薄膜とは、主にPETフィルムなどの表面に形成する10㎛以下のごく薄い皮膜のことを指します。薄膜はその薄さから薄膜のみでは存在できません。そのため、薄膜は基材フィルムの表面に付着する形で存在します。
薄膜を形成する工法でNISSHAでも取り入れている塗工工法がウエットコーティングになります。
具体的には、機能付与するための物質を溶媒に対して溶解または分散することで液体化します。その溶剤を基材に対して均一に塗布し、乾燥または硬化させることにより固体薄膜化させます。液膜へのホコリや異物の付着を避けるためNISSHAではクリーンルーム内にて作業をおこないます。
ウエットコーティングはドライコーティングと異なり真空環境が不要となり、大気圧環境下での塗工が可能です。また、Roll to Rollによる基材の連続供給が可能になります。このように、ウエットコーティングは量産におけるメリットが大きいため、さまざまな塗布方式を用いて広く採用されています。
NISSHAでは、転写箔の印刷用ベースフィルム塗工で培ってきたコーティング技術を利用し、主に有機系の薄膜をフィルム上にコーティングすることが可能です。
コーティング技術は塗工技術の基本であり、さまざまな分野で利用することが可能です。
NISSHAでは主に2種類のコーティング技術を保有しています。
塗工の方式の使い分けは、塗工するインキの厚みと粘度により決定します。
この2種類のコーティング方式で、さまざまな塗工が可能です。
薄膜形成の方法とプロセス
NISSHAでは、コーティング機を使ったキスリバースグラビア方式で対応可能です。
液膜へのホコリや異物の付着を避けるため、クリーンルームを完備しています。
薄膜形成に使用される材料と装置
NISSHAで薄膜が可能な素材は、キスリバースグラビアコーティング機を使用し、各種PETフィルムへ薄膜の形成が可能です。
薄膜形成における課題と解決策
課題
薄膜は非常に薄く、微細な特性を持つため均一性が非常に重要になりますが薄膜の形成中に気泡、乾燥不良などにより膜厚や密度の均一性に影響が出る場合があり膜厚の均一性を向上させる技術が求められています。
解決策
机上で設計した理論値だけでは、実際の加工時に不具合が発生する場合があります。不具合を未然に防ぐため、当社にて試作が可能です。
コーティング技術の他にもグラビア印刷、蒸着、成形など幅広い加工技術でお客さまのご要望にお応えします。
定義
一般的に薄膜とは、主に厚さが10㎛以下の膜のことを指し、それ以上のものは 厚膜と呼ばれています。
種類
薄膜にはさまざまな種類があります。使う材料により金属薄膜、半導体薄膜、絶縁体薄膜などがあります。その他にもレンズのコーティングに使う光学薄膜、集積回路などの電子部品に使う磁性薄膜、クライオトロンという素子に使う超伝導薄膜などがあります。
特性
薄膜はガラスやプラスチック、金属といったさまざまな基材に薄膜をコーティングすることで、製品の機能を高め、生活をより快適にしているのが機能性薄膜になります。
薄膜は、材料や製造方法によってさまざまな特性を持っていることから、多くの製品に利用されています。(例:装飾、建材、電子機器・ディスプレイ、自動車(車載機器)など)
応用
光ファイバーなどの通信網、セキュリティー用途では赤外線を透過・遮断する赤外線フィルター、LED照明でより物体を自然な光で照らすための高演出フィルターなど日常生活には欠かせないものとなっています。
薄膜ディバイスの種類と特徴
【種類】
光学的な用途 :反射防止膜、フィルター膜、透明導電膜
電磁気的な用途:集積回路、表示ディバイス、光ディスク、太陽電池膜
機械的な用途 :耐摩耗性膜、固体潤滑膜
科学的な用途 :耐食性膜、バリヤ膜
【特徴】
薄い膜状の構造、高い信頼性、高い応答性、低消費電力、多様な応用に対応可能
非常に薄い膜状の材料を使用して作られるため、軽量かつ薄くすることが可能です。
これによりディバイスの薄型化、軽量化により、さまざまな応用に適した形状やデザインの再現が可能になります。
薄膜コーティングとは、物体表面に極薄の膜を成形する技術で、主に保護、美観、機能追加、摩擦低減などを目的としています。
自動車や航空機の部品、建築資材、エレクトロニクス、光学機器などさまざまな産業で広く 使用されており、耐久性、耐摩耗性、耐腐食性、高温耐性、光学性能、電気的性能などの特性を向上させることが可能です。
薄膜系太陽電池
シリコン太陽電池よりも薄い素材で構成されるため、材料コストを抑えることで生産コストを低くできます。また高い柔軟性からさまざまな形状に曲げることが可能であり、気温の影響を受けにくいことから高温下においても効率の維持が可能です。
今後は屋根や壁といった建物一体型太陽光発電や車両などの、移動体にも搭載が可能なことから、さらなる分野への採用拡大が期待されています。
薄膜封止(TFT)
電子ディバイスや液晶ディスプレイなどの電子部品に対して、薄膜を使用することで湿気や酸化、腐食などの外部環境からディバイスを保護し信頼性を向上させることが目的になります。
薄膜封止は、電子部品の信頼性を向上させるためには欠かせない技術で高い信頼性が求められる分野において重要な役割を果たしています。
環境にやさしいコーティング技術
水系塗料や生分解性ポリマーを使用することで、環境負荷を低減し持続可能な製品開発へ貢献します。
自己修復性コーティングの開発
傷がついた部分を自己修復する機能を持ったコーティング技術によって塗装された部品の寿命が延び、再塗装などメンテナンス費用の削減が可能になります。
薄膜とはどのぐらいの厚みがありますか?
細かい定義はありませんが、一般的には10㎛以下のものが薄膜と呼ばれています。
身近な例では『紙』の厚みがおよそ60~70㎛。アルミホイルで10~60㎛になります。
薄膜を使うことで、どのようなメリットがありますか?
皮膜によってコーティングされたものを保護し、表面の性質を変えたりすることが可能になります。
塗工した薄膜の厚さはどのように測定されますか?
NISSHAでは、非接触式の膜厚測定装置を使用し膜厚を測定しています。
薄膜コーティングで、キスリバースグラビアコーティング方式を使用するメリットについて
キスリバースグラビアコーティングは、フィルムの進行方向に対してグラビアロールが逆回転して溶液を塗工する方式になります。そのため、通常のグラビア方式で発生 する版目(セル目)や縦スジの発生を防ぐことができます。その結果、高い生産性を持ち合わせています。また、均一な薄膜の形成が可能であることから、特に高品質な薄膜を生産するための技術として、広く使用されています。
試作塗工は可能ですか?
可能です。詳細はお問い合わせください。
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