医療機器を製造したり販売するなど、医療機器を扱うことは誰にでもできるわけではありません。
薬機法により医療機器を扱うための許認可制度が設けられており、その許認可を取得することが必要です。
また、許認可は製造や販売、貸与、修理など、業務範囲によっていくつかの種類が存在します。
本コラムでは、これらの許認可について説明します。
医療機器製品の流れ
医療機器は下図のような流れで医療機関等の施設や患者さまの手に渡ります。
それぞれの担う役割によって、必要な許認可が異なります。
- 製造業
- 製造販売業者の管理監督の下、適切な製造管理および品質管理の上で製品を製造する。
製造業は製造に特化した業態であり、製造業の登録のみでは、製品を市場に出荷することはできない。 - 製造販売業
- 自社または他社で製造された、あるいは海外から輸入した医療機器を国内市場に出荷する。エンドユーザーへの直接的な販売はできない。
製造業者や販売業者とは別の主体であり、製品に対して最終的な責任を負う立場。
製造業者において、適正な製造管理および品質管理の下で製品が製造されているか、管理監督する義務がある。
製品の副作用情報、苦情情報等を国内外から積極的に収集し、市販後の製品について安全管理を行う。
万が一製品に何らかの問題があると判断された場合は、必要に応じて製品の回収なども行う。
医療機器製造販売業のみでは医療機器の製造はできない。 - 販売・貸与業
- 医療機器製造販売業者より供給された医療機器を、医療機関等のユーザーに提供する。
医療従事者が適切な医療機器を選択し患者さまの治療や診断を適正に行うための機器の提案、手技中の立会い、
術後の引き上げなど総合的な適正使用支援も行うこともある。 - 修理業
- 医療機器の故障、破損、劣化等の箇所を本来の状態・機能に復帰させる。
故障等の有無にかかわらず、解体の上点検し、必要に応じて劣化部品の交換等を行うオーバーホールを含む。
(平成17年3月31日付け薬食機発第0331004号抜粋)
許認可の種類
上記でご説明した役割ごとに、それぞれ許認可が必要となります。
製造販売業や販売・貸与業、修理業では、扱う医療機器によってさらに複数の種類が存在します。
- 医療機器製造業
- 医療機器を製造するためには医療機器製造業登録が必要です。
ただし、医療機器を製造するすべての工程に製造業登録が必要なわけではなく、登録が必要な工程(設計・主たる組立て・滅菌・最終保管)が定められています。 製造業者は製造販売業者の管理監督の下、適切な製造管理および品質管理を行い製品を製造します。
製造業は製造に特化した許認可であり、製造業の登録のみでは製品を市場に出荷することはできません。
なお、製造の対象となる医療機器にクラスの制限はありませんが、登録した製造工程以外で登録が必要とされている工程を担うことはできません。 - 医療機器製造販売業
- 製造販売業は平成17年度から新たに設置された許可で、製造業や販売業とは別のものです。
医療機器を国内市場に出荷するためには、医療機器製造販売業許可を取得しなければなりません。
第一種~第三種の業許可の区分があり、それぞれ取り扱いできる医療機器のクラス範囲が異なります。(下表参照)
上位の区分の許可を取得すれば、下位のクラスの医療機器も取り扱い可能になるため、第一種製造販売業を取得すれば全クラスの医療機器を取り扱えることになります。 許認可の種類 区分 取り扱える医療機器 医療機器製造販売業 第一種 高度管理医療機器(クラスⅢ、Ⅳ)、管理医療機器(クラスⅡ)、一般医療機器(クラスⅠ) 第二種 管理医療機器(クラスⅡ)、一般医療機器(クラスⅠ) 第三種 一般医療機器(クラスⅠ)
- 医療機器販売業
- 医療機器を販売・貸与するには、取り扱う医療機器の分類により、許可や届出が必要になります。
ただし、一般医療機器に関しては許可・届出は不要です(一般医療機器でも、特定保守管理医療機器を扱う場合は必要です)。
高度管理医療機器および特定保守管理医療機器を販売・貸与する場合には、高度管理医療機器等販売業・貸与業許可が必要で、営業所ごとに管理者を設置しなければなりません。 許認可の種類 取り扱える医療機器 届出 許可 管理者 例 管理医療機器販売業・貸与業 管理医療機器 クラスⅡ
(特定保守管理医療機器※2・特定管理医療機器※1以外)〇 - - 家庭用電気マッサージ器、家庭用創傷パッド等 クラスⅡ
(特定管理医療機器※1)〇 - 〇 脳波計、眼電位計、歯科用吸引装置等 高度医療機器等販売業・貸与業 高度管理医療機器 クラスⅢ・Ⅳ
(特定保守管理医療機器※2含む)- 〇 〇 人工腎臓装置、汎用輸液ポンプ等 特定保守管理医療機器※2 クラスⅠ・Ⅱ 汎用心電計、パルスオキシメータ等 - 専ら家庭において使用される管理医療機器であって厚生労働大臣の指定するもの以外の管理医療機器((薬機法第175条第1項)(特定保守管理医療機器を除く))
- 保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とすることからその適正な管理が行わなければ疾病の診断、治療又は予防に重大な影響を与えるおそれがあるものとして、厚生労働大臣が指定するもの。(薬機法第2条第8項)
- 医療機器修理業
- 医療機器を修理する場合には、修理を行う事業所ごとに医療機器修理業の許可が必要です。
修理を外注業者に委託する場合でも、委託元の業者は修理業許可が必要となります。
医療機器の種類により9つの区分に大別され、該当する区分の修理業許可を取得しなければなりません。 医療機器の種類 特定保守管理医療機器 特定保守管理医療機器以外の医療機器 画像診断システム関連 特管第一区分 非特管第一区分 生体現象計測・監視システム関連 特管第二区分 非特管第二区分 治療用・施設用機器関連 特管第三区分 非特管第三区分 人工臓器関連 特管第四区分 非特管第四区分 光学機器関連 特管第五区分 非特管第五区分 理学療法用機器関連 特管第六区分 非特管第六区分 歯科用機器関連 特管第七区分 非特管第七区分 検体検査用機器関連 特管第八区分 非特管第八区分 鋼製器具・家庭用医療機器関連 特管第九区分 非特管第九区分
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