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エコパッケージとは?環境負荷低減につながる理由と事例を丁寧に解説
2025/02/05
- サステナブルパッケージ
- デザイン/設計
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近年、SDGs(持続可能な開発目標)やサステナビリティという言葉が浸透するにつれ、エコパッケージが多くの企業や消費者から注目されています。商品の質やデザイン性を保ちながら、可能な限り環境負荷を下げるのは容易ではありません。
しかし、素材選びや製造工程の見直しなど、小さな工夫を重ねることで、プラスチックの使用量削減やリサイクルの促進を図ることは可能です。エコパッケージを導入することで、社会的な信用度向上につながるほか、企業やブランドの魅力をさらに高めるチャンスにもなり得ます。
当記事では、エコパッケージの意味や環境的な意義、具体例について説明します。エコパッケージの導入に向けて押さえたいポイントを解説していますので、ぜひご一読ください。
また、NISSHAが提供するエコパッケージ関連製品についてはこちらをご覧ください。
エコパッケージとは?
エコパッケージとは、リデュース・リユース・リサイクル・リプレイスを考慮して作られたパッケージのことです。パッケージとしての基本機能は従来のものと変わらずに、環境への負担を軽減する性質を持った商品を指します。「リデュース」は廃棄物の量を減らすこと、「リユース」は使用後にそのまま再利用できること、「リサイクル」は再資源化、「リプレイス」は持続可能な原料への転換のことです。
これまでパッケージの素材として幅広く活用されてきたプラスチックは、利便性が高い反面、自然分解されにくく地球環境に負荷を与えやすいというデメリットがあります。そのため、パッケージの素材や加工方法を工夫した、環境にやさしいエコパッケージが注目され、さまざまな分野・業界で導入が進んでいます。
サステナブルパッケージとは?素材や採用メリット・製品例を解説
エコパッケージが環境負荷の低減につながる理由
エコパッケージは、パッケージの資材調達から設計、製造、リサイクルまでの各段階においてサステナビリティに貢献します。サステナビリティとは、日本語で「持続可能性」と訳され、環境、社会、経済の3つの側面をバランスよく維持しながら、現在と未来の世代が豊かに暮らせる社会を目指す考え方や取り組みを指します。
資材調達では、リサイクルされた材料である再生材や、植物由来素材のバイオマスプラスチックなどを選択することが環境負荷低減につながり、サステナビリティに貢献します。また、材料選択だけでなくパッケージ設計においてもサステナビリティへの取り組みは可能です。パッケージに求められる機能や強度と環境配慮設計を両立させることで製造時や輸送時のエネルギー使用量削減、分別を容易にすることによってリサイクル性の向上・廃棄物の削減などライフサイクル全体を通して環境負荷低減に役立ちます。
環境負荷低減の客観的な評価手法
エコパッケージが本当に環境負荷の低減につながっているかを把握するための指標の1つに「ライフサイクルアセスメント(LCA)」があります。
LCAは、製品・サービスのライフサイクル全体または特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法です。LCAはISO(国際標準化機構)によって標準化された手法であり、日本ではCSR報告書などで取り入れられています。
ライフサイクルアセスメント(LCA)とカーボンフットプリント(CFP) ~ 第1部 特徴、実施方法、注意点を簡単にご紹介 ~
エコパッケージを採用するメリット
エコパッケージの採用には、以下のようなメリットがあります。
- SDGsに貢献できる
- SDGsとは、地球環境の保全や貧困撲滅など持続可能な社会実現のために2015年に国連で採択された17の国際的な目標のことです。エコパッケージの導入によって、世界的な取り組みであるSDGsに貢献でき、社会的信用の獲得にもつながります。
- 消費者に選ばれる企業・製品になる
- エコや環境問題への関心が高い消費者は少なくありません。そのため、具体的な取り組みを行っている企業や製品はそういった消費者から評価され、選択される理由になります
- デザインの幅が広がる
- いくら環境にやさしいパッケージでも、消費者にとって使いにくかったり、見栄えが悪かったりすれば手に取ってはもらえません。しかし、エコパッケージの中にはデザインの自由度が高く、表現の可能性の幅が広がるものもあります。特に、自然の温もりや優しさが感じられる素材で製造されたパッケージは消費者に好まれやすく、製品の付加価値を高めることにもつながります。
企業が率先して環境負荷低減に向けた取り組みを行うことで、消費者の意識を改革できるのもポイントです。消費者の環境への意識を変えられれば、エコパッケージの重要性が浸透し、より需要が伸びることも考えられます。
エコパッケージの導入方法と具体例
エコパッケージの手法にはいくつかの種類があり、簡易包装、詰め替え包装、リターナブル容器、単一素材・リサイクル可能な素材が代表的です。以下で具体例と環境に与える影響をそれぞれ紹介します。
【簡易包装】食品やお菓子・花火
簡易包装は、包材の使用を最低限にすることで資源の無駄遣いを減らす手法です。「商品をクラフト紙で包んで紐で封じる」「気泡緩衝材で包んでテープで封をする」などが簡易包装に該当します。簡易包装はごみ削減や、ごみの焼却処理で発生するCO2を減らせるだけではなく、分別の手間を減らしてリサイクルを促進できるというメリットもあります。
また、食品やお菓子に使うパッケージの素材を見直したり、サイズや厚さを変更してプラスチック使用量を減らしたりといった工夫も簡易包装の例として挙げられます。また、セロハンテープもビニール袋も使わないエコパッケージ花火は、使用時の手間が大幅に減少するため消費者からも人気があります。
【詰め替え包装】石鹸・洗剤
詰め替え包装はシャンプーや石鹸、洗剤などで多く使われています。
詰め替え包装は容器を製造する頻度を下げられ、製造工程で発生するCO2を削減できる点が大きなメリットです。容器を捨てる頻度も減るため、ごみの削減にも直結します。また、詰め替え包装は一般的に低価格で購入できるため、消費者にもメリットが大きい手法と言えます。
【リターナブル容器】瓶
使用後に回収し、洗浄してリユースされる容器です。リターナブル容器の代表例は牛乳瓶やビール瓶などの瓶で、古くから一般的な手法でした。
ガラス瓶には内容物の味やにおいが移らないという特徴があるため、しっかりと洗浄すれば繰り返し使用できます。消費者のライフスタイルや流通などの変化によって繰り返し使えない容器が増えたものの、エコの観点から再びリターナブル容器の長所が見直されつつあります。
【単一素材・リサイクル可能な素材】医療機器・化粧品・電気機器など
パッケージに複数の素材が使われていると、資源とごみと分別するのに手間がかかり、ごみとしてまとめて捨てられる可能性が高くなります。本来リサイクル可能な素材でも、ごみとして捨てられれば処分され、リサイクルできません。資源のリサイクルを促進するためには、単一素材化など、消費者が容易に分別廃棄できる工夫が必要です。
また、プラスチックの代替素材として、環境にやさしい素材やリサイクル可能な素材を使用するのもエコパッケージの手法のひとつです。プラスチックの代替素材としては、紙、植物などから作られたバイオマスプラスチック、微生物が分解可能な生分解性プラスチックなどが挙げられます。
NISSHAのパルプ成形品「Pulp Series(パルプシリーズ)」も、プラスチックの代替となる製品です。天然素材のパルプを主原料としており、使用後は紙としてリサイクルできるのが大きな特徴です。万が一、自然界に流出しても植物と同様に生分解されるので、環境汚染を抑制できます。Pulp Seriesは現在、医療機器や化粧品、電気機器、文房具など、さまざまな分野のパッケージにご使用いただいています。
NISSHAが取り扱っているパルプシリーズについて詳しくはこちら
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NISSHAでは、デザイン・設計から試作、評価、量産まで、一貫したサポート体制を構築しております。お客さまのご要望に合わせたエコパッケージを提案・製作いたしますので、詳細がまだ決まっていない方も、まずはお気軽にご相談ください。