アルミ蒸着とは、薄膜のアルミをさまざまな基材(フィルムや樹脂など)にコーティングする技術で、包装材料などに対して高い金属光沢感を与える加飾用途のほか、バリア性を高める機能用途としても幅広く活用されています。
「真空蒸着」と呼ばれる方式では、加熱・蒸発させたアルミを真空環境下で基材表面に薄く均一に付着させることから、不純物が混入しにくい高品質な蒸着膜を基材表面に形成できる点が特長です。
アルミ蒸着の材料となる「アルミショット」
アルミ蒸着において一般的な方式が真空蒸着です。真空チャンバー内でアルミショットを高温で加熱・溶融させ、蒸気化した金属を基材に付着させます。
設備コストや生産速度、仕上がりの均質性などの面でバランスがよく、食品包装や日用品のパッケージ、装飾用途など幅広い分野で採用されています。
アルミ蒸着の基本は、アルミショットを熱エネルギーによって蒸発させ、その金属蒸気を基材に付着させるプロセスです。蒸発したアルミの蒸気が基材表面へ均一に付着し薄膜を形成します。
これにより、アルミがもつ高い反射率やバリア性をフィルムなどの表面に付与することができます。特に真空環境で行う「真空蒸着」では、大気中の酸素や水分が少ないため、酸化による影響を最小限に抑えることで、膜質が均一で光沢のある仕上がりになります。
アルミ蒸着は、「全面蒸着」と「部分蒸着」の2つのタイプがあります。
どちらも真空蒸着技術を用いてアルミの薄膜を形成しますが、蒸着範囲によって特徴や用途が異なります。
全面蒸着は、基材全面に均一なアルミの薄膜を形成する真空蒸着の手法です。一般的に、ロール状に巻かれたPETフィルムなどの基材を真空チャンバー内に送り出し、高温で蒸発させたアルミを連続的に付着させた後に巻き取ります。
フィルム全体に高い光沢感や優れたバリア性能を一括して付与できるのが特長です。消費者の目に留まりやすくすることを目的としたデザイン性向上や外部から酸素や湿気を遮断する機能が求められる食品や医薬品などの包装材料ではバリア性向上を目的としてこの全面蒸着がよく用いられます。
工程がシンプルで大量生産に適しており、安定した品質と生産性を両立できる点が大きなメリットです。その反面、フィルムの一部だけを透明にしたり、部分的に異なる意匠を持たせたりするような加工は難しく、表面の自由度が制限されるというデメリットがあります。
部分蒸着は、基材全面ではなく一部のみにアルミの薄膜を形成する手法で、ウィンドウ包装のように“中身を見せたい箇所”をあえて透明に残したり、文字やロゴを際立たせたせるためのデザイン用途で多く採用されています。基本的な真空蒸着のプロセス自体は変わらず、チャンバー内でアルミショットを蒸発させて基材に付着させる点は同じです。
部分蒸着では、アルミが付着するサイズや位置をコントロールするために、マスク(覆い)を使って付着させない部分を保護したり、レジストによるパターニングや薬液で不要部分をエッチング除去するといった工程が必要になります。
これにより、メタル調の部分と素材の素地が残る部分を併せ持つデザイン表現や機能性をもつ細線の再現が可能です。
マスクやレジストの塗布・除去など、生産工程は複雑になるものの、高い意匠性や差別化された機能を付加したい場合には部分蒸着が有効な選択肢となります。
PETフィルムは、優れた機械的強度、耐熱性、耐薬品性を持つ高機能なプラスチックフィルムの一種です。透明性が高く、寸法安定性にも優れているため、包装材料や電子部品、ディスプレイ用途など幅広い分野で使用されています。
このPETフィルムに真空蒸着技術を用いてアルミの薄膜を形成することで、さらなる機能性を付与することが可能になります。
PETフィルムは、その高い耐熱性と低い水分吸収率により、真空蒸着プロセスと非常に相性が良い素材です。蒸着時の高温環境に耐えられるため、基材の変形や劣化を最小限に抑えながら、均一なアルミ薄膜を形成できます。
PETフィルムへのアルミ蒸着することの最大の特長は、その光沢とバリア性能の向上です。アルミは高い反射率を持っており、フィルム表面に均一に蒸着することで、金属光沢のある美しい外観を実現します。これにより、パッケージデザインの高級感を演出できるため、食品や化粧品の包装材料として使用されています。
また、アルミ蒸着によって酸素や水分の透過を大幅に抑えることができるため、食品包装においては内容物の鮮度保持や風味の維持に大きく貢献します。特に、スナック菓子やインスタント食品、医薬品包装などでは、外部環境からの影響を防ぐバリアフィルムとしてPETアルミ蒸着フィルムが採用されています。さらに、アルミ蒸着膜は紫外線や可視光線を遮蔽する効果もあるため、光による品質劣化を防ぐ役割も果たします。
アルミ蒸着を施したPETフィルムは、その耐久性の高さから包装用途だけでなく、産業用部材としても利用されています。たとえば、電子部品包装用の帯電防止やシールド材としても活用されており、電磁波シールド用途にも応用が進んでいます。また、最近では環境対応の観点から、アルミ箔に代わる軽量でリサイクルしやすい代替素材として、PETアルミ蒸着フィルムの開発が進められています。
このように、PETフィルムとアルミ蒸着の組み合わせは、高い機能性と加工性を兼ね備えており、多様な産業で活用されています。用途に応じて蒸着膜の厚さや表面処理を最適化することで、さらに高度な性能を発揮することが可能です。
アルミ蒸着は、均一なアルミの薄膜を形成することで、高いバリア性能や意匠性を付加できる技術です。
軽量でありながら、金属特有の光沢や遮蔽性を持つため、食品・医薬品の包装からデザイン用途、さらには機能性ラベルまで幅広く活用されています。ここでは、アルミ蒸着の具体的なメリットと活用事例について紹介します。
アルミ蒸着の最大の特徴は、その高いバリア性能です。アルミの薄膜をフィルム上に形成することで、酸素や水分、光の透過を抑え、内容物の鮮度を長期間維持することができます。そのため、食品や医薬品の包装において、品質保持を目的としたバリアフィルムとして広く採用されています。
たとえば、スナック菓子やインスタント食品のパッケージでは、食品の劣化の原因となる外部の酸素や湿気の影響を防ぐためにアルミ蒸着フィルムが使用されます。また、医薬品の個包装や錠剤パッケージにおいても、有効成分の変質を防ぐために高バリア性を持つアルミ蒸着フィルムが不可欠です。
さらに、光の透過を防ぐ光遮蔽性や、香りを閉じ込める保香性もアルミ蒸着の強みです。たとえば、コーヒーや紅茶のパッケージでは、光による品質劣化や香りの逃げを防ぐために、アルミ蒸着フィルムが活用されています。
アルミ蒸着は、その美しい金属光沢を活かして、広告やパッケージデザインにも多用されています。従来の金属箔よりも軽量でありながら、銀色のメタリックな輝きを持つため、商品パッケージに高級感を演出できます。
たとえば、高級菓子や化粧品のパッケージでは、アルミ蒸着フィルムを使用することで、光沢感を持たせたプレミアムなデザインが可能になります。また、チョコレートや紅茶の包装にも採用され、視覚的な高級感と品質保持を両立しています。
さらに、アルミ蒸着フィルムは、カラー印刷との組み合わせによって、より多彩なデザイン表現が可能です。例えば、金や赤、青といった色彩を加えた蒸着フィルムを使うことで、ブランドのイメージに合わせた装飾効果を持たせることができます。このように、アルミ蒸着技術は、単なる機能性だけでなく、商品のブランディングやマーケティングにも大きく貢献しています。
アルミ蒸着フィルムは、単なる装飾用途にとどまらず、さまざまな機能性ラベルやシールにも応用されています。その一例が、防水・防湿性を備えたラベルです。
電子機器や電池、化学製品のパッケージでは、湿気や水濡れから内容物を保護するために、防水・防湿性のあるラベルが求められます。アルミ蒸着フィルムを使用したラベルは、これらの要求を満たし、耐久性の高い表示材として使用されます。
また、セキュリティ用途においてもアルミ蒸着フィルムは有効です。偽造防止のためのホログラムシールや、開封したことが一目でわかる「VOID」ラベルなどは、アルミ蒸着フィルムの特性を活かして製造されています。特に、ブランドの信頼性を確保したい製品(高級品や医薬品など)では、こうした機能性ラベルが重要な役割を果たします。
NISSHAの蒸着は、基材フィルムにアルミを蒸着し薄く均一な金属膜を成形することで、美しいメタリックイメージを再現します。また、コーティング、グラビア印刷技術と併用することで、様々な機能や意匠も同時に付与することが可能です。
NISSHAでは、高周波誘導加熱方式による真空蒸着機を使用し、蒸着の課題とされる膜厚の均一化を基材の搬送速度を安定化させることで実現しています。また、膜厚モニタ管理によりインライン膜厚測定が可能です。
部分蒸着は、部分的にマスクすることで、フィルムの特定部分にのみアルミの薄膜を形成する技術です。この部分蒸着によりフィルムの特定領域にのみ機能性や意匠性を持たせることができます。NISSHAでは、主に商品の視覚的魅力を高める目的でアルミの部分蒸着を採用しています。
NISSHAでは、高品質なアルミ蒸着を施すために、ロールの送り速度の安定化、インラインでの膜厚モニター管理を取り入れながら、蒸着材料の特性により適切な温度・圧力条件を選択し、効率的な生産体制を整えています。
NISSHAでは、真空蒸着技術を用いた高品質なアルミコーティングを、全面から部分蒸着まで幅広く対応しています。膜厚の均一性や意匠性の高さ、量産性にこだわりながら、商品価値を最大限に引き出す蒸着加工を提供しています。光沢感やバリア性能を高めたい、見せたい部分だけを演出したい、といったニーズにも柔軟に対応可能です。包装やデザイン用途でアルミ蒸着を検討中の方は、ぜひNISSHAにご相談ください。
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