SDGsとプラスチックごみ問題の関連性とは?各国の取り組みも解説

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SDGsとプラスチックごみ問題の関連性とは?各国の取り組みも解説

近年、地球環境や社会課題に対する関心の高まりとともに、「SDGs(持続可能な開発目標)」が注目を集めています。SDGsとは、持続可能な社会を目指すために、国連が定めた2030年までに達成すべき国際目標のことです。

SDGsには、気候問題や貧困、教育格差といった、今後人類が社会を維持していく上で解決が必要となる課題を解決するために重要な17の目標が含まれています。中でも、プラスチックごみの問題は早急な対応が求められるテーマのひとつです。

この記事では、SDGsとプラスチックごみの関連性から、プラスチックごみが環境に与える影響、各国のプラスチックごみ対策の現状、各企業が実践できる対策・取り組みまで詳しく紹介します。

プラスチックごみ問題はSDGsの何番にあたる?

世界中で深刻化しているプラスチックごみ問題は、自然環境や生態系にも大きな影響を与えています。この問題は、SDGsが掲げる複数の国際目標とも密接に関係しています。プラスチックごみ問題との関連性が特に高いとされるSDGs目標が、下記の3つです。

目標12:つくる責任、つかう責任
限りある資源を無駄にせず、製品の持続可能な生産と消費のバランスを構築するための目標です。製造と消費のあり方の見直しや、使い捨てされる製品の削減・リサイクル推進が求められます。プラスチックは希少な化石燃料から作られるため、12番の目標と関連深い素材です。
目標13:気候変動に具体的な対策を
気候変動への対策や、その影響に対処するための目標です。地球温暖化の進行に伴い、温室効果ガスの削減が全世界的に求められています。プラスチックの製造・焼却時に発生する温室効果ガスは気候変動の一因となるため、プラスチック生産量とごみの削減や再利用も重要になります。
目標14:海の豊かさを守ろう
海洋や海洋資源を保全しながら、持続可能な形で資源の利用を続ける目標です。プラスチックごみの適切な処理をはじめとした「海洋ごみ・海洋汚染を防ぐ取り組み」も、求められる取り組みに含まれます。

プラスチックごみが環境に与える影響

プラスチックは軽量で耐久性が高く加工もしやすいため、人々の生活に欠かせない素材として広く利用されています。しかし、適切に処理されず自然界に流出したプラスチックごみは、地球環境にさまざまな悪影響を及ぼします。

ここからは、プラスチックごみがどのような形で環境に影響を及ぼすのかを紹介します。

マイクロプラスチックによる海洋汚染

マイクロプラスチックによる海洋汚染

加工しやすいプラスチックは利便性が高く、レジ袋やペットボトルのほか、使い捨ての食品容器や商品のパッケージなどさまざまな場面で活用されます。しかし、その使いやすさから使用後は適切に廃棄されないことも多く、ポイ捨てされるケースも少なくありません。

適正に処理されなかったプラスチックごみは、風や雨によって川へと流れ込み、最終的には海へたどり着きます。海に流出したプラスチックごみは、紫外線による分解や波の力で砕かれることで、「マイクロプラスチック」と呼ばれる直径5ミリメートル以下の微細なプラスチック片を生み出します。

このマイクロプラスチックは有害物質が付着しやすいほか、自然分解されにくく長期間にわたって海中を漂い続けることが特徴です。海洋生物たちがマイクロプラスチックをエサと誤って摂取すると健康被害を引き起こす可能性もあり、最終的に食物連鎖を通じて人間にも影響が及ぶことが懸念されています。

マイクロプラスチックによる海洋汚染は、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」、目標12「つくる責任、つかう責任」と深く関係しています。

原料となる石油の枯渇

原料となる石油の枯渇

多くのプラスチックは、石油・天然ガスといった化石燃料から作られています。石油は原料として、天然ガスは製造過程での燃料として使われます。

しかし、化石燃料は限りある資源(有限資源)であり、現在のペースで消費し続けることは将来的な資源の枯渇を招く懸念があります。実際に、環境省が公表した資料では「2050年にはプラスチックが世界の石油消費量の20%を占める」と予測されています。

出典:環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」

プラスチックの過剰使用が続けば、有限資源である石油の持続可能な利用が不可能となることは避けられません。石油はプラスチックや化学製品の素材としてだけでなく、自動車の燃料などエネルギー資源としても利用される重要な資源です。そのため、プラスチックの適切な管理はもちろん、再利用や代替素材の活用が求められています。

この問題はSDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」と深く関連しています。

二酸化炭素の大量排出

二酸化炭素の大量排出

現在、プラスチックごみの多くはリサイクルされることなく焼却処分されています。前述の通り、プラスチックは石油を原料としてつくられているため、燃焼過程で温室効果ガスの一種である二酸化炭素(CO2)が大量に発生します。

温室効果ガスは、地球温暖化や気候変動の一因です。そのため、プラスチック使用量そのものを減らすほか、プラスチックを焼却処分せずに資源を再利用する手法の確立も求められています。

この問題はSDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」と深く関係しています。

各国のプラスチックごみ対策の現状

現在、SDGsの達成に向けて世界各国でさまざまな取り組みが進められています。その中でも、プラスチックごみ問題解決に向けた対策は多くの国にとって重要度の高いテーマとなっており、取り組みの形も多岐にわたります。

ここからは、2025年4月時点における各国のプラスチックごみ対策の現状や取り組み事例について解説します。

日本

日本政府では、プラスチックごみ対策に向けて「プラスチック資源循環戦略」や「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」などを策定しています。

プラスチック資源循環促進法は、3R(リデュース・リユース・リサイクル)に加え、再生可能資源への代替(Renewable)を基本原則とした法律です。正式名称は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」で、「プラ新法」とも呼ばれています。

そして、海洋プラスチックごみ対策アクションプランはプラスチックの有効利用を前提として、新たな海洋汚染を生み出さないための取り組みをまとめた計画です。具体的には、プラスチックごみの適正処理の徹底や、ポイ捨て・非意図的な海洋流出の防止、流出したプラスチックごみの回収などが方針として盛り込まれています。

アメリカ

世界で最も多くのプラスチックを廃棄しているとされるアメリカでは、基本的にプラスチック規制の方針が州や自治体によって異なります。

しかし、2021年11月に米国環境保護庁(EPA)が「国家リサイクル戦略」を発表しました。2030年までにリサイクル率50%を達成するという目標を掲げ、リサイクル市場の改善、インフラ整備、教育・啓発など、国全体としての取り組みが本格化しています。

EU

EUでは、プラスチックごみ問題に対する意識が比較的高く、法整備も積極的に進められています。2019年には「使い捨てプラスチック流通禁止指令」が可決され、2025年現在ではすでに、カトラリーや食品容器などの特定のプラスチック製品の使用が禁止されています。

さらに、新たな包装規則として「PPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation)」の導入も予定されており、製品の過剰包装の削減や、リサイクル可能な素材の使用義務化といった取り組みが強化される見込みです。

中国

かつてプラスチック廃棄物の主要な受け入れ国であった中国では、2017年に国外からの廃プラスチック輸入を禁止する法律を制定しました。

さらに、2021年1月には「プラスチック禁止令」が施行され、全国のレストランでは使い捨てプラスチックストローの提供が、主要都市の小売店ではプラスチック袋の提供が段階的に禁止されることとなりました。

また、2022年には「廃プラスチック汚染防止技術規準」が策定され、プラスチックごみの分別強化や埋立量削減といった制度整備も進められています。このように、中国ではプラスチックの全国的な完全禁止に向け、段階的な取り組みが進行中です。

プラスチックごみ問題に対策するために各企業ができる取り組み

プラスチックごみ問題に対策するために各企業ができる取り組み

プラスチックごみ対策への取り組みが世界的に進められている近年、企業にも責任ある対応が求められています。持続可能性の高い社会の実現に向けて企業が取り組める施策には、下記が挙げられます。

プラスチック代替素材を導入する
使い捨てプラスチック製品の素材をバイオマスプラスチックや生分解性プラスチック、紙素材などに変えることで、廃棄後の環境負荷を軽減できます。
プラスチックの使用量を抑えた包装・梱包仕様に見直す
必要最低限のパッケージで内容物を保護できるよう設計を工夫したり代替素材を用いたりして、商品の包装・梱包に使うプラスチックを最小限に減らせば、資源使用量を削減できます。
リサイクル性のより高い資材を選ぶ
プラスチック製品には、リサイクルしやすい種類とそうでない種類があります。たとえば、単一素材で構成されたPETは比較的リサイクル性が高いのに対し、複数の素材が複合されたものや高度な化学処理が施されたものはリサイクルが難しく、効率も低下しやすくなります。リサイクル性の高い資材の選定は、持続可能な社会の実現につながる重要な取り組みといえます。

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