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サステナブルパッケージとは?素材や採用メリット・製品例を解説
2024/11/22
- サステナブルパッケージ
- バイオコンポジット
- バイオマス
- パルプ
- プラスチックごみ問題
- リサイクル
- 射出成形
- 環境対応
- 生分解
サステナブルパッケージとは、環境に配慮した素材やデザインを採用し、自然界に与える負荷を最小限に抑えたパッケージのことです。持続可能な社会の実現が企業にとっても消費者にとっても重要になる中で、サステナブルパッケージは注目を集めています。
この記事では、サステナブルパッケージの概要や推進される背景、使用される主な素材、採用メリットについて詳しく解説します。CSRの取組みの一環として、自社製品の包装を変えたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
サステナブルパッケージ(サステナブル包装)とは
サステナブルパッケージとは、製造から廃棄までの過程で、環境への影響をできるだけ減らすことを目指した包装です。たとえば、プラスチックの使用量を減らしたり、リサイクルしやすい素材を用いたりする方法で、環境負荷を低減します。
サステナブルパッケージは、SDGs(持続可能な開発目標)のうち、特に「つくる責任、つかう責任」という目標と関係が深い取り組みです。近年は、再利用によって廃棄物を出さず、資源の無駄をなくし、循環型社会の実現を目指す活動の一環として、さまざまな業種で採用が広がっています。
サステナブルとは
「サステナブル(Sustainable)」とは、「持続可能な」という意味を持つ言葉です。環境面だけでなく、社会や経済も長期間にわたって維持できる状態を指します。1987年に「環境と開発に関する世界委員会」が発表した「Our Common Future」という報告書で、持続可能な開発の重要性が初めて提唱されました。
報告書では、持続可能な開発を「将来の世代のニーズを満たしつつ、現在の世代のニーズも満たすこと」と定義しています。環境保全と経済成長の両立を目指すアプローチとして注目され、SDGsの基盤ともなっている考え方です。
サステナブルな取り組みでは、地球温暖化や環境汚染の問題に対処しつつ、持続可能な社会を目指します。企業や自治体は、単に目先の利益だけを追求するのではなく、次世代の地球環境も見据えた取組みを行っているかが問われるようになりました。
サステナブルパッケージが推進される背景
サステナブルパッケージが推進される背景には、深刻化するプラスチックごみ問題と消費者の意識変化があります。海洋汚染や最終処分場の不足懸念などが問題視され、プラスチック削減の動きが世界的に広がりました。
特に若い世代では、環境に配慮した商品を選ぶ傾向が強くなっており、企業には環境負荷の低いパッケージの導入が求められています。ブランドイメージの向上や顧客へのアピールにもつながるため、サステナブルパッケージへの切り替えを進める企業も増えています。
サステナブルパッケージが推進される背景をもっと知りたい方は、以下のページもご覧ください。
サステナブルパッケージとは No.1 ー環境配慮型パッケージが推進される背景
サステナブルパッケージに使われる素材の種類
サステナブルパッケージでは、環境負荷の高い素材から、地球環境にやさしい素材へ置き換えています。これにより、廃棄物の削減やリサイクル率の向上を図り、循環型社会の実現を目指しやすくなりました。以下では、サステナブルパッケージに用いられる代表的な素材を4つ紹介します。
紙
紙は、サステナブルパッケージに使われる代表的な素材の1つです。再生可能な資源であり、リサイクル性が高いため、プラスチックに代わるエコな選択肢として注目されています。印刷加工によりさまざまなデザインを表現できることや、軽量で取り扱いが容易である点が紙製パッケージの特長です。
近年は、技術の進歩によって強度や耐水性が向上した紙製パッケージも登場しており、プラスチックしか対応できなかった分野でも紙製パッケージの採用例が増えつつあります。この結果、プラスチック使用量の削減だけでなく、海洋プラスチック汚染リスクの低減などにも貢献します。
生分解性プラスチック
生分解性プラスチックは、微生物の働きによって最終的に水と二酸化炭素に分解される性質を持つプラスチックです。従来から多く使われてきた一般的なプラスチックは微生物による分解が難しく、自然分解されずにマイクロプラスチックとして海域などで長期間残留するのが大きな課題でした。しかし、生分解性プラスチックは自然環境の中でも分解されます。
土壌や海洋での分解が可能なため、屋外で長い間、使用される用途や廃棄物が誤って自然界に流出してしまうような場面にも対応することができます。ただし、分解にかかる時間は温度や湿度などの環境条件に寄るなど課題も残ります。
バイオマスプラスチック
バイオマスプラスチックは、トウモロコシやサトウキビなど、再生可能な有機資源を原料にしたプラスチックです。成長過程で植物が二酸化炭素を吸収するため、焼却時の二酸化炭素排出量の一部が相殺されるカーボンニュートラルな素材だと考えられています。
バイオマスプラスチックは、従来の石油由来のプラスチックと同様の性能を持っているのが特徴です。生分解性を持つタイプに比べ、非生分解性タイプは耐久性に優れていることから、用途に応じて使い分けることができます。
モノマテリアル
モノマテリアルは、単一の素材で構成されたパッケージのことです。
異なる素材を組み合わせて機能性を高めるタイプのパッケージは、リサイクル時の分別が複雑で、リサイクル率の低下が課題となります。しかし、使用されている素材が1つだけであれば、分別せずにリサイクルでき、廃棄時の処理も簡単です。
モノマテリアル素材を使った製品は、廃棄物の削減に貢献できるだけでなく、消費者にとってもリサイクルにかかるコストや手間を小さくできるため便利です。モノマテリアル化の技術開発は進んでおり、リサイクル適性を高めるために多くの企業が取り組んでいます。
サステナブルパッケージを採用するメリット
以下は、サステナブルパッケージを採用する主なメリットです。
- 社会的責任を果たせる
- サステナブルパッケージを採用して環境負荷を減らせば、企業はCSR(企業の社会的責任)を果たせます。また、環境に配慮した製品の提供により、消費者からの信頼獲得も期待できます。
- 事業の持続的な成長に寄与する
- 環境問題への関心が高まる中、環境に優しい製品を優先的に選ぶ消費者が増えてきました。サステナブルパッケージの採用により、売上の向上や新たな市場での競争力強化が期待できます。
- 企業価値の向上
- ESG(環境・社会・ガバナンス)に取り組む姿勢は、投資家が企業を評価する指標の1つです。社会課題を解決する事業活動は、ステークホルダーから評価され、企業価値の向上につながります。
サステナブルパッケージの採用は、環境への配慮だけでなく、企業の成長やブランドイメージアップにも大きく貢献します。環境問題への対応が企業の評価や持続的な成長に直結する時代において、重要な選択肢の1つです。
サステナブルパッケージの例
サステナブルパッケージには、環境負荷を減らすためのさまざまな素材が使用されています。以下では、NISSHAが取り扱う2つの製品、Sulapac®とパルプインジェクションを紹介します。
- Sulapac®
- Sulapac®は、北欧の管理された森林から採取された木材の廃材などから得られるウッドチップと植物由来のバインダーで構成された材料です。生分解性を有していることから廃棄時は堆肥化という方法での廃棄が可能です。木の風合いを生かしたパッケージデザインは色・形状・サイズも豊富で、化粧品や食品容器にも対応可能です。欧州の食品安全基準にも適合しており、サステナブルな素材として信頼されています。
- パルプインジェクション
- パルプインジェクションはパルプとでんぷんを主原料としており、プラスチック射出成形品のような複雑な形状を再現できるのが特徴です。1mm前後の薄さでも高い強度を持ち、輸送中の衝撃から製品をしっかり保護します。和紙のような風合いが特徴で、アンプルトレーなどに適した素材です。使用後は紙素材と同様にリサイクルできるため、廃棄後の環境負荷も抑えられます。
いずれも、環境に配慮しつつ機能性を保ち、多様な用途に対応できるサステナブルなパッケージの選択肢です。
Sulapac®(スラパック)
美しさと機能性を両立した成形品
- 100%バイオマス由来の成形品(ウッドチップと植物由来の生分解性樹脂)
- 自然を想起させる美しい外観と機能性
- 射出成形による様々な容器、製品を提供
Pulp-Injection(パルプインジェクション)
薄さと硬さを両立する射出成型品
- プラスチックと同等の形状再現性
- 薄肉かつ高強度
- 寸法と厚みの安定性
サステナブルパッケージならNISSHAにお任せください
サステナブルパッケージを採用すれば、企業はCSRを果たしてステークホルダーへPRできるだけでなく、環境への意識が高い消費者に対しても製品を訴求できます。NISSHAでは環境にやさしい素材と多様な成形技術を組み合わせ、プラスチックに代わる新しいパッケージ・製品をグローバルに提供しています。複数の工法の中から環境対応、形状、機能、サプライチェーン、コスト、ロットなどお客さまのさまざまなご要望に応じて提案いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。