静電容量方式タッチパネルとは

ディスプレイの画面に直接触れてデバイスを操作するタッチパネルは、マウスやキーボードのような入力装置を使わないで直感的な操作ができるため、ATMや券売機をはじめ、ゲーム機、スマートフォンなど活用される分野が広がっています。タッチパネルにはさまざまな方式のものが有りますが、そのなかでも現在もっとも広く使われているのが静電容量方式タッチパネルです。この記事では静電容量方式タッチパネルのしくみと、NISSHAが提供する静電容量方式タッチパネルの特長を紹介します。

1.静電容量方式タッチパネルのしくみ

静電容量方式タッチパネルは、指とタッチパネルの間に発生する微弱な静電容量の変化からタッチ位置を検出する方式です。
人間の身体は導体として働くため、微弱な電流が流れます。人の指先がタッチパネルの表面に近づくと、指先とセンサー電極の間がコンデンサのように働き、静電容量が発生します。この静電容量の変化を検知するのが静電容量方式です。

2000年頃までの電子手帳やゲーム機などモバイル機器では、おもに抵抗膜方式のタッチパネルが使われていました。抵抗膜方式タッチパネルは2枚の透明電極膜をわずかな隙間を空けて対面させた構造のタッチパネルで、感圧式とも呼ばれます。タッチパネルの表面をペンや指でタッチするとフィルムが押し込まれることで上部電極と下部電極が接触して導通します。その際の電圧の変化からタッチされた位置を検知します。

抵抗膜方式タッチパネルは構造がシンプルで比較的安価に製造できることが利点ですが、「傷がつきやすい」「複数の指での接触を検知できない」などの課題が有りました。1990年代、タッチパネルを組み込んだ携帯電話の開発が始まりますが、先に述べたような課題から抵抗膜方式タッチパネルの採用は進みませんでした。解決策として採用されたのが静電容量方式タッチパネルです。
静電容量方式タッチパネルは指やペンでのスクラッチに強く、多点同時の接触を検知できる特徴を持っています。抵抗膜方式と比較して透明性も高いのでカラーディスプレイの上に組み込んでも画像が鮮明に表示されることもあり、モバイル機器開発のニーズに合致したのです。
そしてスマートフォンに採用されたことで、静電容量方式タッチパネルは2009年ころから急速に普及しました。

2.静電容量方式タッチパネルの種類

静電容量方式のタッチパネルには、投影型と表面型の2つのタイプが有ります。それぞれの特長を説明します。

表面型静電容量方式

表面型静電容量方式はガラス基板の四隅に電極を設けた構造をしています。ガラス基板表面に微弱な電界を発生させ、タッチによる静電容量の変化を4つの電極で捉えることで位置が検出されます。大画面のタッチパネルに適していて、水滴による誤作動が少ないことが特長ですが、表面型では2点以上の接触を同時に感知することはできません。

投影型静電容量方式

投影型静電容量方式は、X軸方向電極層とY軸方向電極層の2つの電極層をマトリクス状に形成した構造をしています。X軸電極とY軸電極のそれぞれで静電容量の変化を捉えることでタッチした位置を検出します。投影型静電容量方式では多点検出が可能なので複数の指で同時に操作するマルチタッチに対応できます。表面型と比較すると信号処理が複雑になるため、ノイズの影響を受けやすいという課題は有りますが、最近ではコントローラーICの開発が進み、ノイズによる誤作動の課題は解消されつつあります。

3.NISSHAの静電容量方式タッチパネルの特長

NISSHAでは主に投影型静電容量方式のタッチパネルを開発・製造しています。ここからは、NISSHAのタッチパネルの特長を紹介します。

薄くて割れないフィルムタイプのタッチパネル

NISSHAでは、プラスチックフィルムを基材としたタッチパネルを製造しています。ガラス基板と違って割れることのないフィルムタイプのタッチパネルはモバイル機器への組み込みに適しています。

NISSHAの静電容量方式タッチパネルは、独自開発したフォトリソエッチング工法により、1枚のフィルムの両面に電極パターンを形成します。従来は2枚のフィルムを貼合して構成していたタッチパネルを1枚のフィルムにまとめることで、薄型・軽量化や高い透過率を実現しました。

また、印刷工法よりも微細なパターンを形成できるフォトリソエッチングの特長を生かし、配線幅を10μm以下にすることで、タッチパネル外周の配線スペース(額縁)部分の狭額ベゼル化も実現しました。

NISSHAはタッチパネルが流通しはじめて間もない1983年に抵抗膜方式タッチパネルの生産を開始。電子手帳やゲーム機などで実績を重ね、2007年からは静電容量方式タッチパネルの生産も始めました。

静電容量方式タッチパネルの生産開始当初は印刷工法を使ってX軸電極層とY軸電極層をそれぞれ別のフィルム上に形成し、それら2枚の電極フィルムを貼合する構成を採用していました。しかし、「タッチパネルの組み込みスペースをもっと薄くしたい」「額縁配線部をもっと狭くして、ディスプレイの表示部を大きくしたい」「光の透過性や虹見えといった光学特性の問題を改善したい」というお客さまの要望に応えるには印刷工法では限界が有りました。そこでNISSHAでは、フォトリソエッチングを使ってフィルム両面のITO膜や銅薄膜をパターニングする技術を開発し、お客さまの声にひとつずつ応えていきました。

また、フォトリソエッチングによる両面パターニング工法は、2枚のフィルムを貼り合わせるよりも公差が少なく精度の高いモノづくりが可能です。その結果、接触を検知するコントローラーICがそのパフォーマンスを発揮しやすくなります。コントローラーICの能力を十分に活かすことで、従来の静電容量方式タッチパネルが苦手としていた手袋越しでのタッチの検出や水滴で濡れた状態でのタッチ操作、さらには非接触入力といった新しい機能を持った静電容量方式タッチパネルを実現しました。

これらの機能性にすぐれたタッチパネルについては高機能化が進む静電容量方式タッチパネルのページで紹介しています。

開発から受託生産まで一貫して対応

NISSHAでは、高い技術力と豊富な実績により、スピード感ある開発に対応します。

スマートフォンやタブレットをはじめとする電子機器業界は開発のスピードが非常に早いのが特徴です。例えば車などの場合は同じモデルが数年間続けて販売されますが、スマートフォンやタブレットでは約1年おきに新しいモデルが発売されます。またその際には新しい機能やよりレベルの高いスペックが求められます。そのため、他の業種に比べて非常に短い時間で製品開発を行う必要があります。NISSHAは、そのような開発スパンが高速で回転する業界で実力を養ってきました。

また、安定した受託生産に対応する体制も整えています。
フォトリソエッチングによる量産工程では、エッチング液の汚染やベースフィルムの寸法変化などさまざまな問題が起こります。そのためNISSHAでは、試作だけでなく実際に生産ラインを動かしながら量産に向けての入念なチェックを行っています。このような経験とノウハウの蓄積により、現在ではさまざまなお客様のご要望にお応えする品質と生産量を確保しています。

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