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「NISSHA TREND VISION 2023」ワークショップ参加レポート

2023/03/17

EVENT

Design & CMFグループが毎年発行している「NISSHA TREND VISION」。

私(フリーライター:柴田)は、普段アカデミックな分野に携わるライターの仕事をしています。NISSHAさんとはサステナブル製品分野での記事作成がきっかけとなり、一昨年(2021年)からこのレポートの文章作成に関わることになりました。
そして昨年(2022年)は、12月に開催されたレポート制作の最終段階に行うワークショップにも参加。こちらでは、そのワークショップの様子をお話ししたいと思います。

「NISSHA TREND VISION」とは?

「NISSHA TREND VISION」は、世界中のデザイン、建築、芸術、テクノロジーなど様々な分野のトレンドを調査・分析し、独自の視点で仮説を立て、2〜3年後の未来として可視化したトレンド分析レポートです。

「NISSHA TREND VISION」について

Design & CMFグループでは2014年から年に1回、「NISSHA TREND VISION」を発行しています。年間を通じて日々さまざまな情報を収集・ 分析し、そこから4つのトレンドテーマを導き出すことで、それぞれの世界観を作り込んでいくのですが、そのブラッシュアップの場として定期的にワークショップを開催しています。ワークショップを通じて分析内容に徐々に磨きをかけながら、丁寧にその年の最先端トレンドを可視化・言語化していきます。

トレンド分析に「In-Out」軸&「Nature-Technology」軸という方向性を新設定

2022年12月に開催されたワークショップにはファシリテーターとしてINFOBAHN DESIGN LAB.の遠藤英之氏を迎え、Design & CMFグループに加えて、国内外で活動するNISSHAの営業や開発の担当者、流行に敏感なインターンの大学生など所属部門や世代の異なる約20名が参加しました。
ワークショップは前後半の2部制で、前半の「TREND VISIONブラッシュアップセッション」では、初めにトレンド分析のプロセスについてプレゼンテーションがありました。

昨年までは、幅広い分野から収集・蓄積した膨大なトレンド情報やアイデアソースをKJ法で整理・分析して、傾向の方向づけを行っていました。トレンド分析プロセスについてはこちら

それに対し、今年からはトレンド分析の新たな方向性として、「In-Out」軸、「Nature-Technology」軸という2つの軸を新規設定しました。
なお、 昨今、欠くことのできないテーマである「サステナビリティ」については全ての方向性に影響を与えるものとして、このマッピングとは別枠を設定しています。

「In-Out」軸
・In : 内的(個や内面など)要素
・Out : 外的(社会や規範など)要素

「Nature-Technology」軸
・Nature : 自然要素
・Technology : テクノロジー・技術要素

サステナビリティ 
素材、技術、システム、サービス、デザインなど、特定の分野は設定せずサステナブル分野の情報収集

「In-Out」軸と「Nature-Technology」軸の2軸で、4つの象限に区切ったことで、今後はマッピングデータを同じポジショニングで比較できるようになりました。この先、毎年データを積み重ねていけば、各年の変化だけでなく、その変遷もより分かりやすく視覚化されていくわけです。
ここが2023年版のトレンド分析の大きなポイントだと言えます。

「TREND VISIONブラッシュアップセッション」の時間は、Design & CMFグループが作成した4象限のトレンド仮説をもとに、各自がキーワードを挙げ、意見交換しながら集約して、各象限の特徴を見つける作業をしました。
意見交換では、「Nature(自然)」を木々などの「植物」として捉えた意見もあれば、意図的な手が加わっていない「自然美」や「自分らしさ」、「ありのままであること」として捉えた意見が出るなど、各自の着眼点の違いが表れていて、自分にはない発想に気付きも多かったです。
遠藤氏のファシリテートに導かれながら徐々に議論を深めていく作業は刺激的でクリエイティブな体験でしたし、4つの象限それぞれで話が尽きない様子からも、改めて「In-Out」と「Nature-Technology」という2軸の設定は絶妙だと感じました。

日頃なかなか経験できない深い思考作業に没頭すること数時間、まるで脳が激しい運動をしたような疲労と爽快さを感じながら、前半のプログラムが終わりました。

情報&コメントの共有を通して、多面的な視点や考え方を育む

ワークショップ後半では、Design & CMFグループが日頃から行っている情報収集ワーク「気になる発表」を体験しました。

「気になる発表」とは、国内外のDesign & CMFグループメンバーが毎日1人持ち回りで、1つの記事を発表する情報共有の取り組みです。
発表者は毎月のテーマに合わせて調べたことをオンライン会議ツール上で共有し、メンバーはその発表を聞きながら、感想や補足情報をチャット欄に書き込んでいきます。

発表を行うNISSHA開発部門のメンバー

今回のワークショップでは、参加者の中から選ばれた5名が 「サステナブル」をテーマに自身の気になったニュースを発表しました。彼らが取り上げたニュースは、海外で資源ごみをリサイクルするアプリや100%植物由来素材で作ったスニーカー、スマホゲームと植樹活動のコラボイベントなど、内容はさまざま。
各発表に対するコメントも、参加者の専門や興味関心、世代や生まれ育った国や地域など、異なるバックグラウンドから生まれる多様な意見や情報が次々と書き込まれていて、それを見ているだけで面白かったです。

参加者からは「1つのテーマに関して多様な視点で情報収集ができる」、「新しい論点や考え方に触れるきっかけになる」といった声や、他にも「発表者の人となりを知ることができる」、「情報共有に対するコメントから、多面的な視点や考え方が得られる」などの感想もありました。
実際にやってみると、トレンド調査だけに留まらずコミュニケーション促進にもつながり、継続することでさらなる価値が生まれていく、とても良い取り組みだと思いました。(個人的には、ライターとしてのスキルアップのために自分でも週1回はやっていこうと決意した次第です。)

トレンドの変遷を長期視点で3次元的に捉えていく

今回、ワークショップを通じて、「NISSHA TREND VISION」制作プロセスの一部分を垣間見ることができました。
常にアンテナを張って最新のトレンド情報を収集・分析し、その奥底から次に来る新しい価値観やアイデアの種を探し出す活動は、ものづくりの源流となる部分です。ここに価値を置いて社内に専門チームを作り、会社として継続的に取り組んでいるところにNISSHAのものづくりに対する真摯な姿勢を感じました。

今年、トレンド分析に新たに「In-Out」軸と「Nature-Technology」軸を設定し、4象限のマッピングを始めましたが、毎年のレイヤーが積み重なるにつれ、これまで平面で2次元的に追ってきたトレンドの変遷を、時系列においても3次元で立体的に捉えるような、新たな領域に入っていく可能性も見えています。過去からの変化を視覚的に表現し、将来に向けた長期的なトレンド傾向の分析も可能になっていくかもしれません。

以上、ライター柴田のレポートでした。

柴田祐希/Yuki SHIBATA
編集者・ライター。
大学卒業後、編集プロダクションで書籍・雑誌等の企画・編集・制作に従事。その後、東京大学公共政策大学院での広報職を経て、フリーに。
現在は、ビジネス系専門メディアや教育専門誌の他、企業サイト、企業のオウンドメディアなどで記事を企画・制作。企業経営者や技術者、研究者などへのインタビューを手掛ける。
2021年発刊の東京大学未来ビジョン研究センター(編)『未来探究2050 – 東大30人の知性が読み解く世界』(発行:日経BP、日本経済新聞出版本部)にライターとして参加。

このようなNISSHA Design & CMFグループのトレンド分析プロセスや、そこから生み出されるサンプルブックにご興味がございましたら、お気軽にお問合せください。

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