従来は、低吸水性や耐薬品性の観点から、エンジニアリングプラスチックであるPPS(ポリフェレニレンサルファイド)が用いられていました。
近年は、レーダーの汎用化に伴い、PBT(ポリブチレンテレフタレート)が主流になっています。そのうえで、多くのメーカーは製造工程を工夫し、低コスト化の実現へと取り組んでいます。
透過性の悪化を解消するヒーター技術
保護部品の材料が優れていて電波透過性に影響がなかったとしても、天候の影響で性能が悪化してしまう可能性があります。その解消手段の一つとしてヒーター技術が注目を浴びています。
天候による電波透過性の悪化
ADASで用いられるセンサーの多くは、雨や雪、霧などの天候の影響を受けてしまいます。
特に、電波透過性型センサーの場合、雪が付着するだけで極端に精度が落ちてしまうため、速やかに雪を除去する必要があります。
雪を除去する手段の一つとして、センサーの表面にヒーターを設置する案が採用されています。
ヒーターに必要とされる機能
エンジン始動直後からADASを正常に作動させる必要があるため、センサーの表面に取り付けるヒーターには2つの機能が求められます
一つは急速加熱性、もう一つは透明性です。加熱時間が長いと、雪を除去する時間が長くなり、ADASが正常に作動しない期間が延びてしまいます。
また、透明性についてはセンサーの精度に影響を与えるため、できる限り透明である必要があります。
また、センサーは自動車の外部など人目につきやすい場所に搭載されていることもあります。
ヒーターが車両の魅力的な外観を損なわないように、ヒーターにも柔軟性が必要とされます。
NISSHAが開発するフィルムヒーター
NISSHAでは、ADASに用いられる各種センサーに最適なフィルムヒーターを開発しています。
フィルムヒーターは2種類あり、一つは視認性と急速加熱の両立を実現した透明フィルムヒーター。もう一つは、素早い昇温と高い形状自由度を実現したワイヤー埋め込み型のフィルムヒーターです。
透明フィルムヒーター