緩衝材とは?発泡緩衝材など代表的な素材と環境に配慮した素材の紹介

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緩衝材とは?発泡緩衝材など代表的な素材と環境に配慮した素材の紹介

NISSHAのサステナブルパッケージ「ecosense molding」では、パッケージ内部の緩衝材としても利用できるパルプ製包材を提供しています。そこで今回の記事では「緩衝材」について取り上げます。
発泡緩衝材をはじめとする緩衝材は通信販売や物流の現場で活躍しており、壊れやすい商品を衝撃や振動から守る上で欠かせません。緩衝材にはさまざまな種類があり、それぞれに長所と短所があります。

この記事では、はじめに発泡緩衝材などの一般的なプラスチック製緩衝材の代表例と、それらが抱えている廃棄やリサイクルに関する環境課題について紹介します。記事の後半ではNISSHAが扱うパルプ製緩衝材の他、併せてコーンスターチ由来の素材や紙製緩衝材など、プラスチック製緩衝材が抱える環境課題の解決を目指すエコな部材を包括的に紹介します。パッケージのサステナビリティを考える上での知識のおさらいや、情報の整理などにご活用ください。
また、NISSHAのサステナブルパッケージの情報から見たい方はこちらの製品紹介ページをご覧ください。(詳しくはこちら

緩衝材とは

まずは緩衝材とは何かを整理します。
緩衝材とは、壊れやすい商品を輸送時の衝撃や振動から守るために用いられる梱包資材のことです。柔軟性に優れた素材で製品を包んだり、製品箱と製品の隙間を埋めたりして中身が動くのを防ぎ、破損リスクを減らす目的で使われます。

代表的な緩衝材の種類

緩衝材には、軽くて衝撃を吸収しやすいものや、加工しやすいものなどさまざまな種類があります。保管のしやすさやコストの面でも選択肢が多く、梱包する品物や輸送の方法に応じて適したものを選ぶことで、安全で効率のよい梱包が可能です。

以下では、主な緩衝材の種類を紹介します。

発泡緩衝材(バラ緩衝材)

発泡緩衝材(バラ緩衝材)

発泡緩衝材(バラ緩衝材)とは、繭状や円筒状の小さな粒状の素材でできた、主に容器の空きスペースを埋めるために使われる緩衝材です。

耐荷重性に優れた合成樹脂を素材として使用しているので、機械部品などの重量物にも使えるのがメリットです。また、粒と粒の間に小さな隙間が生まれるため、クッション性が高く、形が複雑な物にもぴったりフィットします。

ただし、容器の中で内容物が動きやすい場合もあり、確実に固定したい場面には不向きです。大きな隙間を埋める際にはビニール袋にバラ緩衝材をまとめて入れ、動きを抑える方法もよく用いられます。

気泡緩衝材

気泡緩衝材

気泡緩衝材は、透明なポリエチレンフィルムに空気の入った小さな気泡が多数ついた緩衝材です。シートの表面に並んだ気泡がクッション性を与え、荷物を衝撃から守ります。

1957年に発明されて以来、2層から5層構造まで多彩なタイプが開発され、薄くて軽量ながら高いクッション性を持つ特徴があります。また、透明度が高いため、食品や精密機器などを保護しつつ中身の確認がしやすい点も魅力です。

ロール状で必要に応じて切り分けて使えるタイプや袋状のものなど、形状のバリエーションも豊富です。ただし、長期間の保管や繰り返し使用で空気が抜けるとクッション性が低下するため、適切な保管と利用が必要です。

発泡シート

発泡シート

発泡シート(発泡ポリエチレンシート)とは、気泡を内部に含んだポリエチレンを素材とするシート状の緩衝材で、ミラーマットとも呼ばれます。スポンジのような細かな穴を持つ薄いシートのような見た目が特徴です。

クッション性が高く、薄く柔軟なので、複雑な形の製品を包みやすい点が魅力です。また、防水性、防湿性、断熱性にも優れています。さらにポリエチレン素材の特性から、無味無臭で耐薬品性が高いという特徴も持っています。

気泡緩衝材と同じように、用途や製品に合わせて必要な大きさにカットして使えるロール状のシートや、袋状に加工されたタイプのものなど多様な形態の発泡シートが供給されています。ガラスや陶器など壊れやすいものの保護だけでなく、精密機器の梱包シートや建築現場の断熱材、農業用の保温カバーなど幅広い用途で活用されている緩衝材です。

エアーピロー型緩衝材

エアーピロー型緩衝材

エアーピロー型緩衝材は、ポリエチレン袋に空気を充填してクッション性を持たせた緩衝材です。エアークッションとも呼ばれており、箱と商品の間に詰めることで、隙間を埋めて固定する役割を果たします。ちょうど空気が詰まった小さな枕のような形状をしているため「エアーピロー(空気の枕)」と呼ばれます。

耐久性に優れ、複数がつながったエアーピローを必要な数だけ切り離して使用します。企業の梱包作業現場のようにエアーピローを大量に使用する場所では、その場で空気を充填できるエアーピロー製造機を設置しているケースもあります。また、使用後は空気を抜くことでかさばらずに廃棄できるというメリットもあります。

ただし、長期保管すると気泡緩衝材同様に空気が抜けてしまう点がデメリットです。

ウレタンフォーム

ウレタンフォーム

ウレタンフォームとは、発泡成形したポリウレタン樹脂を加工した素材のことです。緩衝材だけでなく、ソファーやベッドのクッション材、食器洗い用スポンジなど、さまざまな用途で日常的に使われます。

ウレタンフォームは、弾力性と復元性に優れた軟質ウレタンフォームと、反発性の強い硬質ウレタンフォームに分類できます。緩衝材で主に使われるのは軟質ウレタンフォームです。

ここまで、代表的な緩衝材を紹介してきました。次は、これらのプラスチック製緩衝材に関わる環境課題について考えていきます。

プラスチックを使った緩衝材はゴミ処理に問題あり

プラスチック製の緩衝材は軽量で衝撃吸収性に優れる一方で、環境負荷の観点から見るといくつかの課題があります。

分別回収の負担

ひとつめはリサイクルのための分別回収の負担です。
ECサイトでの通信販売が普及し、緩衝材を使って梱包した荷物が一般家庭に届けられる機会が増えています。このように宅配物と一緒に届けられた緩衝材は各家庭で廃棄しなければなりません。プラスチック製緩衝材の多くはリサイクル可能な資源ゴミなので、分別処理が必要になります。発泡緩衝材やウレタンフォームのような緩衝材は嵩張るため、一般家庭で大量にゴミが出た場合はその置き場に困ります。また自治体によっては、資源ごみは一般ゴミと比べて回収日が少ないこともあり、緩衝材の分別回収が負担となっているケースが有ります。その結果プラスチック製緩衝材が一般ゴミとして廃棄され、適切にリサイクルされないことも懸念されます。

廃プラスチックの受け入れ先の課題

もう一つの課題はリサイクルできなくなった緩衝材などのプラスチック廃棄物の受け入れ先についてです。
これまで日本では、廃プラスチックをアフリカやフィリピン、インド、中国といった国に輸出し、各国に処分を委託していました。しかしそうした国々で廃プラスチックの輸入を規制する動きが広まり、2021年には有害廃棄物の輸出を規制するバーゼル条約が改正されたことも受け、現在では廃プラスチックは国内でリサイクルを進める方向に舵が切られています。
しかし、新たなゴミ処分場を増やすためには施設建設のための土地の確保や、地域住民の理解を得る必要が有るなどさまざまなハードルを越えなければなりません。そのため、廃プラスチックの受け入れ先の確保は日本のゴミ処理における課題のひとつとなっています。

このようにプラスチック製緩衝材は扱いやすい一方で環境負荷を大きくするという課題を抱えています。この課題の解決策として、環境に優しい素材を使った緩衝材の利用が広まっています。

環境に配慮した緩衝材の種類

ここからは、環境負荷を抑えつつ十分な緩衝性能を持つエコな緩衝材を紹介していきます。紹介する緩衝材の中で、パルプモールドはNISSHAでも取り扱っています。関心の有る方は製品紹介ページを是非ご覧ください。(詳しくはこちら
コーンスターチ製発泡緩衝材や紙製緩衝材はNISSHAでは扱っていない製品ですが、梱包材の検討のお役に立てばと考えて紹介しますので、参考にしてください。

立体紙緩衝材(パルプモールド)

モバイルバッテリーケース

立体紙緩衝材(パルプモールド)は、古紙や段ボールなどのパルプから成形される、紙製の緩衝材です。使用後はリサイクル可能で、可燃ゴミとして焼却しても有害物質を発生しないため、環境負荷の低い緩衝材として注目を集めています。パルプモールドは、集めた古紙を水で溶かし、異物を取り除いた後、型に流し込んで成形・乾燥する工程で製造されます。

古紙の再資源化による資源の有効活用、通気性の高さ、軽さ、適度なクッション性などがパルプモールドのメリットです。さらに、成形の自由度が高いため、精密機器や電化製品の緩衝材としても使用できます。一方で、水濡れに弱く、特定の方向からの加圧に弱い点には注意が必要です。

Paperfoam®

PaperFoam®(ペーパーフォーム)

軽さと柔らかさを兼ね備えたパルプ発泡成形品

  • 天然素材を主成分とした発泡成形品
  • 衝撃から製品を保護する高いクッション性
  • 複雑な形状の製品や複数の部品をしっかり固定
Paperfoam®について詳しくはこちら 資料ダウンロードはこちら

コーンスターチ製発泡緩衝材

コーンスターチ製発泡緩衝材

コーンスターチ製発泡緩衝材は、トウモロコシ由来の成分を原料とした環境にやさしい緩衝材です。

従来のプラスチック製発泡緩衝材と比べて、使用後に自然環境中で分解され、環境を汚染するリスクが小さい点が大きなメリットです。また、焼却時に有毒ガスを発生しないため、持続可能な社会の実現に貢献する素材として注目されています。

紙製緩衝材

製緩衝材

パルプモールド以外にも、紙を使った緩衝材は広く使われています。代表的な紙製緩衝材としては、「巻き段ボール」「紙パッキン」「クラフト紙」が挙げられます。

巻き段ボールは、2層構造で柔軟性がある加工がされたダンボール製の緩衝材です。折り曲げたり巻いたりしてさまざまな形状の商品にフィットし、特に大型の家具や家電、不定形の商品を包むのに適しています。

紙パッキンはペーパークッションの別名もある、紙を細く裁断した緩衝材です。外箱の底に敷いたり、外装箱と商品の隙間を埋めたりする用途に使われます。カラーバリエーションが豊富でギフトラッピングにも適しています。

クラフト紙は更紙(ざらがみ)とも呼ばれる、商品の包装や隙間埋めに使われる緩衝材です。吸湿性があり、高温多湿な地域への輸送にも適しています。

環境に配慮した緩衝材ならNISSHAにお任せください

プラスチック製の緩衝材は、軽量かつ衝撃吸収性が高いため現在も広く使われています。しかし、プラスチックゴミの問題から、現在は代替となる素材が求められている状況です。
NISSHAでは、緩衝材・梱包材として活用できるパルプ発泡成形品PaperFoam®を提供しています。シボや着色などの加工も可能で、発泡スチロールより軽量な、軽さと柔らかさを兼ね備えた素材です。輸送中の揺れ動きや衝撃から製品をしっかりと保護しつつ、紙としてリサイクルできる点も魅力です。PaperFoam®は製品紹介ページで紹介しています。是非ご覧ください。

Paperfoam®

PaperFoam®(ペーパーフォーム)

軽さと柔らかさを兼ね備えたパルプ発泡成形品

  • 天然素材を主成分とした発泡成形品
  • 衝撃から製品を保護する高いクッション性
  • 複雑な形状の製品や複数の部品をしっかり固定
Paperfoam®について詳しくはこちら 資料ダウンロードはこちら

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