水素燃料電池は、水の電気分解の逆の反応を利用し、水素と酸素の反応から発生する電力を利用する電池です。反応の過程で生成されるのは水だけであり、二酸化炭素が発生しないことから環境負荷を低減するクリーンなエネルギー源として活用されています。
自動車の分野では内燃機関に替わる新しい動力源のひとつとして水素燃料電池を使った電気自動車が開発され、乗用車やバスなどで実用化されています。また、家庭用の発電システムとしても既に製品化されています。
水素エンジン
自動車の分野では、内燃機関の燃料として石油ではなく水素を利用する水素エンジン車の開発も進められています。水素エンジンは水素燃料電池車と同じように、二酸化炭素を発生させないことが特長です。
金属の水素脆性
水素脆化と水素侵食は、水素が関係する金属の損傷現象のなかでも特に知られている2つの現象です。いずれも金属の脆性破壊の原因となる現象です。水素は鋼中に吸収されやすく拡散性も高いため、水素による脆化現象は金属を扱う業界にとって長年の問題です。そのため、金属中に含まれる水素の分析は金属業界の重要な研究テーマのひとつとなっています。
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