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共感から 新しい扉を開くSurfaceWorks -Doors-|トヨタ自動車株式会社さまと考える10年後のモビリティライフとは

2025/05/26

EVENT

サーフェスの在り方を通して“人が感じる心地よさ”を探求してきた「Nissha SurfaceWorks」。未来を生きる人たちにとっても心地よいと感じていただけるものづくりをNISSHAが実現していくために、クライアントやパートナー企業のみなさまと共感できる未来を考えるアプローチとして、この度体験型プログラム「SurfaceWorks -Doors-」を企画しました。

「SurfaceWorks -Doors-」のパンフレット ―新しいはじまり、可能性、未来への選択肢、変化や成長を象徴する「Door」。ドアを開くという行為を通じて、未来への入り口と新しい可能性をともに創造していきます。

近年、私たちを取り巻く社会の変化として、サステナビリティへの課題意識がグローバルに高まっています。変化が著しく、確かな未来を予測することが難しい現代において、時代のニーズを満たすだけではなく、これからの世の中にとっても“心地よい”と感じられる製品づくりを実現していくためには、どのようなアプローチが必要とされていくのでしょうか。

国や業界を越えた多種多様なステークホルダーが関わるものづくりの現場において、このような大きな課題に対峙するとき、一社だけで解決策を見出そうとするのではなく、すべてのプロセスに関わる人々が立場や垣根を越えて対話し、知識や経験を共有しあうことが必要です。そうした機会を通じて、環境負荷を軽減する選択肢を増やすことや、より良い未来へ向けた新たなクリエイティビティが生まれると私たちは考えています。

本記事では、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)のクルマ開発センター カラー&感性デザイン部のみなさまと2024年12月に行った「SurfaceWorks -Doors-」の様子をお届けします。

(※1) CMFデザインとは
意匠表現や機能性を向上するために「Color (色)・Material (素材)・Finish (仕上げ)」を考慮したデザインの手法。

ワークショップ会場の中央テーブルに並べられたNISSHAのCMFサンプル

 

SurfaceWorks -Doors- 開催概要
参加者は、次代を当事者として生きていく20代を中心とした若手メンバー。
技術と知識の継承、企業間で育む関係性の継続的構築と、未来を自分ごととして捉えた発想が期待されるメンバーとして各社6名ずつ、計12名が集まりました。NISSHAからは、デザイナーと営業からメンバーを選出しました。


■Day 1:Nissha IMD 技術体験と成形工場の見学
まずは、NISSHAのコア技術となるIMD技術について理解を深めていただくため、2人1組でそれぞれの企業のコーポレートカラーを調色、グラビア印刷から乾燥、成形までのプロセスを実際に体験いただきました。

■Day 2:10年後のモビリティライフを考えるワークショップ
両社のCMFデザインに対する考え方、トレンドリサーチや分析アプローチ、インスピレーションのためのマテリアル紹介など、さまざまな視点からのインプットを踏まえて3つのグループに分かれ、課題設定・ディスカッション・中間発表・アイデア発表を行いました。

望ましい未来に向けた問いを引き出すため、インプットは丁寧に実施。目前に迫る2-3年先の未来を起点としたフォーキャストと、メガトレンドから見えてくる遠い未来からのバックキャストの双方向からトレンドを考察することで、10年後の社会に求められるモビリティの姿を予想しました。

インプット1:10年先のメガトレンドについて
Design & CMF グループ トレンド分析リーダー 山本 崇弘(ワークショップ ファシリテーター)より、NISSHA TREND VISION制作時に活用するリサーチ・分析内容と、2030年・2040年の国内、海外におけるメガトレンドをご紹介しました。例えば、日本では「世界に先駆けて人口減少に起因する社会課題に向き合うことになる」など、起こり得る社会の動向も踏まえてモビリティのあり方やCMFデザインを検討していく必要があります。


インプット2:マテリアルインスピレーションについて
これまでアーカイブしてきた膨大なマテリアルの一部をワークショップ会場に並べ、参加メンバーに情報や色彩、触感からインスピレーションを得ていただけるようなコーナーを設けました。
植物由来でありながらも、煌やかなデザイン表現を可能とする素材など、近年新たに開発が進んでいるマテリアルについてもご紹介しました。


より深く共感できるアイデアを発想するために、インプットの時間を丁寧に設け、両社の考え方や強みを改めて理解したうえでグループでのディスカッションに入りました。

次代をつくる若手メンバーが考えた心地よいモビリティとは

参加メンバーが着目したのは、人口減少と地方における過疎化、超情報化社会、多様化する社会における一人ひとりの豊かさの実現など、すでに顕在化している社会の課題が深刻化する未来の課題解決へのアプローチでした。

各グループのディスカッションにおいても、切り離された遠い未来や地域の話としてではなく、出身地やコロナ禍を経た経験など、当事者としての体験、意見が多く含まれていたように感じられます。

オンラインホワイトボードを用いたアイディエーション

ピックアップされたマテリアルとCMFサンプル

3つのグループからは、
・情報過多の世の中でノイズから離れる時間を提案するための外向的・内向的なマテリアルの組み合わせ
・少子化により幼馴染が少なくなる課題に対して、ライフステージに寄り添うようなモビリティの提案
・自由という言葉の裏側で生まれるギャップや境界に着目し、故郷と都会をつなぐようなUI/UXのアプローチ
など、10年後のメガトレンドから関心を寄せた分野に対して、望ましい未来へ向けたモビリティのあり方や、目指したい心地よさへのコンセプト、マテリアルコーディネートのアイデアが発表されました。

当初予定していた時間をオーバーするほどのディスカッションからは、想像以上の熱量が感じられ、立場や垣根を越えてアイデアを共創していくことの意義を改めて実感しました。限られた時間でのワークショップとなりましたが、次代のものづくりを考える参加メンバーが、より良い製品づくりに向けたヒントを得られる時間を過ごせたのではないかと思います。

参加いただいたトヨタのみなさまからは、
・視点や環境の異なる方々とアイディエーションすることで、自社だけでは辿り着けなかった思考や発想があり、さまざまな企業・職種の方とコラボレーションする価値や意義を再認識できた。
・普段の業務とは異なる視点のコミュニケーションが生まれ、考え方や手法は違っても「私たちがどう豊かに生きられるか?」という共通の未来を目指していることがわかった。
・NISSHAの技術に直に触れることができ、とても理解が深まった。新しい技術開発にも積極的に挑戦されている様子が印象深かった。
といった感想が寄せられました。

また、NISSHAの若手メンバーからは、
・デザイナーのみなさまとのFace to Faceのディスカッションを通じて、クライアントが実現したいCMFデザインを正しく理解した上で、それに適した工法を提案するための対話の必要性を改めて感じた。
・サステナブル素材を使いながら、心地よいトータルコーディネートを提案していく必要性を感じた。
・ゼロからともにアイディエーションすることで、なぜその意匠が求められているのかを背景から理解でき、視野が広がる時間になった。
といった気づきが共有され、対話や共感を通して生まれる次代のものづくりが楽しみになる2日間となりました。

「より良いものづくりをしていくためには、人間関係が大切である」と掲げるトヨタさまの理念を間近に体感することになった今回のイベント。10年、20年後に起こり得る未来から望ましい未来をともに思索し、アイディエーションするプロセスは、ものづくりを通して世の中を豊かにしていきたいと考える両社にとって、共感の扉を開く機会となりました。

私たちNISSHAは、これからも時代を超えた心地よさを追求し、SurfaceWorksを通して世界中の人々の目を楽しませ、手に触れ、安らぎのある日常を提供していきます。今後も「SurfaceWorks -Doors-」を通して、新しいものづくりの扉を開くためのコラボレーション機会を促進していきたいと考えています。

「SurfaceWorks -Doors-」の開催やビジネスパートナーにご興味がございましたら、お気軽にお問合せください。

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