医療機器の品質管理に関わるQMS省令とは?
関連省令も合わせて解説

医療機器や体外診断用医薬品の分野では厳格な品質管理業務が求められており、その基準となるのが「QMS省令」です。 薬機法やISO13485の改正に伴い、QMS省令の内容も変化しています。医療機器や体外診断用医薬品の製造販売業者は、このQMS省令を満たして製品ごとに承認や認証を受けなければ販売できません。 この記事では、QMS省令の概要から「ISO13485」との違い、さらに関連する省令や適合性調査の基本知識まで詳しく紹介します。

QMS省令とは?

QMS省令とは、医療機器や体外診断用医薬品の製造管理および品質管理の方法を定めた基準のことです。平成16年厚生労働省令第169号を指しており、「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理に関する省令」が正式名称となっています。QMS省令の「QMS」は「Quality Management System(品質管理システム)」の頭文字をとった略称です。
QMS省令は医療機器や体外診断用医薬品の製造販売に深く関与する省令で、承認や認証、届出が必要な当該製品の製造販売時は要件を必ず満たさなければなりません。
また、QMS省令の内容は薬機法やISO13485の改正に伴って変化しています。かつては医療機器等製造業者のみが適用対象とされていたQMS省令ですが、現在では製造販売業者にまでその範囲が拡大されています。これにより、製品の品質や安全性を確保する責任が、医療機器または体外診断用医薬品の製造販売業者にも求められるようになりました。

出典:e-Gov 法令検索「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」

出典:京都府ホームページ「QMS省令・QMS体制省令について」

ISO13485との違い

ISO13485とは、医療機器に特化した品質マネジメントシステムであり、製品の設計・開発から製造、流通、保守にいたるまでの全工程における品質保証の枠組みを示しています。ISO13485は、世界各国の医療機器規制における品質管理の基準として、広く活用されています。QMS省令では薬機法をはじめとした法制度に対応する内容が盛り込まれている点が特徴です。
つまり、ISO13485は国際的な基準であるのに対し、QMS省令は日本国内での基準となります。国内における当該製造業者・製造販売業者は、ISO13485の対応とともに、QMS省令の適合も求められます。

出典:一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)「ISO 13485(医療機器・体外診断用医薬品)」

出典:一般社団法人 日本能率協会審査登録センター(JMAQA)「ISO13485(医療機器-品質マネジメントシステム:MD-QMS)とは?取得のメリットも紹介」

QMS省令が適用される範囲

QMS省令の適用範囲は「すべての医療機器・体外診断用医薬品」です。これら製品を製造・販売する事業者(医療機器等製造業者・製造販売業者)には、品目ごとにQMS省令に適合した製造管理および品質管理が求められます。
ただし、すべての製品が一律に同じ要件を求められるわけではありません。限定一般医療機器や、承認や認証を要しない体外診断用医薬品については、QMS省令における「設計開発」に関する規定が適用除外となります。
また、限定一般医療機器を取り扱う製造販売業者については、「設計開発」だけでなくその他一部の条項が除外されるケースもあります。このように、製品のリスク区分に応じて求められる管理体制に違いがある点に注意が必要です。

出典:e-Gov 法令検索「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」

QMS省令に関連する省令

医療機器の製造販売に関する重要な省令としては、QMS省令のほかにも「QMS体制省令」と「GVP省令」の2つがあります。これらはQMS省令に関連する省令でもあり、製造販売業許可を取得する際に遵守するべき重要な基準とされています。
ここからは、それぞれの省令について詳しく紹介します。

QMS体制省令

QMS体制省令とは、QMS省令の基準を遵守するための体制整備に関する省令です。第一種・第二種・第三種すべての医療機器製造販売業許可の取得要件となっています。
医療機器製造販売業者が品質マネジメントシステムを適切に運用できるよう、「組織の管理体制」や「人員配置」に関する要件が定められています。

  1. 要件(1)組織の管理体制の整備
    製造販売業者は、QMS省令を遵守するための体制を構築・維持しなければなりません。具体的には、品質管理監督システムの文書化(品質管理監督システム基準書の作成)や当該品質管理監督文書・品質管理監督記録の適切な管理などが求められます。
  2. 要件(2)適切な人員の配置
    製造販売業者には「管理監督者」「管理責任者」「医療機器等総括製造販売責任者」「国内品質業務運営責任者」など所定の資格や経験を有する責任者の配置が義務づけられています。

出典:e-GOV法令検索「医療機器又は体外診断用医薬品の製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制の基準に関する省令」

出典:東京都健康安全研究センター「医療機器等の体制省令のページ」

GVP省令

GVP省令とは、医療機器や体外診断用医薬品などの製造販売後における安全管理(Good Vigilance Practice:GVP)に関する省令です。正式名称は「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号)」です。
GVP省令は、製造販売業者が販売した当該医療機器の安全性に関わる情報を継続的に収集し、必要に応じて適切な措置を講じる責任を果たすための基準を定めています。具体的には、製品の販売後に発生する不具合や副作用を収集・評価・報告する体制の整備と、これらを担当する人員の配置についての規定が設けられています。
また、GVP省令もQMS体制省令と同様に、第一種から第三種までのすべての医療機器製造販売業許可の取得要件となっています。ただし、GVP省令においては製造販売業の許可区分ごとに基本的要求事項が明確に分かれている点が特徴です。
たとえば、第一種製造販売業者は「安全管理統括部門の設置」や「安全管理責任者の配置」が義務づけられており、特に厳格な体制整備が求められます。しかし、第二種・第三種製造販売業者は安全管理統括部門の設置は必要ないなど、第一種に求められる要件の一部が緩和されています。

出典:東京都健康安全研究センター「医療機器等のGVPのページ」

QMS適合性調査とは?

医療機器の製造業者・製造販売業者がQMS省令を遵守して製品を生産しているかどうかは、QMS適合性調査を通して確認されます。
QMS適合性調査とは、「医療機器および体外診断用医薬品の製造販売業者や製造業者がQMS省令に適合しているか」を判断するための重要な調査です。医薬品医療機器総合機構(PMDA)や第三者認証機関などによって実施されます。
QMS適合性調査の結果は「適合」または「不適合」として判断されます。「適合」と判断された場合、基準適合証が交付されます。これにより、製品の日本国内での販売・流通が可能となります。一方で「不適合」と判断された場合、速やかに改善活動を開始する必要があります。
ここからは、QMS適合性調査の流れ・手順を紹介します。

QMS適合性調査の流れ

QMS適合性調査は、主に「調査申請」「実地・書面調査」「指摘事項発出」「改善報告/計画書提出」「基準適合証発行」の5つのステップで実施されます。

  1. 【STEP1】調査申請
    QMS適合性調査を受けるためには、まず調査申請を行う必要があります。申請にあたっては、QMS適合性調査申請書のほか、QMSに関する文書や製造工程に関する概要などが必要です。
  2. 【STEP2】実地・書面調査
    QMS適合性調査申請が受理された後、実地調査または書面調査のいずれかの調査方法が決定されます。書面調査と判断された場合はQMSに関する詳細な文書の追加提出が求められ、実地調査と判断された場合は調査担当者による現場での調査が行われます。
  3. 【STEP3】指摘事項発出
    QMS適合性調査において何らかの不備があった場合は、PMDAや認証機関などにより指摘事項が発出されます。
  4. 【STEP4】改善報告/計画書提出
    指摘点に対する改善計画を立てた上で必要な是正を行い、改善報告書や改善計画書をPMDAや認証機関などに提出します。
  5. 【STEP5】基準適合証発行
    すべてのQMS適合性調査が終了し合格すると、最終的に「基準適合証」が発行されます。基準適合証は、製造販売業者がQMS省令に適合していることの証明書です。なお、製品ごとに承認や認証を受けた後は、5年ごとに定期適合性調査を受けなければなりません。

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NISSHAでは、医療機器の製造において高品質な製品を提供するために、徹底した品質管理を実施しています。QMS省令に従った管理体制を整え、製造から出荷まで一貫してサポートを行っています。医療機器の製造委託をご検討される場合は、ぜひ一度ご相談ください。

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