サブトラクティブ法とMSAP法を解説
NISSHAのファインパターン(微細配線)形成技術

近年、製品の小型化や高性能化に伴いファインパターン(微細配線)形成のニーズが高まっています。
微細配線は以下のような目的・用途に必要とされます。

  • 基板の小型化:スマートフォンやVRメガネなどの小型機器
  • 伝送経路の短縮:ミリ波を使用する5G(IoT)機器や車載機器

微細配線は、Cuなどの金属薄膜のパターンを形成することで作られます。
この記事では、微細配線形成に用いる工法について紹介をします。また最後にNISHHAの保有する微細パターニング技術についても紹介します。

微細配線形成(パターニング)技術について

微細配線形成技術には、大きく分けてサブトラクティブ法とアディティブ法と呼ばれる2つの工法があります。

サブトラクティブ法と呼ばれる工法は、ベースフィルムに金属薄膜を全面に形成し、必要のない部分を除去する工法です。

アディティブ法と呼ばれる工法は、ベースフィルムに金属薄膜を必要な部分だけに形成する工法で、
主にSAP・MSAPという工法があります。

この記事ではサブトラクティブ法とSAP法(セミアディティブプロセス)を中心に紹介します。

サブトラクティブ法

サブトラクティブ法はベースフィルムに金属薄膜を成膜し、不要な部分をエッチングで除去し配線を形成する工法です。

  1. 積層
    金属薄膜をベースフィルム全面に形成し、その上に感光性樹脂のレジスト膜を積層形成します。
  2. 露光
    レジスト膜にフォトマスクを当てて露光(光を照射)します。
    感光性樹脂のレジストには以下の2種類があります。

    *ネガティブ型:光を当てると硬化するレジスト。(光を当てた箇所の金属薄膜が残ります。)

    *ポジティブ型:光を当てると柔らかくなるレジスト。(光を当てた箇所の金属薄膜が除去されます。)

  3. 現像
    現像液で不要なレジストを除去します。
  4. エッチング
    レジストを形成したフィルムをエッチング液に通すことで、
    レジストでマスキングされていない部分の金属薄膜が除去されます。
  5. レジスト除去
    レジストを除去し、目的の形状の金属パターンを得ます。

ネガティブ型レジストを使用した場合

SAP法(セミアディティブプロセス)

SAP法は、アディティブ法と呼ばれる工法の一つで、
ベースフィルムに金属薄膜を必要な部分だけに形成する工法です。
アディティブ法には主に、SAP法とMSAP法があり、
SAP法は、シード層(無電解銅やスパッタ銅)の上に、レジストで非回路パターンを形成した後、電解めっきで回路を形成し、最後に不要なシード層をエッチングで除去する方法です。
MSAP法は、シード層として薄い銅箔を使用するもので、シード層形成が簡易であり、パターンの密着性に優れています。 一方、SAP法は、シード層が薄いことからエッチング量が少なく済み、よりファインピッチなパターン形成に適しています。

SAP法(セミアディティブプロセス)

微細配線形成工法の分類

サブトラクティブ法とSAP法では得意な配線形成領域が異なります。

  • サブトラクティブ法:CU厚が薄い領域での微細配線形成が得意
  • SAP法:ある程度Cuが厚くても微細配線形成が可能
微細配線形成工法の分類

NISSHAの微細加工パターニング技術

NISSHAではサブトラクティブ法でのパターニング加工の量産実績があり、また現在SAP法の開発を行っております。興味を持たれた方はぜひお問い合わせください。また、試作相談も随時受け付けています。

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