加齢とともに肌悩みの一つとなるのがほうれい線。さまざまなスキンケアを試していてもあまり効果が感じられないと悩む人が多いのではないでしょうか。ほうれい線はできてしまってからの改善はなかなか難しいもの。今回はそんなほうれい線の改善に効果的なヒアルロン酸注射やスキンケアでできる予防方法をご紹介します。
ほうれい線の原因
ほうれい線は小鼻から唇まで伸びる線を指します。線が入るのでシワだと考える人も多いですが、ほうれい線の原因はたるみ。たるみは年齢とともに皮膚の真皮層にあるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸など肌のハリや弾力をサポートする成分が減り、重力で皮膚が垂れ下がってくることによって起こります。
口まわりの組織と頬の組織では、頬の組織のほうが重力に対して垂れ下がってきやすく、その差がほうれい線となって現れてしまうのです。
これ以外にも年齢とともに筋肉や骨が萎縮することで皮膚がたるむこともほうれい線の原因となります。
体内のコラーゲンやエラスチンは20代後半から、ヒアルロン酸は40代後半から少しずつ減少します。また、肌の乾燥や紫外線・ブルーライトを浴びる、喫煙やストレスなどもコラーゲンを減らす原因に。コラーゲンは一度ダメージを受けるとなかなか回復しません。そこで、肌のボリュームや垂れ下がった箇所はヒアルロン酸注射等で潤いを補うことが必要になります。肌のハリを保ち、ほうれい線に悩まない肌づくりを行うためには若いうちから生活習慣を見直しておくことが非常に大切です。
ほうれい線改善の方法
ほうれい線は一度できてしまうと自力で改善することが難しく、また、短期間で解消できるものでもありません。できるだけたるみが起きないような予防習慣と、ほうれい線ができた場合の改善方法をご紹介します。
顔の筋肉をほぐす・鍛える
顔の筋肉をケアすることはシワやたるみを防ぐためにとても大切です。顔の筋肉は場所によって「ほぐす」、「鍛える」を使い分ける必要があります。顔の上半分は筋肉がこり固まり、柔軟性を失いやすいためほぐすのが効果的。一方、顔の下半分は筋肉が衰えることで脂肪を支えきれずに下がってしまい、シワやたるみにつながりやすいため鍛えることが必要です。ただし、老廃物が溜まって顔の循環が悪くなっていたり、筋肉がかたくなっていると感じる人は、ほぐすことから始めましょう。
顔をほぐす際、頬上は親指の第一と第二関節の間の面を使って上下に揺らしながらほぐし、頬下は中指と薬指の腹を使って圧迫しながらほぐします。頬下は頬を押し上げるように圧迫しながら、顎に向かって下方向に指をずらしていきます。また、ほうれい線には多くの筋肉が関わっています。側頭筋もほぐしましょう。指の腹で頭皮を押さえ、円を描きながら圧迫します。
顔の筋肉を鍛える方法には割り箸をくわえた状態でキープするのが効果的。犬歯より奥でくわえ、10分程度キープします。在宅勤務や読書などをしながらやってみましょう。また、舌に連動する筋肉を鍛えることで頬のたるみを予防することも可能です。口を閉じ、口内で舌を大きくゆっくりと回すのが効果的。左右10回程度を習慣にしてください。
ヒアルロン酸注射
実際にほうれい線ができてしまったら、ヒアルロン酸注射を検討しましょう。ヒアルロン酸は水分保持に大変優れた成分で、肌の真皮ではコラーゲンとエラスチンの間を埋めて皮膚に弾力性と柔軟性を与えています。このヒアルロン酸を注射で直接注入し、凹んでいるところにボリュームを出したり、顔のラインを整えることでほうれい線をケアします。注入されたヒアルロン酸は徐々に吸収されてしまうため、効果を維持するためには半年〜1年の間隔で定期的に通う必要があります。
ヒアルロン酸はもともと体内に存在する物質。そのためアレルギー反応がほとんど起こらず、ダウンタイムも比較的少ない治療です。他にも施術時間が短い、治療後すぐに効果を実感できるという点から、受診しやすい美容医療の一つと言えるでしょう。
ヒアルロン酸注射は注意が必要?
ヒアルロン酸注射は手軽にボリュームアップを期待できるので取り入れやすい美容医療ですが、注意も必要です。
ヒアルロン酸製剤は効果と安全性が認められている高品質な製品から、体内に吸収されにくい物質が混入しているものまでさまざまなものがあります。
また、注入の仕方でボリュームの出方も変わるので、医師の腕によって仕上がりが大きく変わってくるという特徴も。
でも、治療の結果が気に入らない場合はヒアルロニダーゼという物質を注入して溶かすこともできます。信頼できる医師を探して治療を受けることができれば問題ないでしょう。事前によく調べることが大切です。
ヒアルロン酸注射に抵抗がある人はマイクロニードルパッチがおすすめ
ヒアルロン酸注射は気になるけれどクリニックでの施術はハードルが高いと感じる人や、忙しくてクリニックに足を運べないという人はマイクロニードルパッチを試してみてください。美容施術のような即効性のあるものではなく、あくまで「気になる部分に貼って集中保湿する化粧品」としてお手入れに取り入れていただきたいアイテムです。マイクロニードルパッチは微細な針がパッチについた部分用パックのこと。この針はヒアルロン酸などの保湿成分でできており、パッチを気になる箇所に貼ることで針が角層を押し広げて針部分の保湿成分を角層最深部まで届けてくれる画期的なアイテムです。化粧水や美容液と異なるのは、針を通して角層へダイレクトに届けられるのでヒアルロン酸の分子量を大きくできること。ヒアルロン酸の分子量が大きいほどキープできる水分量が多くなるので、より高い保湿効果が期待できます。使用方法は就寝前にパッチを貼って寝るだけと非常に簡単。週に一度のスペシャルケアとしてぜひ取り入れてみてください。
ほうれい線ができてしまう前に、スキンケアで習慣にしたい事
加齢とともに皮膚が垂れ下がったり、筋肉が衰えたり、骨が萎縮することは自然なこと。ほうれい線を予防するにはこれらたるみの原因を少しでも遅らせることが大切です。毎日のスキンケアで対策しましょう。
おすすめのスキンケア方法
ほうれい線予防のスキンケアでまず押さえておきたいのは、保湿を徹底すること。肌の乾燥はバリア機能の低下につながり、ほうれい線のみならずあらゆる肌トラブルにつながります。まずは肌を乾燥させないことを意識し、コラーゲンやヒアルロン酸などを配合したスキンケアアイテムでうるおった肌をキープしましょう。
また、紫外線対策も非常に重要です。室内で過ごす日でも紫外線は入ってきていますので、日焼け止めは毎日欠かさず塗りましょう。顔に塗るのはもちろんですが、耳や首、手の甲に塗るのも忘れないようにしてください。日焼け止めは手のひらに出すと40%程度が手のひらに残ってしまうと言われています。手の甲の人差し指と親指の間の凹んだ部分に出して塗るのがおすすめです。
おすすめの美容成分
最後に、ほうれい線をケアするにあたってよく見かける、医薬部外品でシワ改善の有効成分である「レチノール」、「ナイアシンアミド」、また、コラーゲン生成促進効果が期待できる「ペプチド」の特徴を見てみましょう。
・レチノール
レチノールはビタミンAの一種で皮膚のターンオーバーを促進する作用のある成分。それによってヒアルロン酸やコラーゲンの生成を促します。肌にハリが出て皮膚の水分量を増やし、保湿力をアップさせるため、シワを改善する効果が謳われています。また、紫外線ダメージを軽減する効果や皮脂を抑えてニキビや肌荒れにも効果のある優れた成分です。
・ナイアシンアミド
レチノールの他にシワに有効な成分としておすすめされやすいのがナイアシンアミド。ナイアシンアミドはビタミンB群の一種で、抗シワ作用の他にも肌バリア機能の改善や抗炎症作用、美白効果などさまざまな効能があります。シワ改善に関しては、紫外線ダメージによるコラーゲンの減少を防ぐ作用や、コラーゲンの生成を促進する作用があると言われています。たくさんの優れた効果をもつナイアシンアミドですが、他の有効成分とも組み合わせて使いやすいという特徴ももっています。また、比較的刺激を感じにくい成分でもあるので、敏感肌の人へもおすすめされやすい成分です。
・ペプチド
ペプチドはアミノ酸とタンパク質の仲間。さまざまな種類があり、コラーゲンを産生しシワを抑制する作用のあるものや、酸化・糖化を防ぐものなどもあるようです。ペプチドも比較的刺激になりにくいため、目の周りなど皮膚の薄い箇所にも塗りやすいといったメリットがあります。