R32

冷媒 - 特長とセンサーの紹介

R32の特長

冷媒番号(ASHRAE番号)
R32
区分
A2L=微燃性、無毒
組成(化学式)
CH2F2(ジフルオロメタン) / 単一冷媒
燃焼下限界濃度(LFL)
0.307 kg/m3
オゾン破壊係数
0
地球温暖化係数
(GWP)
675

R32の化学的性質と特徴

R32(ジフルオロメタン)は、化学式CH2F2で表される有機フッ素化合物で、HFC(ハイドロフルオロカーボン)に属する単一冷媒です。R32は、沸点が低く、熱伝導性に優れているため、エアコンなどの冷凍空調機器に適しています。R32の特徴として、以下の点が挙げられます。

R32の特徴
低沸点-51.7℃という低い沸点を持ち、効率的な熱交換を可能にします。
高い熱伝導率従来冷媒と比べて熱伝導性が高く、エネルギー効率の向上に貢献します。
低粘度流動性が高いため、配管内での圧力損失が少なく、システム全体の効率を高めます。

また、R32は単一成分冷媒であるため、漏れが発生した場合でも組成が変化せず、補充や回収が容易という利点もあります。

R32とR410A、R22との比較

R32は、従来広く使用されてきたR410AやR22などの冷媒と比較して、環境性能とエネルギー効率の面で優れています。具体的な比較点は以下の通りです。

項目R32R410AR22
冷凍能力1.5倍1.01.0
GWP
(地球温暖化係数)
67520901810
ODP
(オゾン層破壊係数)
000.055
充填量
(相対値)
0.71.01.0

R32のGWP値は675と、R410AやR22の3分の1以下であり、地球温暖化への影響が大幅に軽減されます。しかしながら、GWP675とは二酸化炭素の675倍の温室効果があることを示しています。R32のGWPは従来冷媒よりも大幅に低いものの、さらなる改善が求められています。さらに、オゾン層破壊係数(ODP)は0であるため、オゾン層保護の観点からは優れた冷媒といえます。

次に、エネルギー消費効率の側面から見てみましょう。R32冷媒は、優れたエネルギー効率を持つことで知られています。例えば、従来冷媒のR22やR410Aと比較して、約1.5倍の冷凍能力を有しているのが特徴です。この高い冷凍能力により、同じ冷却効果を得るために必要なエネルギー消費量を削減することが可能となり、その結果、機器のコンパクト化や省資源化に貢献します。

期間エネルギー消費効率(CSPF)の観点からも、R32は従来冷媒を上回る性能を示しています。CSPFとは、年間を通じたエアコンの効率を表す指標であり、R32を使用した機器は高いCSPF値を達成しています。

R32冷媒の安全性

R32冷媒は、国際規格ISO 817:2014において微燃性冷媒(A2L)に分類されています。この分類は、燃焼性が最も弱い区分であり、以下の特徴を持ちます。

微燃性冷媒(A2L)の特徴
燃焼速度10cm/秒以下と遅い
火炎伝播水平方向への伝播がない
爆発燃焼発生しにくい

このように、R32の燃焼熱は9 MJ/kgと、他の燃焼性冷媒と比較して小さく、燃焼時の衝撃範囲も限定的です。しかし、安全性を確保するため、機器の設計・製造時には厳密なリスクアセスメントが実施されています。
具体的な安全対策として、冷媒漏洩検知システムの導入、適切な換気設備の設置、そして作業者への安全教育が重要です。これらの対策により、R32冷媒の使用に伴うリスクを最小限に抑えることが可能となります。

R32使用に関する課題

GWP値の更なる低減
R32のGWP値は675であり、二酸化炭素の675倍の温室効果があります。この値は従来冷媒よりも大幅に低いものの、さらなる改善が求められています。
使用量削減義務
国際的な取り決めにより、R32を含むHFC冷媒は2030年頃までに使用量を段階的に削減する義務が課せられています。
安全性の確保
微燃性冷媒であるため、取り扱いには十分な注意が必要です。

これらの課題に対する対策として、低GWP冷媒の研究開発の加速、代替冷媒の探索、そして安全性向上のための技術革新が進められています。また、R32の回収・再利用システムの確立も重要な取り組みとなっています。

R32漏洩検知用センサーの紹介

NISSHAエフアイエスでは、R32などの冷媒の漏洩検知用センサーを製造しています。空調機器、冷蔵、冷凍設備への組み込み用として多くの採用実績が有ります。

特長

高速応答
冷媒の漏洩を10秒以内に検知
組み込みが簡単
小型・軽量なモジュールは出力信号の取り出しも簡単で装置への組み込みが容易
高信頼性
長寿命で耐環境特性に優れた各種モジュールをラインナップ