自然に還る植物由来のプラスチック材料 Sulapac®とは?

  • サステナブルパッケージ
  • バイオコンポジット
  • バイオマス
  • リサイクル
  • 容器
  • 射出成形
  • 生分解

Sulapacとは?

Sulapac社は石油由来プラスチックによる環境汚染をなくすことを目的に2016年にフィンランドで生まれました。Sulapac®は“サステナビリティ” “美しさ” “機能性”を軸に開発・設計された材料で、管理認証を取得した森林から採取される木材や廃材とバイオポリマー(植物由来プラスチック)の2つの原料を組み合わせて作られた「バイオコンポジット材料」です。Sulapacは材料名であり企業名としても使われています。

Sulapac®

Sulapac®(スラパック)

美しさと機能性を両立した成形品

  • 100%バイオマス由来の成形品(ウッドチップと植物由来の生分解性樹脂)
  • 自然を想起させる美しい外観と機能性
  • 射出成形による様々な容器、製品を提供
Sulapac®について詳しくはこちら 資料ダウンロードはこちら

バイオコンポジット材料とは?

一般的に、単一原料では成り立たない強度や加工性を補完し合うため異なる原料を組み合わせた材料を「コンポジット材料」と呼びます。「バイオコンポジット材料」は2つ以上の異なる原料を用いて作られるコンポジット材料の中でも、植物由来の原料が含まれているものを指します。その種類は多岐にわたり、例えば石油由来のプラスチックと植物由来の原料で構成されていてもバイオコンポジットとして定義されます。

Sulapac®は最大100%植物由来の材料

Sulapac®はウッドチップとバイオポリマー(植物由来プラスチック)で構成されており、100%植物由来からできたグレードもあります。
バイオポリマー(植物由来プラスチック)を用いることにより加工時の成形性が高まるほか、
100%植物由来グレードの実現やマイクロプラスチック問題を引き起こさない生分解性など環境面においても大きなメリットがあります。Sulapac社は今後、2025年までにすべての材料を植物由来またはリサイクル材のみで構成することを目標に掲げています。

Sulapacが「植物由来」を選ぶ理由

ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)のような従来のプラスチックは再生できない資源、すなわち石油から作られています。いま、世界中で石油由来のプラスチックの使用量削減が叫ばれる理由は主に2つあります。

1つ目は石油由来の原料(化石燃料)は製造過程から廃棄に至るまで多くの二酸化炭素を排出し、気候変動を加速させる一因になり得るためです。
2つ目は増え続ける需要に対応し続けることで石油由来の原料(化石燃料)自体が枯渇してしまうリスクがあるためです。

では、植物由来の原料は製造工程において二酸化炭素が排出されないのかと言うと、そういうわけではありません。石油由来と同様に二酸化炭素は排出されますが、植物は成長する過程の光合成により大気中から二酸化炭素を吸収します。そのような意味で排出量を吸収量で相殺することができるのです。
また、植物由来の原料は石油由来の原料に比べ短期間で再生することができます。一般的に木材は数十年から数百年で再生される一方で、石油は地球の奥深くで数百万年以上かけて作られます。

以上のことから、Sulapacは枯渇資源である石油由来の原料ではなく環境への影響が少ない植物由来の原料を選択しています。

廃棄方法・リサイクルについて

廃棄の点において世間一般のリサイクルシステムは従来の石油由来のプラスチックを対象としているため、植物由来の材料や生分解性を持つ材料のリサイクルには適しませんが、中にはリサイクル可能なシステムもあります。今後、植物由来の材料が普及するにつれ、それらのリサイクルシステムも充実していくと考えられています。
現在、Sulapac社ではIndustrial composting(工業堆肥化)での廃棄を推奨していますが、グレードによっては最大5回までのメカニカルリサイクルが可能です。将来的にはケミカルリサイクルへの対応を目指し開発を行っています。

サステナブルな調達を実現

石油由来・植物由来を問わず、環境に配慮した原料の調達は重要です。例えば、自然保護地域から木材を調達するだけでは再生可能な原料とは呼べません。
Sulapac®に使用されるウッドチップは森林資源を維持するために適切に管理された北欧の森林から調達しており、その多くは木材を加工する際に発生した廃材を使用しています。

生分解とマイクロプラスチック

生分解とは自然界に存在する微生物が材料を水、二酸化炭素、有機物に分解する生物学的過程を意味します。生分解性をもつポリマーは植物由来、石油由来のどちらにも存在しますが、従来のプラスチックの多くは非生分解性ポリマーです。

生分解性をもたないプラスチックがひとたび自然界に流出してしまうと、分解するまでに何百年もの時間を要すると言われています。そして紫外線による劣化や水流による浸食で生まれるマイクロプラスチックやナノプラスチックは微生物によって生分解されることなく、長期的に自然環境に漂い続けることから生態系への悪影響が懸念されています。

このように植物由来のプラスチックであっても石油由来のプラスチックと同じ分子構造を持つ材料もあるため、「バイオプラスチック」と名の付くものであってもすべてが生分解性を有しているわけではない点については注意が必要です。

生分解・堆肥化に関してはこちらのブログを参照ください。
生分解性と堆肥化 ―生分解性材料を有効活用して、サステナブル社会の実現へ

まとめ

  • Sulapacは“サステナビリティ” “美しさ” “機能性”を両立
  • 最大100%植物由来の材料
  • 管理認証を取得した森林から採取される木材や廃材を使用
  • Industrial composting(工業堆肥化)での廃棄が可能
  • 最大5回までのメカニカルリサイクルが可能
  • 生分解性を持つため、マイクロプラスチックを残さない

当社はSulapac社とグローバルに戦略的パートナーシップを結び、当社成形工場を通じて各種成形品の生産・販売をしています。
植物由来の生分解性材料Sulapac®にご興味のある方は、こちらからお問い合わせください。

関連記事