医療機器用の親水性コーティングは、水との親和性を高めるよう設計されたコーティング材により、医療機器の潤滑性を高める技術です。カテーテルやガイドワイヤ、ステント、内視鏡などの摩擦を低減し、挿入や抜去を容易にすることで、患者さまの負担を軽減する役割を担っています。
この記事では、親水性コーティングの概要や用途、タイプについて解説します。
医療機器に関する親水性コーティングとは
医療機器用の親水性コーティングとは、医療機器表面の水との親和性を高め、摩擦を最小限に抑えることで医療機器の性能を高める技術です。カテーテルやガイドワイヤ、ステントなどの低侵襲の外科的処置に用いられるデバイスに多く採用され、繊細な血管内での移動をよりスムーズにします。
これにより、手技の精度向上や周囲組織への負担軽減、患者さまの不快感低減に寄与できる点が、医療機器用の親水性コーティングの特徴です。また、滑らかな表面を形成することで、免疫反応や感染のリスクを低減し、デバイスの生体適合性を高めています。近年はウェアラブル医療機器への応用も進み、持続グルコースモニタやバイオセンサーなどのウェアラブルデバイスにおいて、長時間の接触による皮膚への刺激を軽減するのにも役立っています。
医療機器に関する親水性コーティングの用途・タイプ
医療機器用の親水性コーティングは、心血管・整形外科用インプラント、外科用器具、泌尿器科・消化器科用デバイスなど、幅広い分野で活用されています。摩擦の低減、機器の操作性や耐久性の向上などにより、患者さまの快適性を高め、医療機器の性能とケアの質を支える重要な技術です。
親水性コーティングのタイプ
親水性コーティングには、熱硬化性とUV硬化性の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴や課題について解説します。
- 熱硬化性親水性コーティング
- 加熱することで反応を進行させ、コーティング膜を形成します。ただし、エネルギー消費が大きい点や、コーティング対象物に熱ダメージを与えるリスクが課題です。
- UV硬化性親水性コーティング
- UVにより短時間で硬化させることができ、加熱の必要がないためコーティング対象物への熱ダメージがありません。ただし、UV光源に依存し、光源のコストが課題です。
親水性コーティングの需要増加
世界的に低侵襲医療へのシフトが進み、介入手術の件数も増加していることから、カテーテルやガイドワイヤをはじめとする血管内デバイスにおける親水性コーティングの需要は高まっています。アメリカの企業の中には、親水性コーティングサービスを拡充し、OEMによる次世代コーティング医療機器の発売を支援する企業もあります。これは表面コーティングの革新によって機器性能を高めるという、広範なトレンドの一例です。
親水性コーティングは摩擦の低減、生体適合性の向上、挿入の容易さといった利点を提供し、臨床現場で不可欠な存在となっています。また、高齢化や心血管疾患・尿路疾患などの慢性疾患の増加により、診断や治療でのコーティング医療機器の使用が増加しており、市場規模を押し上げています。
さらに、材料や技術の革新により、耐久性や寿命、特性を最適化したコーティングが可能となっているため、より複雑で高性能なデバイスにも適用範囲が拡大しています。医療機器メーカーにとっては、高品質な親水性コーティングは企業競争において差別化を図る要因となっています。
医療機器の製造受託ならNISSHAにお任せください
NISSHAでは、シングルユース医療機器を中心に、生体適合性材料を用いた吸収性・非吸収性医療機器、カテーテルやチューブ、内視鏡用処置具、手術機器など、幅広い製造受託に対応しております。クリーンな製造環境による高度管理医療機器への対応に加え、FDA対応を含むグローバル規制への準拠も可能です。研究開発へのリソース集中、安定供給を支えるサプライチェーン構築、ライン移管や新規製品の製造委託など、お気軽にご相談ください。詳細につきましてはNISSHAの医療機器製造受託ページをご覧ください。