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脱プラが可能な緩衝材は?サステナブルな素材も紹介
2024/10/10
- サステナブルパッケージ
- プラスチックごみ問題
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- 脱プラ
世界的な環境問題への関心が高まる中、脱プラスチックの取り組みがますます注目を集めています。プラスチックはその耐久性や低コストから広く利用されていますが、適切に処理されなければ海洋汚染や二酸化炭素排出の増加を引き起こし、地球環境に深刻な影響を与えます。特に日本においては、プラスチックごみの削減と再利用の質を向上させることが急務です。
当記事では、持続可能な社会を実現するための脱プラ緩衝材について解説するので、プラスチックの削減を目指している方はぜひご覧ください。
脱プラスチックの動き
国連サミットで採択されたSDGsや、日本では2020年に始まったレジ袋の有料化などにより、脱プラスチックの動きが広まっています。
世界各国が脱プラスチックを目指しているのは、以下の理由があるためです。
- 海洋汚染を防ぐため
- プラスチックごみは適切な処理がされないと海に流れつき、海洋汚染を招きます。海に流れついたプラスチックが海の生物を傷つけたり、マイクロプラスチックとなって人体にも影響したりなどが、プラスチックの海洋汚染で懸念されている問題です。脱プラスチックを進めることでプラスチックごみの排出量が減少し、プラスチックによる海洋汚染の防止につながります。
- 二酸化炭素の排出量を減らすため
- 多くのプラスチック製品は石油から作られていて、廃棄時に燃やすと二酸化炭素が発生します。二酸化炭素は地球温暖化の原因となる温室効果ガスの1つです。二酸化炭素の排出量増加は、地球温暖化による気候変動の要因となります。脱プラスチックによってプラスチックごみが減少すれば、廃棄に伴う二酸化炭素の排出も抑制できます。
ただし、日本ではプラスチックのリサイクル率はまだ低く、廃プラスチックの処理を他国への輸出に頼っているなどの現状があります。
日本が脱プラスチックを実現するには、企業も脱プラスチックへの取り組みを進めることが大切です。
サステナブルな社会とは?
脱プラスチックなどの環境問題への対応として注目されている概念に「サステナブルな社会」があります。
サステナブルは、「持続可能な」を意味する英単語の「Sustainable」を表す言葉です。サステナブルな社会とは「持続可能な社会」であり、現代だけではなく、未来も考えた社会を作ることを意味します。
サステナブル社会を実現するには環境問題の解決が不可欠であり、脱プラスチックが重要な課題となっています。
脱プラが可能な緩衝材5選
プラスチックは、商品の運搬に使用する梱包材や緩衝材に使われることが多い素材です。脱プラスチックを推進するには、緩衝材の素材を見直すとよいでしょう。
紙製緩衝材
紙製緩衝材とは、プラスチック素材ではなく紙素材で作られた緩衝材です。紙製緩衝材の例としては再生紙100%のボーガスペーパーや、紙を細かくカットした紙パッキンがあります。
紙製緩衝材は柔軟性が高く、内容物の形状に合わせて箱に詰めやすい点がメリットです。サイズや紙表面の加工も簡単で、さまざまな物品の梱包に使えます。
ただし、紙製緩衝材はクッション性が低く、強い衝撃を受けると内容物を保護できない可能性があります。高価・壊れやすい内容物の梱包には向きません。
立体紙緩衝材(パルプモールド)
立体紙緩衝材(パルプモールド)とは、立体成形技術を用いて紙を立体的な形状にし、組み立てて使用する紙製の緩衝材です。紙製緩衝材よりもクッション性が高く、機械製品の緩衝材にも用いられています。
立体紙緩衝材(パルプモールド)は紙素材ではあるものの一定の強度があり、軽量さとクッション性を兼ね備えていることが特徴です。製造段階であらかじめ型取りを行うため、内容物の形状にフィットする形状で製造できて、大量生産もできるメリットがあります。
デメリットは製造後の加工が難しい点です。異なる商品の緩衝材として使いたい場合は型取りを行う必要があり、費用と時間がかかります。
コーンスターチ製バラ緩衝材
コーンスターチ製バラ緩衝材は、トウモロコシを原料とするコーンスターチで作られたバラ緩衝材です。バラ緩衝材とは、繭玉型やS字形状などの粒形状で作られた緩衝材のことを指します。
コーンスターチ製バラ緩衝材は一つひとつが小さく、箱と内容物の隙間を埋めるように使いやすい点がメリットです。捨てるときは燃えるゴミでの処分が可能で、環境負荷の少ない緩衝材として使えます。
デメリットは、梱包時に内容物を固定する用途には不向きである点です。また、畳んで収納できないため、大量に購入すると保管スペースを取る点にも注意してください。
薄葉紙
薄葉紙(うすようし)とは、通常の紙よりも薄手に作られた紙のことです。薄葉紙は緩衝材のほか、商品のラッピングなどにも用いられています。
薄葉紙は薄手で手触りのよい製品が多く、高級感を演出できる緩衝材として使える点がメリットです。カラーバリエーションも豊富で、内容物に合わせたカラーを使用できます。
デメリットはクッション性が高くはなく、緩衝材として使うには枚数も必要になる点です。高価な物品を見た目よく包装する用途には向くものの、商品保護のためには他の緩衝材も併用したほうがよいでしょう。
巻きダンボール
巻きダンボールとは、ダンボールの片面に板紙(ライナー)が貼られておらず、波形の中芯が表面に見えているダンボール素材の緩衝材です。中芯を内側にして巻き、内容物を包むようにする使い方もできます。
巻きダンボールのメリットは、比較的高いクッション性を持ちつつ、折り曲げや裁断などの加工もしやすい点です。通常のダンボール箱には入らない大きい物や、長い物も梱包できます。
デメリットは、片面に板紙が貼られていないことにより、通常のダンボールよりもクッション性や耐久性が劣る点です。割れ物などの衝撃に弱い商品の梱包には向きません。
緩衝材の脱プラを成功させるには?
脱プラを目指す際はさまざまなハードルがあります。緩衝材の脱プラを成功させるには、下記のポイントを押さえることが大切です。
- 最初にプラスチック利用の現状を把握する
- 最初に、自社がどのような商品に対してプラスチックの緩衝材を使用しているかを把握します。
- 商品によっては衝撃に弱かったり、水濡れが懸念されたりする可能性もあります。脱プラによって緩衝材としての機能が満たせなくなると事業継続に支障が出るため、脱プラができる緩衝材と、脱プラができない緩衝材を分けて考えるようにしてください。
- 現場の声を必ず取り入れる
- 緩衝材の脱プラを計画する際は、現場の声を必ず取り入れましょう。
- 緩衝材は現場で使用する梱包資材であり、新しい緩衝材の使い方が異なったり作業工数が増えたりすると現場の反発が起こる可能性があります。現場での使いやすさや作業性も考慮すると、企業の脱プラは成功しやすくなります。
脱プラ素材の緩衝材は、成形技術によって質感や形状に違いがあります。脱プラ素材を採用する際は、成形技術などの要素で依頼先を比較検討する必要があるでしょう。
脱プラ緩衝材に最適なパルプ発泡材PaperFoam®
脱プラスチックの成功には、現場の意見を取り入れつつ、用途に応じた最適な素材を選ぶことが重要です。また、リサイクルの質を向上させ、より持続可能な資源循環を目指すことが、今後の社会に求められる取り組みとなるでしょう。
NISSHAでは、でんぷんとパルプを主原料にしたパルプ発泡成形品「PaperFoam® ペーパーフォーム」を提供しています。緩衝性が高く、製品を固定して輸送することも可能なPaperFoam®の導入をぜひ検討してください。
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