医療機器には信頼性や安全性が求められます。特に体内に入れて使用するなど、人体への影響が大きい医療機器の製造販売にあたっては、 厳しい審査をクリアすることが必要です。 この記事では、医療機器の中でも要求事項が厳しい「高度管理医療機器」について解説します。
高度管理医療機器とは?
高度管理医療機器とは、副作用と不具合発生時のリスクが大きく、製造販売に厳しい規制がかけられている医療機器の総称です。製品の不具合によって患者さまの健康や命に重大な影響をおよぼす可能性があるため、薬機法第2条第5項に基づいて、適切な管理が義務化されています。
医療機器は種類によって患者さまに与える影響の大小があり、高度管理医療機器以外にも一般医療機器や管理医療機器があり、医療機器規制国際整合化会議(GHTF)のクラス分類ルールに基づいて、クラスⅠ〜クラスⅣと分類されることもあります。クラスⅠはリスクが低く、救急絆創膏やメス、縫合針などが該当します。クラスⅡは中リスクで、耳かけ型補聴器や電子体温計、脳波計などが該当します。クラスⅢは高リスクで、透析器、人工呼吸器などが該当します。クラスⅣは最も高リスクで、人工心臓弁や人工皮膚、冠動脈ステントなどが該当します。
その中でも、高度管理医療機器はリスクが高いクラスⅢ・クラスⅣに該当します。そのため使用時に特別な注意が必要なのはもちろん、製造販売するためには厚生労働大臣の承認などが必要です。
リスクによる分類
医療機器は、人体に与えるリスクに基づいて「一般医療機器」「管理医療機器」「高度管理医療機器」の3つに分類されます。ここでは各分類の概要について解説します。
- 一般医療機器
- 一般医療機器は、不具合が生じた場合でも人体へのリスクが極めて低い製品です。該当するものは機械式聴診器、メス、眼科用ピンセット、縫合針など病院で使用されるものに限らず、救急絆創膏といった一般家庭で使われるものも含まれます。
- 管理医療機器
- 管理医療機器とは、一般医療機器よりリスクが高いものの、不具合による患者さまへの影響が比較的低いと考えられている医療機器です。例として、硬質レジン歯、耳かけ型補聴器、脳波計、電子体温計、自動電子血圧計が挙げられます。
管理医療機器の製造販売にあたっては第三者認証機関による審査を受け、認証を得る必要があります。 - 高度管理医療機器
- 高度管理医療機器は、不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高かったり、生命の危険に直結する恐れがある医療機器の総称です。例として、中空糸型透析器、全人工股関節、人工骨インプラント、汎用人工呼吸器、粒子線治療装置、角膜矯正用コンタクトレンズ、植込み型心臓ペースメーカ、冠動脈ステント、人工皮膚、コラーゲン使用吸収性局所止血材、コラーゲン使用人工血管、吸収性縫合糸が挙げられます。
新しく高度管理医療機器を製造販売するには、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)による審査を受け、厚生労働大臣の承認を得ることが必要です。
管理に必要となる知識及び技能による分類
医療機器の中には、保守点検、修理その他の管理において専門的な知識や技能が必要とされる分類があります。これを「特定保守管理医療機器」と呼び、薬機法第2条第8項に定義されています。特定保守管理医療機器は独立した分類ではなく、クラスⅠ〜Ⅳの製品の中に、該当するものが存在します。例えば、超音波画像診断装置やMR装置が代表的です。
設置管理医療機器
設置管理医療機器とは、薬機法施行規則第114条の55に基づいて、特定保守管理医療機器の中から厚生労働大臣が指定するものです。例えば、全身用X線CT診断装置や手術用照明器が挙げられます。設置にあたって組立てが必要な機器で、保健衛生上のリスクを防止するために組立てにも管理が必要です。
高度管理医療機器の製造・販売などのために必要な許認可
高度管理医療機器の製造・販売などには、PMDAによる審査や厚生労働大臣の承認など、さまざまな許認可が必要です。例えば、製造には医療機器製造業登録、販売には高度管理医療機器等販売業許可、製造販売には第一種医療機器製造販売業許可を取得しなければなりません。このように製品のクラス分類ごとに必要な許認可が定められており、製造・販売(など)を行う企業はそれぞれの許認可に必要な要件を満たした上で、登録や許可を得なければなりません。医療機器の開発から販売までには「製造業・製造販売業・販売業・貸与業・修理業・エンドユーザー」の主に6つの業者や消費者がかかわってサプライチェーンを構築しています。
医療機器の製造受託(OEM)におけるメリットと注意点
こちらでは、医療機器の製造受託(OEM)をするメリットと、注意点について解説します。医療機器製造受託とは、医療機器の商流のうち、製造から出荷までを受託するサービスのことです。
委託企業が開発・設計した製品のアイデアを基に、受託企業が製造・組立・包装など、製造から出荷までのプロセスを担当します。ランニングコストの削減やリソースの最適化など多くのメリットがありますが、その一方で委託先の選定には注意が必要です。
メリット
医療機器製造受託(OEM)のメリットは、主に以下です。
- 社内リソースの有効活用
- 製造を外部委託することで、社内リソースを研究開発、市場調査といった戦略的な業務に集中させることができます。新製品の開発や市場拡大に向けたリソースの最適化が図られるため、企業の競争力強化につながります。
- 生産技術に優れたパートナーに製造を任せられる
- 医療機器の製造には高度な生産技術が求められます。自社の技術力が不足している場合でも、OEMなら受託企業の技術力やノウハウを活かし、高い品質と信頼性が得られます。
- 製造のスケールアップ
- 受託企業が持つ製造工場を活用し、製造のスケールアップが可能です。大量生産や新製品を続々と展開する場合は、OEMが最適といえます。
注意点
OEMは委託企業にメリットの多い選択肢ですが、安易に委託を判断するのは危険です。ここからは、医療機器製造委託の注意点を解説します。
- パートナー選定
- OEMには、信頼できるパートナー選びが不可欠です。パートナー候補が技術力・品質管理体制・実績を有しているかを確認し、委託企業のパートナーとして適切であるかを見極めます。
- 技術力・品質管理体制
- 委託先企業の選定にあたっては、パートナー企業の技術力や品質管理体制が自社の製品にマッチしているか、評価する必要があります。もし技術力や品質管理体制が不十分な場合、製品の品質低下や納期の遅延、最悪の場合にはリコールのリスクが発生します。パートナーの技術力を確認するには、過去の実績や工場の設備状況、品質管理のプロセスを詳細に調査しなければなりません。
NISSHAにおける高度管理医療機器の製造受託(OEM)
NISSHAは、モビリティやITで培った高い技術力と品質管理力を活かし、医療機器製造受託において世界水準の加工技術を提供しています。当社はクラス10,000のクリーンルームを保有し、QMS省令とISO13485に基づく確かな品質管理体制を整えています。製造・組立・検査・包装・ラベル印字・滅菌(外部委託)・検品・出荷までをワンストップで対応します。
高い品質と安全性の確保
NISSHAは医療機器の製造拠点として国内外に10カ所以上を展開しており、ISO13485はすべての拠点で保有しています。QMS省令とISO13485に基づく確かな品質管理体制で、製造から出荷まで対応が可能です。
グローバルな製造体制
NISSHAは日本国内のみならず、海外の製造拠点を活用して、グローバルな市場にも対応可能な体制を整えています。各国の輸出入の規制や医療機器に対する要求事項を意識した製造体制を確立しているため、海外市場への展開を見据えた製造・出荷にも対応可能です。
6つのコア技術を活かした世界水準の加工技術
NISSHAは、長年の製造実績で培った印刷・コーティング・ラミネーション・成形・パターンニング・金属加工といった技術を強みとしており、これら6つのコア技術を駆使して幅広い医療機器の製造を請け負っています。複雑な形状や高精度が求められる医療機器の製造においても高い品質を実現可能です。
高度管理医療機器の製造受託(OEM)ならNISSHAにお任せください
NISSHAでは、第一種医療機器製造販売業および医療機器製造業を取得しています。高度管理医療機器の製造委託先をお探しなら、ぜひ一度NISSHAにご相談ください。