【海外】EPS規制まとめ!発泡スチロールを含む製品は輸出可能?

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【海外】EPS規制まとめ!発泡スチロールを含む製品は輸出可能?

EPS規制とは、発泡スチロール(Expanded Polystyrene)の使用や流通、廃棄などに関する規制を指します。廃棄物の削減、環境保護、有害物質の食品への溶出防止などが目的です。

国や地域によって、EPS規制の内容や対象範囲は異なるため、海外へ製品を輸出する際には、各国のEPS規制を理解し、遵守しなければなりません。

この記事では、主に梱包資材や容器としてプラスチック製品を利用されている事業者の方に向けて、主要な海外市場におけるEPS規制の最新動向について解説します。

海外のEPS規制の動向

発泡スチロールには製法や用途に応じた複数の種類が存在し、海外での「EPS」の解釈も統一されていません。

以下では、特に包装材として使用されることが多いEPS(ビーズ法発泡スチロール)を中心に、各国の規制動向を解説します。

EU

欧州連合(EU)では、特定プラスチックによる環境影響低減指令(Single-Use Plastics Directive)に基づき、特定の使い捨てプラスチック製品の市場への投入が禁止されています。禁止対象には、発泡ポリスチレン(EPS)製の食品容器や飲料用カップが含まれています。

特定プラスチックによる環境影響低減指令は、主に食品接触用途の製品を対象としています。その他の一次包装材が直接的に禁止措置の対象となるかは、具体的な製品の種類や用途によって判断が異なります。

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ドイツ

ドイツでは、EUの特定プラスチックによる環境影響低減指令を国内法に取り入れ、特定の使い捨てプラスチック製品およびオキソ分解性プラスチックから作られた製品の市場投入を禁止する規制として、発泡スチロール製の食品容器などの使い捨てプラスチック製品の使用を禁止しています。主に食品接触用途を対象としており、例えば家電製品の緩衝材など、食品用途以外の発泡スチロールは規制の対象外とされています。

ただし、ドイツには容器包装廃棄物法(Verpackungsgesetz)があり、包装材のリサイクル率向上を目的として、製造業者や販売業者に包装材の回収とリサイクルの義務を課しています。

フランス

フランスでは、EUの包装および包装廃棄物に関する欧州議会および理事会規則(PPWR)との整合性を図るため、当初2025年からの予定されていたポリスチレン包装材の禁止が2030年に延期されました。

具体的な対象は、全体または一部がスチレン系ポリマー、もしくはコポリマーで作られた、リサイクル不可能かつ、リサイクルのルートに乗せられない包装材です。

スペイン

スペインでは、2023年1月1日に使い捨てプラスチック容器税が施行されました。再利用できないプラスチック製の容器や包装の製造者、またはEU域内外からの輸入者に対し、プラスチック含有量1キロ当たり0.45ユーロが課税されます。

なお、医薬品、医療機器、特別用途食品、病院用粉ミルク、医療由来の有害廃棄物の容器・包装などは、適用免除品目となっています。

イギリス

イギリスでは、2022年4月からプラスチック製包装税を導入しており、再生材含有率が30%未満のプラスチック包装を製造・輸入する事業者に課税されます。税率は、包装材1トンあたり200ポンドです。

アメリカ

アメリカでは、州や地方自治体レベルでさまざまな規制が導入されています。例として、カリフォルニア州では、すべての発泡スチロール製の包装材と食品用食器が25%のリサイクル率を満たしていなければ、発泡ポリスチレン製食品サービス用食器を販売できません。

ただし、一部の州では、FDAの規制を受ける医薬品、医療機器、栄養補助食品の包装は規制の対象から除外されています。

カナダ

カナダでは、2022年12月20日から使い捨てプラスチック禁止規制が施行されました。レジ袋、カトラリー、リサイクル困難な外食持ち帰り用容器、缶ボトル携帯用リング、かき混ぜ棒、ストローなどの製造・輸入が禁止されています。

オーストラリア

オーストラリアは、国家プラスチック戦略(National Plastics Plan)や国家廃棄物施策行動戦略(National Waste Policy Action Plan)などを通じて、プラスチック問題に積極的に取り組んでいます。

オーストラリアの廃棄物処理については、州政府が責任を持つため具体策は州法で対応しています。

ニュージーランド

ニュージーランドでは、2023年7月1日から特定の使い捨てプラスチック製品の販売と製造が禁止または制限されています。発泡ポリスチレン製の食品・飲料包装などが対象です。

韓国

韓国では、使い捨てプラスチック削減対策として、資源の節約とリサイクル促進に関する法律(資源リサイクル法)に基づき、プラスチック製品のリサイクル義務の対象が拡大されています。

韓国環境省は2022年に資源リサイクル法を改正し、15種のプラスチック製品を新たにリサイクル義務の対象としました。産業用フィルムと浄水器フィルターは2022年から、その他13種は2023年から適用されています。

インド

インドでは、2022年7月1日からポリスチレンや発泡スチロールを含む、特定の使い捨てプラスチックの製造・輸入・在庫・流通・販売・使用を禁止する規則の管理を、国と州レベルで厳格化しました。

プラスチック廃棄物の最小化、分別、再生利用に関する基準が定められ、対象範囲も製造業者から廃棄物排出者まで拡大されています。

タイ

タイは、プラスチックごみ管理ロードマップ(2018-2030)に基づき、使い捨てプラスチックの使用を段階的に削減し、最終的には2027年までに、対象となるプラスチック素材の100%再利用の実現を目標としています。

2022年までに、厚さ36ミクロン未満のビニール袋や100ミクロン未満の使い捨てプラスチックコップ、発泡スチロール食品容器、プラスチックストローなどが使用停止となっています。

インドネシア

インドネシアは、2025年までに海洋プラスチックごみを70%削減する目標を掲げており、使い捨てプラスチックの禁止も州・都市・県レベルで進められています。

2018年に策定された海洋プラスチックごみ行動計画に基づき、政府の複数の省庁が連携して実施しています。

中国

中国は、2020年4月10日から、超薄型レジ袋や超薄型ポリエチレン製農業用フィルムの生産・販売を禁止しています。他にも、使い捨ての発泡プラスチック食器やプラスチック製綿棒、マイクロプラスチックビーズを含む日用化学製品も生産・販売が禁止されています。

小売やe-コマース、テイクアウト、宿泊などの分野で、使い捨てプラスチック製品の不当な使用が大きく規制されています。

香港

香港では、2024年4月22日から使い捨てプラスチック食器などの提供を禁止する条例改正案の第1段階が開始されました。

禁止の第1段階では、レストランなどの飲食業者が、発泡スチロール製の食器を含む特定の使い捨てプラスチック食器の提供が禁止されました。

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