3D回路形成技術  MIDとは

LDSやIMEなどの代表的な工法を総説

樹脂成形部品の表面に回路を形成する技術MIDをご存知でしょうか?

MID(Molded Interconnect Device)とは、三次元形状の樹脂成形品の表面に電極や回路などが形成されたもののことです。プリント基板(PCB)やフレキシブル基板(FPC)の部品点数を削減して製品を軽量薄型化したり、電化製品の形状の自由度を高めて新しい設計を実現する技術として注目されています。

この記事ではLDSなどの代表的なMIDの工法と用途、さらにNISSHAの新しいMID技術「NISSHA IME」を紹介します。

MIDで何が実現できるか

MIDは成形回路部品とも呼ばれます。これまでプリント基板(PCB)やフレキシブル基板(FPC)を使って組み込んでいた配線や電子部品を製品筐体などの樹脂成形品の表面に形成することによって、製品内部の部品スペースを削減したり、基板を収めるための形状の制約を軽減することができる技術です。

MIDは1980年代に開発が始まり、1990年代に入って実用化されました。MIDの開発により、これまで平面でしか実現できなかった回路形成や部品実装が三次元形状でも可能となりました。

その結果、これまでフラットな形のものが多かった電化製品を立体的で複雑な形状に設計したり、逆により薄く軽く、小型にするなど、多様なデザインを実現することが可能になりました。

代表的なMIDの工法

MIDの工法には、めっきにより配線を形成する方法が一般的ですが、近年、フィルム状の回路をインサート成形により一体化するインモールドエレクトロニクス(IME)が注目されています。

従来のめっきによる工法と、IME技術を使った3つのMID工法を紹介します。

めっきによる配線形成 二回成形法 非めっき部を樹脂でマスキング
一回成形法(LDS) めっき部をレーザーで活性化
フィルム状回路のインサート成形 インモールドエレクトロニク(IME) あらかじめフィルム上に形成した回路を成形同時インサート

それぞれの工法について、詳しく紹介していきます。

二回成形法(めっきによる配線形成)

二重成形により配線部以外をマスキングする方法です。工程は次のとおりです。

① 製品成形:樹脂を製品形状に成形。
② めっき触媒の塗布:めっきしやすいように表面を粗化し触媒を塗布。
③ マスキング成形:電極回路パターンが不要な部分にマスキング層を成形。
④ めっきパターン形成:無電解めっきでパターンを形成。

形状が深い(立体的な)成形品でも触媒を塗布できるので、形状設計の自由度が高い工法です。

一方で、成形によりマスキングすることから細線や複雑な回路を形成するのには不向きで、2回成形するという点で工程の負荷もかかる点が課題です。

一回成形法(めっきによる配線形成)

成形品表面の配線加工部をレーザー照射して触媒を励起する工法です。LDS(laser direct structuring)とも呼ばれます。

① 成形:金属触媒が含有された特殊な樹脂を製品形状に成形。
② レーザー加工:配線加工したい部分をレーザー照射することにより触媒を活性化。
③ めっきパターン形成:無電解めっきによりパターンを形成します。

成形は1回だけなので工程負荷が少なく、レーザーでパターニングするので二回成形法よりも細かいパターンを描画できます。しかし、使用できる樹脂が触媒を含有した特殊な樹脂に限定されることと、レーザー描画の死角ができるような複雑な形状では加工できない点は注意が必要です。

インモールドエレクトロニクス(フィルム状回路のインサート成形)

二回成形法や一回成形法のようなめっきを使う工法に対して、インモールドエレクトロニクスは、
あらかじめ配線を形成したフィルム基材やフレキシブル基板(FPC)を樹脂パーツに一体成型する技術です

①  回路形成:電極回路やセンサーパターンを印刷したフィルム(フィルムデバイス)や、
    ポリイミドに銅箔を貼り合わせた銅張積層板をケミカルエッチングして回路形成したフレキシブル基板(FPC)を準備。
② インサート成形:準備したフィルムデバイスを金型に設置してインサート成形。

インモールドエレクトロニクスでは、両面に回路をパターニングしたフィルムデバイスや、電子部品を実装したFPCなどを使用することができるので、めっきを使う工法よりも精密な電子部品を一体成形することができます。

ただし、製品のデザインによっては、インサートするフィルム回路を金型の形状にあらかじめプレフォーム(延伸成形)する必要があります

そのため、成形品の形状はフィルム回路を延伸できる形状に制限されることがあります。

またフィルム回路と同時に、ロゴや絵柄を印刷した加飾フィルムをインサートすることも可能なので、デザイン性の高い成形品に仕上げることができることもインモールドエレクトロニクスの特長です。

NISSHAはIMEの受託加工に対応しています。くわしくはIMEの紹介ページをご覧ください。

3工法の比較

一体化できる電子部品

一体化できる電子部品のバリエーションが多いのはインモールドエレクロトニクスです。

配線だけでなく、センサーなどの電子部品を実装したFPCなども一体成形できます。めっきによる方法では、配線パターンの形成にとどまります

成形品の形状、配線パターン

二回成形法は高さのある深い形状に対応できますが、複雑な形状や細線の形成には適しません。一回成形法は二回成形法よりも細い配線の形成が可能ですが、レーザー照射によりパターニングするため、形状の深いものや、大型の成形品は加工できません。インモールドエレクトロニクスは大型の成形品にも対応できますが、フィルムのプレフォームが必要になるなどの形状制約はあります。

成形樹脂

二回成形法、一回成形法ではめっき触媒の加工ができる特殊な成形樹脂に限られます。インモールドエレクトロニクスでは、一般的な成形樹脂が使用可能で、透明樹脂も使用できます。

MIDの用途

MIDは樹脂パーツの上にアンテナを形成する目的で多く使用されています。

たとえばイヤホンを代表するウェアラブルデバイスのような小さな製品では筐体の中のスペースはわずかしかありません。

筐体の壁面にアンテナを形成できれば、そのわずかなスペースに新しい機能部品を組み込んだり、筐体をより小さくすることもできます。

アンテナの他にもスイッチやコネクター、センサーなどの実装でも、MIDの技術は使われます。

このようにMIDは部品の実装スペースを削減することで、製品を「小型、軽量、薄膜」化したり、新しい機能部品を追加するスペースを確保するというニーズに応えています。

また、インモールドエレクトロニクスでは回路形成するフィルムに透明フィルムと透明電極(ITOやPEDOTなど)を使用することができるので、ディスプレイや電化製品の操作パネルのような透明窓部のあるパーツへのインサート成形が可能で、透明窓部にはタッチパネルを、操作パネル部にはスイッチをインサート成形することで、プリント基板(PCB)やフレキシブル基板(FPC)の部品点数やアセンブリの手間が削減できます。

加飾成形技術から発展したNISSHAのIME

NISSHAは加飾同時成型技術IMD/IMLで培った経験を活かし、インモールドエレクトロニクス技術IMEを開発しました。

IMEは、透明樹脂の使用や、小型から大型までさまざまなサイズでの成形に対応できることなど、幅広い用途に活用できる技術です。
また、IMD/IMLとの組み合わせにより、デザイン性の豊富な意匠フィルムも同時に成形することができます。

ディスプレイや操作パネルにスイッチやセンサーを組み込む。イヤホンのような小さな成形品にアンテナやスイッチを一体化する。自動車のエンブレムの内側にヒーターを設けるなど、多種多様なエレクトロニクス部品への適応が可能です。

NISSHA IMEのメリット

  •  FPCをインサートすることで、微細配線にも対応
  • 成形樹脂の制限が少なく、透明樹脂も使用できる
  •  特殊な樹脂を使用しないので材料コストが抑えられる
  •  小型から大型まで、多様な製品サイズに対応
  •  表面意匠も同時に成形でき、多種多様なデザインが実現できる

※IMEは、NISSHA株式会社の登録商標です。

詳細はNISSHA IMEの製品ページで紹介しています。

こちらを是非ご覧ください。

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