立体成形樹脂に電極や回路などを形成した部品は、MID(Molded Interconnect Device)と呼ばれています。NISSHA IMEは、MIDのための新しい工法の1つです。では、MIDにはどのような工法があるでしょうか?MIDの従来の工法と、新しいNISSHA IME工法の違いをご紹介します。
MIDとは?
三次元形状の樹脂成形品の表面に、電極や回路などが形成された部品のこと。
Molded Interconnect Deviceの略で、成形回路部品とも呼ばれます。
MIDの開発により、これまで平面でしか実現できなかった回路形成や部品実装が三次元形状でも可能となりました。
その結果、これまでフラットな形のものが多かった電化製品を立体的で複雑な形状に設計したり、より薄く軽く、小型にするなど、多様なデザインを実現することが可能になりました。
MIDの工法
従来より知られているMIDの工法には、大きく分類すると二回成形法と一回成形法の2つがあります。
一回成形法の代表的な工法であるLDS(laser direct structuring)は、現在最も広く使われている工法です。
LDS工法では、金属触媒が含有された特殊な成形樹脂を使用します。
パターン化したい部分をレーザー照射することにより触媒を活性化し、無電解めっきによりパターンを形成します。
LDSによる立体回路成形品は、スペースの限られる小型電子機器との相性が良く、アンテナ用途として使用されることが多いほか、コネクタやスイッチなどにも使われています。
NISSHA IMEは、従来のMID工法とは全く違った方法で立体樹脂成形物への電極や回路の形成を実現する技術です。
NISSHA IMEには独自のメリットが数多く存在します。
従来工法ではできない構造をNISSHA IMEは実現しています。
NISSHA IME工法では、あらかじめ電極回路やセンサーパターンを印刷したフィルムやFPCを準備し、それらを金型にインサートして射出成形をおこなうことで、樹脂製品の成形と同時に回路を一体化します。
両面に電極回路を形成したフィルムやFPCを使うことで、回路の密度を上げることができます。
また、あらかじめ電子部品をはんだ実装したFPCを一体化することができれば、さらに集積度を上げることも可能です。
●成形樹脂の種類や色の自由度が高い
LDS工法では触媒の含まれた特殊な成形樹脂が必要で、一般の成形樹脂や透明樹脂が使えません。
いっぽう、NISSHA IMEでは、一般的な成形樹脂を使用することができます。
樹脂の材質や色を自由に選べ、透明樹脂にも対応していますので、光を透過させたいパーツや、ディスプレイなどの透明窓が必要な設計にも適用できます。
●より微細な配線や多層回路を実現
NISSHA IMEではFPCをインサート成形することにより、従来MID技術ではできなかったような微細な回路を形成することができます。
さらには、多層FPCのインサートも可能で、従来工法より高密度な回路形成が実現可能です。
●さまざまな電気的接続方法に対応
LDS工法での回路の電気的接続方法は、接続する基板に実装されたばねピンをLDSで形成した電極へ接触させる方法が一般的です。
NISSHA IMEでは、ばねピンによる接続の他に、インサートするFPCを延長してFPCコネクタで接続することができます。
●大型サイズにも対応
従来のMID技術では対応できるサイズが限られており、小さな部品への適用に限られます。
NISSHA IMEでは、小型サイズはもちろん、最大800mm程度の大型サイズまで適用できます。
そのため、電子機器の操作パネルそのものや、タッチパネル、スイッチをはじめ、様々な機能に必要な回路を形成するといった使い方にも適しています。
●NISSHA IMEだからできる形状
NISSHA IMEでは、従来の工法との違いを生かして、
NISSHA IMEでしかできない形状を実現します。
筒状の成形品の内側や絞りの深い形状の内側などへの電極インサートが可能です。
NISSHA IMEでは、成形品のどのレイヤーに電極をインサートするか、基板とどのように電気接続するか、複数の組み合わせからお選びいただけます。
電極の位置や基板との電気接続方法は、製品設計において重要です。
お客さまのご要望に合った組み合わせをご提案いたします。
①成形樹脂の表面に電極インサート
②成形樹脂の裏面に電極をインサート
実際にご覧いただけるサンプルをご用意しております。
複数の構造パターンのサンプルがございます。
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