自動車内装で需要が増加するポリプロピレンとは

自動車の内装パーツでも注目が集まるポリプロピレン

ポリプロピレン(以下PP)は、自動車で使用される樹脂の中で最も多く採用されています。しかし、NISSHAが長年供給している自動車の内装パーツでは、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(以下ABS)や、ポリカーボネート/ABS(以下PC/ABS)を多く採用してきました。これらの樹脂は高い耐衝撃性をもち、高級感のある美しい仕上がりにできる素材です。近年、いくつかの理由からABSやPC/ABSからPPに置き換える動きが加速しています。
ポリプロピレンの特性とメリット
PPは、その多彩な特性から、さまざまな用途で利用されています。以下に、PPの主な特性とそれによるメリットを詳しく紹介します。
軽量性と高強度
PPは非常に軽量でありながら、高い強度を持っています。このため、自動車部品に使用することで車両全体の軽量化が図れます。軽量化は燃費向上に直結し、CO2排出量の削減にもつながります。例えば、車両の重量を10%削減することで、燃費が約5~7%向上するとされています。
加工性とデザインの自由度
PPは加工が容易であり、射出成形や押出成形など、さまざまな成形方法に対応できます。これにより、複雑な形状や細かなデザインも実現可能です。自動車の内装や外装部品において、デザインの自由度が高まることで、より魅力的な製品を提供できます。
耐熱性と耐薬品性
PPは耐熱性に優れており、高温環境下でも安定した性能を発揮します。また、耐薬品性も高いため、化学薬品や油脂類に対する耐久性があります。これにより、エンジンルーム内の部品や燃料タンクなど、過酷な環境で使用される部品にも適しています。
リサイクル性と環境配慮
PPはリサイクルが容易であり、使用済みの部品を再利用することができます。リサイクル工程においても、品質を保ちながら再生可能であるため、廃棄物の削減に寄与します。また、リサイクル材を使用することで、バージン材の使用量を削減し、資源の有効活用が図れます。
自動車の樹脂部品にPPを採用することのメリットとは?
1 自動車樹脂部品のリサイクラビリティの向上
ELV(End-of-Life Vehicles)規則を受け、自動車用樹脂部品のリサイクラビリティを上げるためにPP仕様のモノマテリアル化に注目が集まっています。
2 再生PPやバイオコンポジット材の活用
NISSHAの加飾成形技術は、低グレードの再生PPやPPとバイオマス素材を複合したバイオコンポジット材にも対応しています。これにより、異物が見えるなど外観に特徴がある素材でも、その特性を活かしたデザインが可能です。また、外観を隠したい場合にも効果的な加飾が施せるため、デザイナーの多様な要望に応えます。
低グレード再生PPの活用
低グレードの再生PPは、異物が混入していることが多く、そのまま成形すると外観が劣ることがあります。しかし、当社のフィルム加飾技術を用いることで、異物を隠し、美しい外観を実現できます。これにより、コストを抑えながら高品質な製品を提供することが可能となります。
バイオコンポジット材の利用
PPと植物由来の繊維などのバイオマス素材を複合したバイオコンポジット材は、化石燃料由来の樹脂の使用量を減らし、環境負荷をさらに低減します。しかし、バイオコンポジット材は異物感があるため、そのままではデザイン性に欠けることがあります。当社のフィルム加飾技術を用いることで、バイオコンポジット材の特性を活かしつつ、美しい外観を実現できます。
3 環境負荷低減とコスト削減の両立
当社のPP樹脂加飾製品は、リサイクル材の使用を促進し、環境負荷の低減に貢献します。同時に、ABS樹脂の代替としてコストを抑えることができるため、経済的なメリットも享受できます。自動車業界のデザイナーやエンジニアにとって、当社の製品は環境配慮とコスト削減の両立を実現する最適な選択肢となります。
環境負荷の低減
リサイクル材の使用は、廃棄物の削減だけでなく、資源の有効活用にもつながります。さらに、製造過程においてもエネルギー消費を抑えることができるため、全体的なCO2排出量の削減が期待できます。当社のPP樹脂製品を使用することで、環境に配慮した製品作りが可能となります。
コスト削減のメリット
ABS樹脂は高価であり、コスト削減が課題となることが多いですが、PPを使用することでコストを大幅に削減できます。また、当社のフィルム加飾技術を用いることで、製造工程の簡略化や効率化が図れ、さらなるコスト削減が可能です。これにより、競争力のある価格で高品質な製品を提供できます。
NISSHAのPP樹脂加飾製品ラインナップ
NISSHAでは、自動車業界のニーズに応えるために、以下のような特長を持つPP樹脂加飾製品を提供しています。
深絞り形状対応タイプ(Type-P):
表層に薄くリサイクル性を阻害しないPMMA層を配し、高い表面硬度を実現。
PPのみで構成されたタイプ(Type-P):
深絞りにも対応し、シンプルな構造でコスト効率も良好。
インクのみがPP樹脂上に転写されるタイプ(Type-TR):
プレフォーム工程が不要で、製造工程の簡略化とコスト削減を実現。
NISSHAはお客さまのニーズに沿ってご提案が可能です。ABSやPC/ABSからPPに置き換えたい、再生PPやPPを複合したバイオコンポジット材を使った加飾成形にご興味をもった方は、ぜひお問合せフォームよりご相談ください。
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