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バイオマスマークとは?概要や認定商品の例をご紹介
2025/02/28
- バイオコンポジット
- パルプ
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- 脱プラ

環境対応を表す「環境ラベル」
製品やサービスがどのように環境負荷低減に寄与するかを消費者に伝えるマークや目印として「環境ラベル」があります。
包装ラベル・説明書・広告などに表示される環境ラベルはISO(国際標準化機構)により第三者認証(旧 タイプⅠ)、自己宣言(旧 タイプⅢ)、環境情報表示(旧 タイプⅤ)の3種類の規格に分けられています。
第三者認証タイプは、第三者機関によって定められた基準に基づき運用されています。事業者がマークを使用するためには第三者機関へ申請を行う必要があり、基準を満たしていることが確認され、認可を受けることで使用することが許される仕組みです。身近なものには、バイオマスマーク、FSC認証、再生紙使用マークなどがあります。
自己宣言タイプは製品やサービスを販売する事業者自身が環境配慮や環境保全への貢献を市場に主張するもので、製品やサービスの宣伝広告として利用されることがあります。ここでは第三者による認定はなく、あくまで事業者自身による宣言です。
例えば、使用する材料や電力の削減といった基準となる目標を企業が独自に設定し、その基準をクリアすることができた商品に独自に定めたマークの表示が許されます。これにより自社内の環境に対する取組みを企業努力として消費者へアピールすることができます。
環境情報表示タイプでは、製品やサービスが環境に与える負荷が定量的なデータで示されます。合格・不合格を決める基準はないため、消費者が購入を検討する場面で参考情報として役立てられています。例として一般社団法人産業環境管理協会が運営する「エコリーフ環境ラベル」などがあります。これはあらゆる製品を対象に、温暖化、酸性化、オゾン層破壊などの環境排出負荷や、エネルギー資源や資源枯渇などの資源消費負荷といった環境特性を評価することができる環境ラベルです。
このように、製品の環境対応を示すマークには様々な種類がありますが、今回は日常生活でも頻繁に目にすることがある、第三者認証の「バイオマスマーク」について紹介します。
バイオマスマークとは
バイオマスマークとは、一般社団法人有機資源協会が運営する認証制度です。再生可能な生物由来の資源(バイオマス)を使用した製品やサービスに付与することができ、使用したバイオマス原料の割合を「バイオマス度」として定めCO2の増加抑制に着目しています。また、バイオマス原料の使用割合だけでなく、品質や安全性が環境商品としての基準に適合しているかも審査の対象です。バイオマスマーク認定の申請要件としては、バイオマス度が乾燥重量あたり10%以上である必要がありますi
製品のバイオマス度は、生物由来の物質にだけ含まれている炭素(C14)がどのくらい含まれているかを加速器質量分析装置(AMS)という装置で測ることで測定することができます。植物は成長のために大気中の二酸化炭素を取り込むため、植物に含まれる炭素(C14)は大気中と同じになりますが、石油のような化石資源には炭素(C14)が含まれていません。製品に炭素(C14)がどれだけ含まれているかを測定することで、その製品のバイオマス度を測ることができるということです。

バイオマスマークの活用例
バイオマスマーク認定商品の数は、物流・包装関連が最も多く、その次にインキ、素材等の原材料、そして日用品や事務用品といったように多岐にわたります。身近な例では、レジ袋や食品の個包装袋、パッケージに使用されているインキ(バイオマスインキ)、セロハンテープなどがあります。バイオマス素材を用いたレジ袋はすでにさまざまな店舗で採用されており、私たちの暮らしの中で見かけることが多いバイオマスマーク認定商品のひとつです。
博報堂が約5,000人を対象に2023年8月に行った「生活者のサステナブル購買行動調査2024」によると、環境・社会への影響を意識した購買行動は徐々に拡大しており、そのような行動実践度は10点満点中5.28点と過去最高値を記録iiしました。
つまり、消費者はますます環境や社会に配慮した製品を求めており、企業がバイオマスマークを取得することは、こうした消費者のニーズに応える重要な手段となります。バイオマスマーク認定商品は、環境問題に関心を寄せる消費者に対し、企業として持続可能な製品開発に取り組んでいることを効果的にアピールする手段として活用することができます。
バイオマスマークを取得している当社製品の紹介
複数の製品ラインアップを扱う当社では、PaperFoam®、Pulp-Injection、Sulapac®の3製品がバイオマスマークを取得しています。
PaperFoam®(ペーパーフォーム)
パルプとでんぷんを主原料とするPaperFoam®は、バイオマスマーク85%を取得しています。(※着色なし)
材料を発泡させて作る軽量で柔らかな特性を活かし、化粧品や電子機器、産業機器、医薬品、食品・飲料をはじめとする緩衝性を求めるパッケージに幅広く採用されています。

PaperFoam®(ペーパーフォーム)
軽さと柔らかさを兼ね備えたパルプ発泡成形品
- 天然素材を主成分とした発泡成形品
- 衝撃から製品を保護する高いクッション性
- 複雑な形状の製品や複数の部品をしっかり固定
Pulp-Injection(パルプインジェクション)
Pulp-Injectionではバイオマスマーク90%を取得しています。PaperFoam®と異なり、薄さと硬さを特長とするPulp-Injectionはパルプとでんぷんからできたペレットを射出成形することで成形品をつくります。プラスチック成形品のように身と蓋としても使えるほどの成形精度とリブ・フランジなどの細かい形状再現が特長です。これらの特長を設計に取り入れることで、繊細な取扱いが求められる医薬品用梱包材などにも対応しています。

Pulp-Injection(パルプインジェクション)
薄さと硬さを両立する射出成型品
- プラスチックと同等の形状再現性
- 薄肉かつ高強度
- 寸法と厚みの安定性
Sulapac®(スラパック)
自然由来の樹脂に木粉を混ぜた成形品のSulapac®はバイオマスマーク95%を取得しています。(※Universalグレード・ナチュラル色)
Sulapac®は、北欧で森林の管理認証を受けたウッドチップ・廃材と植物由来のバインダーで構成されています。ウッドチップから得られる木の風合いやユニークな外観がナチュラル感を訴求するブランドに評価され、ジャー容器などで採用されています。

Sulapac®(スラパック)
美しさと機能性を両立した成形品
- 100%バイオマス由来の成形品(ウッドチップと植物由来の生分解性樹脂)
- 自然を想起させる美しい外観と機能性
- 射出成形による様々な容器、製品を提供
当社製品の特長
現在、バイオマスマーク認定商品は約2,000件ありますが、バイオマス度10%の商品が全体の3割ほどを占めています。バイオマス度の値が高くなるほどその割合は低くなり、バイオマス度85%以上では全体の8%程度と少数です。そのことから当社製品が取得しているバイオマス度85%~95%という値は認定商品のなかでもバイオマス度が高い商品ということが言えます。
また、当社製品は最終製品としてでなくそれぞれ特定の工法から作られる製品全般(成形品)に対して認定を受けているため、どのような形状にカスタマイズされた成形品であってもバイオマスマークを表示することが可能です。
まとめ:バイオマスマーク認定商品で消費者への訴求を
製品がどのように環境に配慮しているかを示す「環境ラベル」には、第三者認証、自己宣言、環境情報表示の3種類があり、それぞれ異なる基準で運用されています。第三者認証の一つであるバイオマスマークは、再生可能な生物由来の資源(バイオマス)の割合を「バイオマス度」として認定し、付与されるマークです。
このマークは日本国内の幅広い商品に表示されており、消費者の目に触れる場面も多いため、企業の環境対応を効果的に訴求すると同時に、エコフレンドリーな製品を選ぶ消費者のニーズに分かりやすく応えることができます。
NISSHAではトレーなどの包装資材として使用することができるPaperFoam®、Pulp-Injection、Sulapac®の3製品が認定を受けており、いずれも85%以上の高いバイオマス度を有しています。消費者の環境意識が高まる中で、エコフレンドリーな製品を選ぶ消費者のニーズに応えるため、環境への配慮をアピールすることがますます重要になっています。パッケージの脱プラやバイオマス原料の成形品をご検討の際には、ぜひお気軽にお問合せください。
環境ラベル等データベース|環境省大臣官房環境経済課
https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/
バイオマスマーク|一般社団法人日本有機資源協会
https://www.jora.jp/biomassmark/
"博報堂「生活者のサステナブル購買行動調査2024」レポート" センタードット|博報堂
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/111706/
i ただし、生き物や動植物の粗製品(毛皮や骨、種子、木材、花など)や食品、医薬品は除きます。
ii 買い物の際に社会・環境に与える影響をどの程度意識しているかを10点満点で聞いた社会購買実践度の調査