
遮熱とは、太陽光や熱源から発生する赤外線(熱線)を反射・制御し、熱の侵入や上昇を抑える技術を指します。仕組みは、熱を“伝わらせない”断熱とは異なり、遮熱は熱エネルギーを跳ね返すことによる効果を利用したものになります。
最近では、遮熱効果を用いた建材など、多岐に活用されています。
遮熱とは、主に赤外線などの熱放射を反射し、熱負荷を低減させる技術です。外部からの熱の侵入を抑えることで、温度上昇防止、省エネなどの効果が得られます。
| 項目 | 遮熱 | 断熱 |
|---|---|---|
| 基本的な考え方 | 赤外線(放射熱)を反射して熱の侵入を防ぐ | 材料内部で熱を伝わりにくくする |
| 主に対象となる熱移動 | 放射(赤外線) | 伝導・対流 |
| 仕組み | 金属膜などで熱エネルギーを反射する | 空気層や低熱伝導材料で熱の移動を遅らせる |
| 主な材料・技術 | 金属薄膜、遮熱フィルム、遮熱塗料 | グラスウール、発泡樹脂、断熱材など |
| 効果が大きい状況 | 太陽光など強い放射熱がある環境 | 外気温と室温の差が大きい環境 |
熱の移動には、3つのパターンがあります。
固体内部で、熱が分子を介して伝わる現象。
例:金属棒の端を熱すると反対側も温かくなる。
気体・液体が移動することで熱が運ばれる現象。
例:暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下降する。
電磁波(主に赤外線)として熱が伝わる現象。
例:太陽の熱が宇宙空間を通過して、地球に届く。

遮熱の核心は、赤外線の反射率をいかに高めるかという点にあります。
特に金属薄膜は、赤外線に対して高い反射性を持つため、遮熱用途に適しています。
太陽光の約50%以上が赤外線で構成されています。
遮熱フィルムでは、赤外線を反射し、吸収する熱量を減らすことで温度上昇を防ぎます。
放射熱の制御により、物体の表面温度を制御できます。
熱放射の特性は、以下の3つで定義されます。
入射した光・熱をどれだけ跳ね返すか
光・熱をどれだけ吸収するか
吸収した熱を外部へどれだけ放射するか
反射率を高くし、吸収率・放射率が低いほど遮熱性能が向上します。
遮熱を実現する技術にはさまざまな種類があり、用途によって最適な方式が異なります。
特殊顔料などを塗料に混ぜ、塗布することで遮熱性を付与する方法です。
・大面積の建材や屋根に適用しやすい
・長期耐候性の製品も多い
透明性を保ちながら、赤外線だけを反射する多層フィルム技術による方法です。
※多層膜フィルム技術:異なる屈折率の膜(誘電体膜と金属薄膜など)を交互に積層することで、特定波長の光だけ干渉により反射させるよう設計されている
・自動車窓ガラス、建築窓、家電など幅広く使用
・多層設計により透過率・反射率を精密調整可能
アルミや銀などの金属薄膜は、赤外線反射率が非常に高く、遮熱に最適な方法です。
・真空蒸着で均一な薄膜形成が可能
・基材の柔軟性を維持しつつ高機能化

蒸着(真空蒸着)とは、金属を真空下で加熱し蒸発させ、基材表面に薄膜として堆積させる技術です。
1.金属を真空中で加熱し蒸発させる
2.蒸発金属を基材に付着させる
3.均一な金属薄膜が形成される
真空環境により、不純物の混入が少なく、均質で高品質な膜が形成されます。
| 成膜方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 蒸着(真空蒸着) | 金属を真空中で加熱して蒸発させ、基材表面に薄膜を形成する | ・装置構造が比較的シンプル ・高速成膜が可能 ・コスト効率が良い |
・膜の密着性がやや弱い場合がある ・複雑形状への均一成膜が難しい |
| スパッタリング | プラズマ中のイオンでターゲット材料を叩き出し、基材に堆積させる | ・密着性の高い膜が形成できる ・膜厚制御が精密 |
・装置コストが高い ・成膜速度が比較的遅い |
| CVD(化学気相成長) | ガス状の原料を化学反応させて基材表面に膜を形成する | ・均一で高品質な膜が形成可能 ・複雑形状にも対応しやすい |
・高温プロセスが必要な場合が多い ・装置・プロセスが複雑 |
蒸着は、コスト効率と光学性能のバランスが良いのがメリットです。
高周波誘導加熱方式による真空蒸着機を使用し、蒸着の課題とされる膜厚の均一化を基材の搬送速度を安定させることで実現しています。
PETをはじめ主にプラスチックフィルム基材を中心にアルミ蒸着をおこなっています。また、全面蒸着から部分蒸着まで幅広く対応しています。
膜形成条件を最適化することで大面積においても膜厚の高い均一性を確保しています。また、長期にわたる量産工程においても品質の安定性を維持できるため、信頼性の高い量産対応が可能です。
遮熱は、特に赤外線を反射することによって熱の侵入を抑える技術であり、金属薄膜・蒸着技術はその中核を担う方法のひとつです。
また、薄膜設計・基材選定・量産条件の管理を適切に行うことで、遮熱性・意匠性・耐久性を兼ね備えた高機能フィルムの安定生産が実現できます。
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