メディカル分野では、人体に電極を貼り付けて、心電図、筋電図、脳波などの生体情報を測定する診断機器が多くあります。 近年、IT技術やセンサー技術の発達によりディバイスの小型化が進むと同時に、予防領域への関心の高まりにより、幅広いウェアラブル・生体センサーがヘルスケア分野で登場してきました。 予防・診断領域では、日常⽣活で⽣体情報を取得・モニタリングすることは、突発的にしか発⽣しない不整脈など、潜む健康リスクの発⾒への貢献が期待できます。また治療領域では⼿術技術の ⾼度化に伴い、⼿術機器との組み合わせで使⽤するウェアラブル・⽣体センサーも低侵襲治療の発展に貢献しています。
ウェアラブル・生体センサーの開発における課題
ウェアラブル・生体センサーの開発を進めるにあたり、設計上考慮すべき項目が多くあります。
ノイズが少なく、安定した信号を得るためにどのような構造にする必要があるのか。患者さまが動きながらもしくは安静時でも安定して測定することが可能なのか、など使用環境を考慮した上で、重量やサイズなどの設計およびその妥当性を確認することも必要になります。
そのなかでも課題に挙がる項目としては人体への影響の確認があります。生体センサーなどのウェアラブル機器は数時間から長ければ数日間、連続して貼り付けて使用することになります。人体に長時間触れた状態で使用されるので、人体への影響の確認などさまざまな安全性を確認する必要があります。
例えば、肌に接触する電極部分や粘着剤で、皮膚がかぶれたり、炎症を起こさないかの生体適合性試験などの規格が最も一般的な項目になります。
ほかにも、電極を貼り付ける際の粘着力が十分にあり、乾燥や発汗した皮膚状態でも剥がれることなく長時間使用が可能か。粘着剤を剥がすときに皮膚に感じる痛みや、角質がはがれることで起こる赤みやかぶれがみられるのかといった、皮膚との粘着性および皮膚への負担といった指標も適正であることが求められます。
人体の皮膚は個人差が大きく存在します。例えば高齢者と新生児でも皮膚の状態は異なります。また同じ患者さまでも環境や季節によって皮膚の状態は変わります。
このような評価が難しい皮膚への負担の特性について、医療業界では一般的な生体適合試験以外の試験方法が定まっていないため、初めて開発を行う企業は、これらの観点を含め、設計検証や妥当性確認の手法を自社で考えながら評価せざるを得ない状況になっており、設計開発で課題を抱えています。
ウェアラブル機器開発におけるNISSHAの経験と知識
ウェアラブル機器の開発では、安全で使いやすい機能と形状を設計、製造する技術はもちろん、最適な材料を選定する知見や、個人により変わる使用感を考慮することが必要となります。
NISSHAは、ウェアラブル・生体センサーなどの医療機器の受託設計・製造を長年にわたり展開してきました。ウェアラブル機器の設計、製造、評価、材料選定における経験や知識を多く持っています。
特に、ウェアラブル機器に使用する素材評価においては、長年にわたり数多くのメーカーさまのさまざまな素材を評価していくなかで、独自の評価方法を社内で確立しました。
例えば、電極の粘着剤は、多くの被験者の協力や人工皮膚を使用して、皮膚剥離力を測定することで皮膚状態により変化する粘着力を定量的に評価します。
粘着剤を剥がす際の痛みに関しては、基準となる粘着剤との比較により、個人により差のある痛みの感覚を合わせ、半定量的に測定しています。粘着剤を剥がしたことによる皮膚への物理的な刺激性について、粘着剤上の剥がれた角質量を目視と数値化によって評価します。また、日本産業皮膚衛生協会にも参加し、常に新しい情報を取り入れて開発に活かしています。
ウェアラブル機器の設計・開発パートナーとして
ウェアラブル機器の製造・開発は、製造技術だけでなく
材料や評価に関する経験や知見も豊富なNISSHAにぜひご相談ください。