医療機器を海外展開する方法と留意点

医療機器産業は高齢化や新興国・発展途上国の成長により市場の拡大が期待されています。その中で、医療機器ビジネスの海外への展開を検討するに当たっては、世界市場の把握や事前準備など、注意すべきポイントがあります。 本コラムでは、医療機器メーカーが海外展開する際に知っておきたい留意点を、市場の現状とあわせて紹介します。

世界の医療機器市場の現状

ここではまず医療機器市場を取り巻く現状を解説します。

医療機器産業は市場規模の拡大が顕著に見られます。2023年度の世界市場は約5,176億ドルで、2027年までには約6,543億ドルまで成長するとの予測もあります。なお、世界市場を国別に見ていくと日本が約5%であるのに対し、1位のアメリカが約47%と全体の約半数を占めています。今後も先進国の高齢化、そして新興国や発展途上国の人口増加や経済発展により、市場自体の拡大は期待できます。

日本の立ち位置

前述の通り、医療機器の世界市場に占める日本の割合は高くはありません。しかし、日本は世界的に医療水準が高いこと、高齢化など社会課題の先進国であることから、医療機器の新しい製品開発のヒントを得ることや、実証する場として適しているともいわれています。コストの高騰や保険制度との相性など課題はありますが、今後も成長するポテンシャルがあると海外から評価を受けています。

医療機器の海外展開とそれぞれのステップにおける留意点

日本が医療機器市場において世界シェアを広げるには、積極的に海外展開する必要があります。ここでは医療機器メーカーが海外展開を行う際に知っておきたい留意点を紹介します。

  1. 市場調査

    海外展開を行う際はまず、市場調査を行う必要があります。新興国では医療機器の需要が高まっているためチャンスともいえますが、市場調査を入念に行ってからアプローチを行わなければ望む結果は得られません。
    現地においてどのメーカーのシェアが高いのか、どのようなニーズがあるのか、価格帯はどれくらいかなど、これから参入する市場の調査を行ってから具体的な計画に落とし込みます。

  2. 法規制の確認

    海外展開する際は現地の法規制を確認します。例えば、国内では医薬品医療機器等法を遵守して事業を展開する必要があります。
    一方、アメリカではFDA(アメリカ食品医薬品局)の審査(一部の低リスク製品は審査免除の制度あり)を経て初めて医療機器や医薬品が販売できるようになります。このように、各国の法規制を理解した上で、対象国の法規制に合わせた対応が必要です。

  3. 現地パートナー選定

    海外展開には現地パートナーの選定も不可欠です。社員を駐在させる形で支社を設立するパターン、もしくは現地企業とパートナー連携を組み事業を展開するパターンが挙げられます。
    現地パートナーを選定すると、現地のリソースを活用しながら事業展開できるため、新規顧客開拓がしやすいメリットがあります。また、コミュニケーションにおける問題を解決できる点もメリットです。
    さらに、現地パートナーと連携しながら商品開発を行えば、現地に合わせた自社製品のブラッシュアップができます。

  4. 製造と品質管理

    海外で医療機器を製造するには、品質マネジメントシステムを対象とする国際規格への対応を求められる場合があります。例えば、医療機器に関してはISO13485という国際規格があります。どれだけ革新的かつ医療分野への貢献が期待できる機器だとしても、品質管理がなされていなければ販売につながりません。法規制とあわせて国際規格への対応の必要性を確認します。

医療機器の海外展開におけるメリット

ここからは医療機器メーカーが海外展開する3つのメリットを紹介します。海外展開により、日本国内だけでなく、世界市場での利益確保やグローバルブランドとして顧客獲得が目指せます。また、フィールドを世界に変え、自社の新たな価値を創出できる可能性も高まります。

市場の拡大

医療機器メーカーが海外展開するとより広い市場でビジネスが行えます。医療機器は日本でも成長が見込めますが、海外においては高齢化だけでなく、新興国の発展により更に高い成長が見込まれています。
自社が関わる市場を拡大すると、自社の利益の最大化や新しい商品ラインアップの展開といった可能性が広がります。

ブランド力の強化

海外展開すると日本国内でのブランド力の強化が期待できます。新興国の比較的マーケットの小さい地域であれば、高いシェア獲得が目ざせます。特定地域でのシェアを高めることで、自社の新たなブランディングへの道が開け、国内でのイメージも変化していきます。

イノベーションの創出

海外展開で現地パートナーと連携すると、国内では当たり前だった技術や着眼点がその地域では新しく、自社の新たな価値に気付くことがあります。また、これまでと異なる地域での活動で、新しい着眼点を持ち、自社の強みをこれまでとは違ったかたちで活かせるかもしれません。

NISSHAにおける医療機器の海外展開

ここからは、NISSHAにおける、医療機器の海外展開サポートについて解説します。

世界10カ所以上の製造拠点を生かした生産力

NISSHAは医療機器の製造拠点すべてで「ISO13485:2016」を有しており、グローバルなサプライチェーンを提案可能です。特に、米国市場に対しては、ドミニカ共和国に工場(合計敷地⾯積23,000m²と400名以上の人員体制を用意)を保有し、品質とコストの両面で競争力の高い製造が可能です。

確かな安全性と品質の高さ

NISSHAは本社を京都に置きながら、国内外の14拠点でISO13485:2016を取得しているため、世界で通用する医療機器の製造が可能です。欧州をはじめ、ISO13485認証を必須とする国が増えており、今後高まるであろう品質に対するニーズに応えられる体制がすでに整っています。
また、印刷・コーティング・ラミネーション・成形・パターニング・金属加工の「6つのコア技術」を活かし、世界水準の加工技術をお客さまに提供します。

医療機器の米国展開に必要なFDA対応

NISSHAでは、国内で製造された医療機器を米国市場に輸出する場合に必要なFDA対応も可能です。もっとも市場規模が大きい米国市場においても、製造から出荷まで幅広い工程をワンストップでサポートします。
また、メディカルテクノロジー事業の中核であるNissha Medical Technologiesグループは、アメリカに本社を置き、FDAのガイドラインに沿って開発・製造を行っています。守るべきポイントを守りながら、お客さまの海外向け医療機器の開発・製造を支援します。

医療機器の海外展開ならNISSHAにお任せください

NISSHAは、海外展開を考える企業の開発、製造パートナーとして製造から出荷まで一貫してサポートします。これまで医療機器だけでなく、モビリティやITなど、さまざまな領域において技術力を培った経験から、世界で通用する医療機器製造の支援を行うことができます。医療機器の製造受託を検討される場合は、ぜひ一度ご相談ください。

参考:経済産業省「医療機器産業ビジョン 2024」

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