PETフィルムの基本(用途と特性)

PETフィルム(用途と特性)

PETフィルムとは?

Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート、という正式名称の高分子フィルムをいいます。通常は“PETフィルム”と略されています。

PETフィルムの特徴として以下があげられます。

  • 透明性・・・高い透明性と光沢があります。
  • 強度と耐久性・・・引張強度が高く、耐摩耗性に優れています。
  • 耐熱性・・・高温環境下でも耐えることができます。
  • バリア特性・・・湿気を通しにくいため、食品梱包に適しています。
  • 電気絶縁性・・・温度や湿度の変動に対しても安定した絶縁性があります。

また、PETフィルムはリサイクルが可能で環境に優しい素材であることも

PETフィルムとは

PETフィルムの特性

PETフィルムは、耐久性があり平滑性も高く、耐熱性もあるため、グラビア印刷に非常に適しています。

一般的なPETフィルムは透明であり、光を透過しやすい特性があります。光をほぼ完全に透過させるため、視認性が必要な用途に広く使用されています。
主な使用用途はグラビア印刷やラミネーション、医療用具など多くの産業で利用されています。
また、パッケージングの中身を見せることができる食品や商品のパッケージングにも多く利用されています。

PETフィルムの種類

PETフィルムの種類 特性・用途
以下のように透明PETフィルムにさまざまな特性を追加することもできます
耐熱PETフィルム 高温環境下での使用に適しています。
主な使用用途は、電子機器や自動車部品などに使用されています。
耐摩耗性PETフィルム 長時間耐久性が求められる場合に適しています。
主な使用用途は、長時間耐久性が求められるタッチセンサーやディスプレイ保護フィルムなどに使用されています。
熱収縮性PETフィルム 製品の包装に適しています。
主な使用用途は、瓶や容器の包装やラベリングなどに使用されています。
反射防止PETフィルム ディスプレイや光学機器に適しています。
主な使用用途は、カメラのレンズや太陽電池など光の透過性や反射が重要な役割を果たす製品に使用されています。
導電性PETフィルム 導電性の添加物を使用して導電性を持たせたPETフィルムです。
主な使用用途は、タッチセンサーや太陽電池、電子回路基板などに使用されています。
バリアPETフィルム ガスや水分に対してバリア特性を持たせたPETフィルムです。
主な使用用途は、ビールや果汁、乳製品の梱包の他医薬品にも使用されています。
冷間成形PETフィルム 特殊な生産工程により、通常のPETフィルムより大きく伸びるため、加熱せずに成形が可能なPETフィルムです。
主な使用用途は、医薬品や食品包装に使用されており、特に医薬品の錠剤やカプセルのブリスターパックによく使用されています。

このようにPETフィルムの種類が多い理由は、PETフィルムが持つ多様な特性を最大限に活用できるように、生産プロセスを調整することでさまざまな種類のフィルムを作ることが可能になったからだといえます。

PETの物性について

物性の調整技術 概要
共重合 2種類以上のモノマー(単体の分子)と共重合させることで、一つの高分子化合物(ポリマー)を作り出す化学反応を指します。これにより各モノマーの特性を組み合わせた新しい材料を作ることが可能です。

※共重合とは:化学反応の一種で、2種類以上の異なるモノマーを混ぜ合わせて一つのポリマー(長連鎖の高分子化合物)を作り出すことを指します。共重合によりそれぞれの特性を組み合わせた新しい特性を持つことが可能です。新しい材料を設計する場合などにおいて共重合は重要な手段となります。
塗布・コーティング 表面に特定の材料をコーティングすることで、接着性、印刷性、耐摩耗性、耐光性などの特性の改善が可能です。
メタライズ アルミニウム(AI)や金属を蒸着させることでPETフィルムに光沢を出し高い反射性とバリア性能を持たせることが可能です。また、水分の透過を大幅に阻止することで、食品の鮮度保持にも役立ちます。

PETフィルムの使用用途

PETフィルムは高性能な高分子である一方、安価なため汎用性が非常に高いのが特徴です。使用用途は工業用や包装用、液晶テレビ向けの機能フィルムなど多岐にわたります。

例えば、耐熱性を活かしたレトルト食品の包装材や高い平滑性を活かしたラミネート基材などの特性を利用しさまざまなものに利用されています。

用途の多様性 要求性能
印刷 高い透明性と光沢、耐摩耗性が要求されます。
パッケージング 食品や飲料の梱包に多く使用されます。透明性や耐久性、優れたバリア性能が求められます。
建築材料 窓ガラスの保護フィルムや断熱材として使用されます。耐候性と耐熱性が求められます。
医療 医療用具や医薬品の梱包に使用されます。PETフィルムは無毒であり、化学的に安定しているため医療分野での使用に最適です。

PETフィルムへの印刷

印刷の種類

印刷の種類 特性
グラビア印刷 彫りの入った凹版を使用して印刷する技術です。高品質な印刷が可能で、PETフィルムへの適用例も多いです。
当社が得意としている印刷工法になります。
スクリーン印刷 メッシュを使用してインキを転写する技術です。平坦な表面や曲面への印刷に適しています。
PETフィルムへの適用例は主にタッチセンサーがあります。
オフセット印刷 平版印刷の一種で、画像を直接紙に印刷するのではなく、まず滑らかな表面(通常は金属製のプレート)にインクを転写し、その後ゴムブランケットを介して紙に印刷します。高品質で効率的な大量印刷に適しており、新聞、雑誌、カタログ、書籍、パンフレットなど大量に印刷する必要がある商業印刷物に広く使用されます。
フレキソ印刷 フレキシブルなゴムまたはポリマー製の印刷版を使用して、インキを転写する技術です。高速で大量印刷に適しており、包装やラベルなどに広く使用されます。
インクジェット印刷 デジタル印刷の一種で、コンピューターを使い紙や他の材料にインキを噴射することで画像やテキストを印刷する技術です。特徴としては高解像度であり多彩な色彩表現が可能です。版作成の必要がないため少量の印刷に適しています。家庭用プリンターから大規模な商業印刷まで幅広く使用されています。

デジタルプリント

PETフィルムは、デジタルプリントに広く利用される素材の一つです。PETフィルムの特性から耐久性、透明性、柔軟性が求められる用途に多く使われています。

デジタルプリントとは、デジタルデータを直接印刷物に変換する技術を指します。
従来の印刷方法と比べて設定や準備が容易なため、短時間で高品質な印刷物を作成することが可能です。例えば、看板やバナー、ラベル、パッケージなど耐久性や高品質な印刷が求められるものに採用されています。また、PETフィルムはリサイクル可能な素材であるため、環境に配慮した印刷物を作りたい企業にも選ばれています。

デジタルプリント

大量生産で高品質な加飾フィルムが必要ならグラビア印刷がおすすめ

グラビア印刷はローラーを使用してインクをフィルムへ転送するため、非常に高速で印刷することが可能です。グラビア印刷は高解像度の印刷が可能で、細部まで鮮明に印刷することができます。PETフィルムの滑らかな表面と高い透明性の特性を活かし、より鮮明な印刷の表現に最適です。

グラビア印刷では一度版を作成すれば、その後の印刷は同じ品質を保つことができます。これにより大量生産時の品質のバラつきを最小限に抑えることが可能なことから、大量生産に向いています。

大量生産で高品質な加飾フィルムが必要ならグラビア印刷がおすすめ

蒸着

PETフィルムの表面に他の材料を蒸着することで、さまざまな特性を与えることが可能です。

例えば、透明なPETフィルムに対して金属(アルミ(Al)、銀(Ag))蒸着することで、反射率や防錆性を向上させることができます。中でも銀(Ag)は自然界で最も強力な抗菌剤の一つといわれており、PET表面に蒸着することで細菌や他の微生物の成長を防ぐことができ医療機器や食品保存容器など衛生管理が重要視される分野への採用が可能です。

蒸着

メタリック調のデザインを表現するなら蒸着がおすすめ

PETフィルムに光沢のあるメタリック調のデザインの表現には蒸着が最適です。

蒸着プロセスは、アルミ(Al)や銀(Ag)などを気化させ、その蒸気を冷却してPETフィルムの表面に固着させることで、光沢のあるメタリックな仕上がりを作り出すことで、高級感や洗練された外観を与えることも可能です。

蒸着技術は、自動車、家電製品、アクセサリー、パッケージなどメタリック調が採用されている多くのものに使用されています。

メタリック調のデザインを表現するなら蒸着がおすすめ

NISSHAの技術について

印刷、蒸着、コーティング

デジタルグラビア印刷

デジタルグラビア印刷

蒸着

蒸着

コーティング

コーティング

NISSHAは、フィルム加工生産で培ったプリンティング技術を保有しておりその中でも特にグラビア印刷と蒸着、コーティングを得意としています。
NISSHAでは、グラビア印刷を使用したさまざまな加工技術が可能です。

成形同時加飾のIMD、成形同時加飾インサートシステムのIML、その他プラスチック、ガラス、金属など、多種多様な製品の表面に絵付けができるヒートトランスファーフォイル(熱転写箔)はNISSHAが日本で初めて開発した加飾技術にも取り入れられています。

蒸着とは、真空中で金属や金属酸化物などの成膜材料を加熱して、溶融・蒸発または昇華させ基材や基板の表面に蒸発、昇華した粒子を付着・堆積させて薄膜を形成する技術です。NISSHAでは、PETフィルムにアルミ(Al)、スズ(Sn)、銀(Ag)などを蒸着し薄く均一な金属膜を成形することで、美しいメタリックイメージを再現可能です。また、グラビア印刷と併用することでさまざまな機能や意匠も同時に付与することが可能です。

NISSHAでは転写箔の印刷用ベースフィルム塗工で培ってきたコーティング技術を利用し、さまざまな機能フィルムの成膜にも取組んでいます。「コーティング技術」は、主に有機系の塗膜をフィルム上にコーティングする技術で、塗工技術の基本になっており、幅広い分野で利用することが可能です。薄膜対応のキスリバースグラビア方式、厚膜対応のダイ方式を用途ごとに使い分けることでさまざまな塗工が可能です。

色へのこだわり

フィルム加工技術で培ったメタリック・パール発色、ヘアライン・木目調・金属調表現、光沢・マット調などさまざまな意匠性を再現できる高品質な熱転写箔をグラビア印刷・スクリーン印刷で提供します。

色へのこだわり

ロールtoロールという大量生産方式

NISSHAでは高速で安定した製品の生産が可能なロールtoロール方式を採用しています。

大量生産が可能なためロットあたりの製造コストを大幅に削減可能です。

品質管理面においても製品全体の品質を一貫して管理することが可能になります。

品質管理

NISSHAグループでは、ISO9001(2015年度版)に基づいた品質マネジメントシステムを構築し運用をしています。

製品開発の初期段階から、製造、検査、出荷、そしてアフターサービスに至るまでの全工程にわたって管理をおこないます。

また、お客さまから要求される品質方針に従い、品質第一を掲げお客さま満足度の向上を実現します。

品質管理

FAQ

Q1:どのようなコーティング方式が可能ですか?

A1:薄膜対応のキスリバースグラビア方式、厚膜対応のダイ方式の主に2種類で対応可能です。

Q2:どのようなコーティングが塗工可能ですか?

A2:フィルムから製品を剝がしやすくするための剥離コート、製品の強度を高めるハードコート、製品の質感を変えるマットコートなどを塗工することで製品への付加価値を高めることが可能です。

Q3:グラビア印刷のメリットはなんですか?

A3:グラビア印刷は高い解像度と色の鮮やかさにより、非常に高品質な印象を実現可能です。一度設定をすれば大量に印刷することが可能なことから大量生産に向いています。

Q4:蒸着機の加熱方式を教えてください。

A4:NISSHAでは高周波誘導加熱方式の蒸着機を保有しています。

Q5:どのような金属が蒸着可能ですか?

A5:普段はアルミ(Al)、スズ(Sn)、銀(Ag)の蒸着をおこなっています。
その他の物質の蒸着つきましてはご相談ください。

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