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脱プラは包材選びから?脱プラ包材の特徴紹介
2024/08/27
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誰もが一度は「脱プラ(脱プラスチック)」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。その必要性が世界中で高まっています。プラスチックごみによる環境汚染は深刻化しており、いまやその懸念は人体への影響にまで広がっています。このような背景から、脱プラは未来のために避けることができない取組みと言わざるを得ません。
「脱プラ」が話題となる場面で問題視されることが多いのが使い捨てプラスチック製品やそれらを包むために使用されるプラスチック製の包材などです。性能面や利便性を考慮すると容易に失くせるものばかりではなく、その対応に頭を悩ませている企業が多いのが現状です。
そこで、今回の記事では、脱プラに取り組む上で欠かせない包材の脱プラスチックに焦点を当て、押さえるべきポイントを解説します。なぜ「脱プラ」がこれほどまで注目されるのか、包材に求められる役割、おすすめの脱プラ包材などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「脱プラ」が注目される背景
脱プラ(脱プラスチック)とは、製品や包材を、プラスチック以外の代替素材に切り替える動きのことです。熱を加えると自由に変形する性質を持つプラスチックは軽さや強さに優れ、加工も容易なことから大量生産に向き、幅広い用途で使用されてきました。
しかし、大量消費されたプラスチックが原因でさまざまな環境問題が顕在化してきたことにより、世界中で脱プラの必要性が叫ばれています。
安価に大量生産できるプラスチック製品は使い捨て製品や開封と同時に廃棄される包材などにも使われ、それらが適切に廃棄されなかった結果、土壌や海洋の汚染を引き起こすだけでなく生態系へも悪影響を及ぼしています。この問題は水産資源を利用する人類にとっても関係の深い問題で健康被害などのリスクについても議論されています。
このような問題を解決し、今後も持続可能な発展を続けるために、「脱プラ」が注目されているのです。
包材に求められる役割
包材の脱プラを検討するにあたり、注意が必要な点は従来から求められてきた包材の役割を満たすことができるかです。
- 情報の伝達
- 流通や取扱い時の利便性
- 製品保護
上記の3つの役割を例に、プラスチックから別の素材に包材を変える際のポイントを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
情報の伝達
包材の重要な役割のひとつが、内容物の情報をユーザーにわかりやすく示すことです。製品仕様や製造時期、品質や商品の使用方法など法律で表示が定められた項目から商品イメージを高める装飾まで、包材にはさまざまな情報を伝える目的があります。
表示方法としては、表面への直接印刷やシールの貼付が一般的ですが、脱プラ素材に適用できるかについては予め理解しておく必要があります。
具体的には従来の製造工程との適性や印刷・シールの接着との相性などです。また、せっかく脱プラ素材を採用しても、石油由来の原材料を用いる表示方法を積極的に採用していては“脱”プラとは謳えなくなるため、そういった点にも気を配る必要があると言えそうです。
流通や取扱い時の利便性
流通にはおいて商品を取り扱いやすくすることも、包材に求められる役割です。例えば包材の形やサイズの種類が統一されていると、輸送や保管時の省スペース化などで効率的です。もちろん、形やサイズは消費者の持ち運びや開封・取出しなどとも関係する重要な要素です。そのような観点から、従来の包材のように取り扱えるかは脱プラ素材や異なる工法に置き換えたとしても考慮が必要なポイントです。
製品保護
製品の保護は、包材に欠かすことができない役割です。そして、プラスチックが包材として重宝される大きな理由として、内容物を保護する性能に優れている点が挙げられます。
プラスチックの軽くて丈夫な特性は、パッケージ全体の重さや大きさを抑えつつ、内容物を汚れなどから保護するために重宝されています。また、密閉性や遮光性の高さを活かし、内容物を空気や光による変性や劣化から守る目的でも使用されます。化粧品、薬品、健康食品のように、デリケートで長期間使用される製品にプラスチックが多いのは、こうした特性によるところが大きいでしょう。
「脱プラ」におけるプラスチックの代替素材
ここまで「脱プラ」が注目される背景、包材に求められる役割について説明してきました。では、プラスチックに代わる素材にはどのようなものがあるのでしょうか。代表例2つと、それらを用いたNISSHAの取り組みについてご紹介します。
紙素材
脱プラの代表例として紙素材が挙げられます。紙素材は汎用性が高く、厚みや紙質などを調整することでさまざまな形状を作ることができます。最近では、プラスチックストローを紙製ストローに切り替える飲食店も増えており、目にする機会の多い素材です。
汎用性の高い紙素材ですが、紙に置き換えるだけではプラスチックに比べ、多くのデメリットがあることも事実です。NISSHAのパルプシリーズでは、主原料であるパルプと他原料や成形工法を組み合わせることで、プラスチック包材のような使い方ができる製品づくりを目指しています。
「PaperFoam®(ペーパーフォーム) 」は従来の商品を包むトレーのように、商品に合わせたさまざまな形状を再現できる包材です。クッション性をもつ素材のため、ウレタンフォームのように商品が揺れ動かないよう、しっかりと固定することもできます。石油由来の材料は一切用いておらず、100%の脱プラが可能です。
「Pulp-Injection(パルプインジェクション)」は、プラスチック製のような薄さと硬さを実現できるパルプ製の包材です。繊細な取扱いが求められる商品や輸送・保管時の省スペース梱包設計を望まれる際のプラスチック代替品として検討されることが多い製品です。
生分解性プラスチック
プラスチックの代替素材として近年、よく名前が挙がるようになったのが、生分解性プラスチックです。使い勝手や軽さ・丈夫さは紙素材より従来の石油由来プラスチック製品に近いながらも、廃棄後は生分解されるため、生態系に及ぼす影響を抑えられる材料です。生分解性プラスチックについては、「生分解性プラスチックの歴史をわかりやすくまとめる-項目別年表付き」で詳しく説明しています。
このような風潮を踏まえ、NISSHAでも生分解性プラスチックを用いた製品の開発に取り組んでいます。「Sulapac®(スラパック)」製の容器は、管理認証を取得した森林から採取される木材や廃材とバイオポリマー(植物由来プラスチック)を組み合わせて作られたバイオコンポジット材料を使用しています。化粧品やサプリメントなどの容器として採用されています。
まとめ:脱プラ包材は「我慢」ばかりではない
紙素材や生分解性プラスチックであっても、包材に求められる基本的な役割を満たすことができるとお分かりいただけたのではないかと思います。
ただし、紙素材や生分解性プラスチックが必ずプラスチック製包材の代わりになり得るかというと、そうとは言えません。商品ごとに適切な梱包方法、流通プロセス、販売環境など異なるため、包材の中にも向き不向きがあるためです。
そのような背景から、包材の脱プラに取り組むためには従来から使用してきた包材への要件を正しく理解することと、それらを満たす最適な素材や加工方法を見極めることが重要です。
NIHSSHAでは、今回ご紹介した製品以外にもさまざまな特徴をもった脱プラ包材をご提案していますので、お気軽にご相談ください。