ガイドワイヤは、血管内治療や内視鏡治療などにおいて、カテーテルなどの医療機器を目的の位置まで誘導するために使用されています。種類によって構造や表面加工、操作性に違いがあり、使用する場面や治療対象によって適切な選定が求められます。また、操作には一定の技術や注意が必要です。 この記事では、主に血管内治療用ガイドワイヤの役割や種類、使い方を解説します。
ガイドワイヤとは?主な役割を紹介
ガイドワイヤはステンレス製あるいはニッケルチタン合金製で、直径0.01~0.04inch [約0.254~1.016mm] の医療用ワイヤです。表面には親水性コーティングが施され、血管内の摩擦を減らし体内へのスムーズな挿入が可能です。また、血管などの複雑な経路を通過させるため柔軟性があり、手元の回転操作の先端へのトルク伝達性に優れているといった特徴があります。
ガイドワイヤは下記の役割を担っています。
- 目的部位へ到達するための先導
- 狭窄部などの通過困難な部位にガイドワイヤを挿入し、処置具が通過できるルートを確保します。
- 目的部位への処置具の誘導
- 先にガイドワイヤを通すことで、カテーテル、バルーン、ステントなどの処置具を目的部位に安全に誘導します。
- X線透視下での目印
- 造影剤を含む材料でコーティングされたガイドワイヤや、先端にX線不透過性のマーカーが付いている製品により、X線透視下での視認性が高まり、処置具の正確な配置が可能になります。
ガイドワイヤの種類
ガイドワイヤは、主に「コイルタイプ」と「ポリマージャケットタイプ」に分けられます。コイルタイプは金属線のインナーコアにプラチナや金のコイルを巻き付けた構造で、コイルに親水性・疎水性コーティングを施した製品もあります。操作性に優れ、先端の感覚が伝わりやすく、汎用性が高い点が特徴です。
一方、ポリマージャケットタイプは先端がプラスチックのポリマーで作られており、ポリマー部分には親水性コーティングが施されています。滑りやすさが特徴で、屈曲や石灰化病変に有用ですが、穿孔のリスクに注意が必要です。
また、先端形状(ストレート型・アングル型)、直径0.01~0.04inch[約0.254~1.016mm]、長さ(通常仕様タイプ・ショートタイプ)、剛性やコーティング範囲なども製品ごとに異なり、処置内容や使用機器との相性を考慮して選定されます。
ガイドワイヤの使い方
ガイドワイヤの基本操作には、押し引きによる「前後操作」と、回転によって向きを変える「回旋操作」があります。前後操作と回旋操作を組み合わせることで、狙った位置にワイヤを正確に導けます。先端の向きを調整しやすくするために、ワイヤ先端を数ミリほど曲げておく「シェイピング」も重要です。
操作時は、ガイドワイヤが汚れたり乾燥したりしないよう、生理食塩水で濡らしたガーゼで保持しながら操作します。また、手での操作を補助するために専用のトルクデバイスを使うこともあります。ワイヤは非常に長いため、落下や汚染を防ぐために整理用の台やクリップも活用します。
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参考: J-Stage「ガイドワイヤ」https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsvs/33/5/33_24-00056/_pdf/-char/ja
J-Stage「ERCP 時のガイドワイヤー操作のコツとトラブルシューティング」https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/65/3/65_271/_pdf