・PETフィルムに安定した蒸着加工をしたい。
・後加工にもそのまま投入できる高い品質が望ましい。
・大ロットでの蒸着加工が必要。
そのような場面で適しているパートナーは「蒸着加工ができる企業」ではなく、ロールtoロール(※)での
品質管理と蒸着加工に対応できる企業です。
NISSHAでは、PETフィルム向けに最適化された真空蒸着設備を保有しており、広幅や部分蒸着などお客さまが望まれる仕様を
安定した高い品質で提供しております。
量産前提で蒸着委託先を探している方に知っていただきたい技術をご紹介します。
※ロール to ロールとは、ロール状に巻かれた材料を連続的に巻き出し、加工を施し、再びロールに巻き取る生産方式です。
この方式は、枚葉方式(一枚ずつ加工する方法)に比べて低コストで大量生産が可能で、蒸着、印刷、コーティング、スリット等、さまざまな産業で利用されています。
ちなみに表記には、下記のようにいくつかのバリエーションがあり、文脈や業界により使い分けられています。
ロール to ロール、Roll to Roll、R to R、ロール・ツー・ロール、R2R
| 基材の種類 | 特長 | 形態 |
|---|---|---|
| PET(ポリエチレンテレフタレート) | 高い透明性によりディスプレイ用途や包装材料に使用されています。また、耐水性に優れ多くの化学物質に対して耐性を持ち合わせているため、食品・医薬用包装にも使用されています。 温度変化に対して寸法安定性が高く、加工時や使用時に形状が変わりにくい特性もあります。 NISSHAでは、PETフィルムへの蒸着加工の実績がございます。 |
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*その他の基材をご検討の方は気兼ねなくお問い合わせください。
| ライン速度 | ~450m/min |
|---|---|
| 塗工可能幅 | ~1,060mm |
| 基材厚 | 12~50µm |
| 真空度 | 10-2Pa~ |
外観・機能・コストのバランスが取れたPETフィルムへの蒸着を実現するには、
いくつかの前提が必要となります。
NISSHAでは、真空蒸着(Vacuum Deposition)方式を採用し、ロール to ロールで連続処理をおこなうことで、意匠性と機能性の両立、大ロット対応、広幅基材への加工など、お客さまのニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。
意匠だけでなく、遮光・反射・バリアなど機能を付与する蒸着にも力を入れており、印刷や積層などの前後工程との相性を考慮した加工にも
対応可能です。
NISSHAの真空蒸着は、加飾分野を中心にさまざまな採用実績があります。
・加飾
鏡面による反射感やメタリック感のある意匠表現が可能です。主な採用例として、家電製品の意匠/操作パネル、化粧品や文具のパッケージ、自動車のインテリアなど、素材に高級感を与える用途で多く使われています。
・遮光
アルミ層を構成することで、光を遮断できます。主な採用例として、電子機器の精度を保ち、誤作動を防ぐ目的で使用されています。
・抗菌
銀を蒸着することで、抗菌作用を持たせることができます。
NISSHAでは、PP不織布への銀蒸着の実績がございます。
当社実績以外でも使われる蒸着の用途をご紹介します。
・バリア
アルミは金属のため、ほぼ気体を通しません。酸素や水蒸気に対するバリア性により酸化、防湿、成分保持などの効果を有し、食品・
医薬品・化粧品・工業用途など幅広く使用されています。
PETフィルムは、パッケージングから建材、車載まで幅広い用途に使われており、特に意匠やバリア用途では広幅対応が求められるケースが増えています。
NISSHAでは、最大1,060mm幅のPETフィルムへの真空蒸着が可能です。
PETフィルムの厚みについては12~50㎛への加工実績があります。
また、広幅サイズの加工に際し、NISSHAでは工程全体のさまざまな要素を適切に管理し、安定的な量産を目指しています。
・張力制御
・蛇行補正
・温度管理
・膜厚管理
・シワ防止
真空蒸着は、単に「金属材をフィルムに乗せるだけ」の工程ではありません。
特にPETフィルムのような薄く柔軟な基材に対しては、搬送・熱管理・成膜・
速度・膜厚制御といった複数の要素を綿密に連携させないと、狙った性能を安定して得ることができません。
NISSHAでは、長年のフィルム加工技術と数多くの量産実績を活かし、ロール to ロール方式を軸とした量産性と精度を両立する生産体制を構築しています。
NISSHAの真空蒸着は、ロール to ロール(R to R)方式を採用しています。
これは、基材を連続的に送りながら蒸着加工を施す方式で、生産性とコスト効率に優れると同時に、一定の張力で搬送し続けることで膜厚の安定性に
寄与します。
しかも、ただ連続生産ができるだけではなく、巻出しから巻取りまでのテンション制御、フィルムの蛇行補正、ロール速度に応じた膜厚リアルタイムモニタリングといった機構を装置全体で最適化することで、高品位な蒸着膜を連続で量産することが可能です。
PETフィルムのように、熱や伸縮に繊細な基材に対して金属膜厚を均一に蒸着することは難しいです。
特に遮光・バリア・加飾といった用途では、膜厚の「均一性」が極めて重要になり、数十nm単位の厚みムラやピンホールといった不具合が製品となった際の性能や外観のバラつきにつながってしまいます。
NISSHAでは、以下の対策により、安定した成膜品質を実現可能としています。
・張力制御
・蛇行補正
・温度管理
・膜厚管理
・シワ防止
これらの対策により、フィルム全幅に対して膜厚ムラを最小限に抑えながら、
製品ロット間のバラつきの低減を可能にしています。
NISSHAでは、フィルム全体に対する全面蒸着だけでなく、フィルムの一部分のみに対する部分蒸着(パターン蒸着)にも対応可能です。
これは、特定の領域にのみ蒸着を施し、それ以外には蒸着材を付着させないマスキング技術で、グラビアやスクリーンなどの印刷工法と組み合わせた意匠形成に活用しています。
「どこに、どれだけ、どのような膜を蒸着するのか」という設計自由度の高さが、NISSHAの蒸着加工の特長のひとつです。
真空蒸着の品質は、使用する「装置スペック」だけでは決まりません。
製品ごとの要求特性に応じた環境整備や搬送時の制御設計、成膜中のモニタリング体制など加工を取り巻く”環境全体”が
品質の土台となります。
NISSHAでは、フィルム加工に適したクリーン環境と精密なプロセス制御体制を社内に整備しており、
再現性の高い蒸着品質を実現しています。
蒸着加工において異物混入は、膜の密着不良・ピンホール・外観不良など、さまざまな品質トラブルの原因になります。
特にPETフィルムは静電気を帯びやすく、異物の吸着リスクがあるため、
加工環境そのもののクリーン度が非常に重要です。
NISSHAでは、真空下で蒸着をおこなうことでそれらのリスクを排除し、品質の安定化に貢献しています。
蒸着膜の膜厚の違いは遮光性や反射性に大きく影響します。
NISSHAでは、成膜中にリアルタイムで膜厚を管理できるシステムを導入しています。
これにより、
・膜厚ムラや異常成膜の即時検知
・装置の設定値と実際の膜形成とのフィードバック制御
・製品ロット間の品質バラつきの抑制
を可能にしており、量産品の場合であっても一定の精度を保った蒸着を実現可能にしています。
ロール to ロール方式の蒸着において、送り速度のわずかな変動は膜厚ムラや搬送中のフィルムの伸びといった不具合を引き起こす可能性があります。
NISSHAでは、
・高精度なテンション制御装置
・ロール径や巻き取り量に応じた搬送補正
・搬送の起動/停止時の加減速管理
といった制御技術を組み合わせることで、安定した速度と張力でのフィルム搬送を可能にしています。
特に広幅フィルムでは、フィルムを送る際の乱れによりシワや膜厚不良などにつながる可能性があるため、このような搬送系の設計は品質確保するうえで要ともいえます。
自動車(内装)等に利用されています。プラスチック表面に、成形と同時に絵柄・機能を転写する「成形同時加飾技術 IMD,IML」は様々な業界で高く評価されています。 絵柄を印刷したフィルムを用いて、3D形状の樹脂表面に機能やデザインを付加します。
「成形同時加飾技術IMD,IML」を用いて、身近な家電製品のプラスチックパーツのデコレーションを行っています。 世界の様々な製品をより多彩に、そして美しく飾ります。
プラスチック成形品のみならず金属やガラスなどへの加飾を可能にする熱転写箔(ヒートトランスファーフォイル)。日本初の熱転写箔を開発して以来、NISSHAの独自技術は「ニッシャパトラン」のブランド名で長く愛されてきました。IMD (In-mold Decoration)で表面加飾の分野をつねにリードし続けてきたNISSHAの加飾技術の起源となる製品です。コスメティクスパッケージ、文房具、雑貨など身の回りのさまざまな製品のデザインに活用されています。
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