方式別タッチパネル紹介

タッチパネルは、モバイル端末ディスプレイや産業用HMI、ハンディターミナル、車載CID、ATMなど、さまざまな製品のユーザーインターフェースとして使用されています。タッチパネルに使用されるセンサーには、対象製品の仕様や用途に応じて様々な方式が有ります。

タッチ方式 投影型静電容量方式
(PCAP)
表面型静電容量方式
(Capacitive)
抵抗膜方式
(RT)
長所
  • マルチタッチが可能
  • 軽いタッチにも反応
  • 油、水滴などの汚染に強い
  • フレキシブル化が可能
  • 構造がシンプル
  • 水滴などの異物による誤動作が少ない
  • 低コスト
  • 指や導体でなくても反応する。
  • 他方式に比べて安価
短所
  • 強電流ノイズの影響を受けやすい
  • ペンや手袋による入力が困難
  • 1点検出のみ
  • 強電流ノイズの影響を受けやすい
  • ペンや手袋による入力が困難
  • フィルムを積層した構造で打鍵、擦傷
      の耐久性に弱点がある
  • 多点検出は困難
  • 他方式に比べて光線透過率が低い
タッチ方式 超音波
表面弾性波方式
(SAW)
投影型赤外線方式
(PIT)
赤外線カメラ方式
(IR)
長所
  • 透明電極不要で透過率が高い
  • ガラス1枚の構造なので耐久性が高い
  • マルチタッチが可能
  • ペン入力可能
  • 透明電極が不要で透過率が高い
  • 透明電極が不要で透過率が高い
短所
  • マルチタッチは2点まで
  • 雨や埃など屋外環境ノイズに弱い
  • 軽いタッチには反応しない
  • フレキシブルには対応できない
  • LEDが必要で構造が厚くなる
  • フレキシブルには対応できない
  • 虫、埃など異物にも反応する
  • LEDが必要で構造が厚くなる
  • フレキシブルには対応できない
  • 虫、埃など異物にも反応する

ここから、各方式の検出原理と特長を紹介していきます。

基本原理

静電容量方式は、指とタッチパネルの間に発生する、数pFの微弱な静電容量の変化を捉えることで、タッチした位置を把握する方式です。指が近づくことで静電容量の変化が起きるので、接触する直前でも位置を検知することが可能です。手袋などの静電容量の変化を妨げる干渉物があると、操作不良が起こりやすくなりますが、近年はコントローラーICの調整により、手袋をつけたままでの入力が可能な静電容量方式タッチパネルも紹介されています。投影型と表面型の2種類があります。

投影型静電容量方式

投影型静電容量方式は、XY方向にマトリックス状に電極が形成されて、X方向、Y方向の電極の静電容量の変化を捉えることでタッチした位置を検出します。一般的な構造は、基材の上にX、Y方向にそれぞれ対応した透明電極を重ねて貼り合わせ、表面にガラスやプラスチックの絶縁体となる透明なカバーを貼り合わせることで作られます。スマートフォンやタブレット端末など、小型のタッチディスプレイで多く使われています。2点以上の接触を同時に感知できる、マルチタッチに対応しています。

長所

マルチタッチが可能
軽いタッチにも反応
油、水滴などの汚染に強い
フレキシブル化が可能

短所

強電流ノイズの影響を受けやすいペンや手袋による入力が困難

表面型静電容量方式

表面型静電容量方式は、ガラス基板の上に形成された透明な電極膜の上にカバーを乗せ、4隅に電極が設けて作られます。表面に微弱な電界を発生させて、4隅の電極で静電容量の変化を捉えることで、タッチした位置が検出されます。構造がシンプルで低コストでの製造が可能なので、大画面のタッチパネルに多く使われます。構造上、2点以上の接触を同時に感知することができません。

長所

構造がシンプル
水滴などの異物による誤動作が少ない
低コスト

短所

1点検出のみ
強電流ノイズの影響を受けやすい
ペンや手袋による入力が困難

抵抗膜方式

基本原理

抵抗膜方式は、2枚の透明電極が接触するときの導通を検出して、タッチした位置を把握する方式です。透明な電極膜の間にわずかに隙間を設け、タッチすることで電極が押されて電極同士が接触。電気が流れることで起こる電圧の変化を検出して位置を把握します。

抵抗膜方式は、1980年代に登場したタッチパネルの方式で、感圧式などとも呼ばれ、小型、中型のタッチパネルに今も広く用いられています。構造がシンプルで低コストで製造ができ、フィルムでカバーされるので水滴や汚れなどにも強く、手袋をしていても操作が可能です。
2枚の透明電極の間にスペーサーで間隙を設けた構造のセンサーで、光の透過性が下がる傾向があります。また、透明電極として使われるITOの電気抵抗が比較的高いため、パネルのサイズが大きくなると検出精度が下がることに注意が必要です。

長所

マルチタッチが可能
軽いタッチにも反応
油、水滴などの汚染に強い
フレキシブル化が可能

短所

フィルムを積層した構造で打鍵、擦傷 の耐久性に弱点がある
多点検出は困難
他方式に比べて光線透過率が低い

超音波表面弾性波方式(SAW)

基本原理

超音波表面弾性波方式は、パネルの表面に伝わる弾性波の減衰によりタッチした位置を把握する方式です。ガラス基板にX、Y方向から超音波表面弾性波を発信し、指などにより触れることで弾性波が吸収されて減衰します。減衰した座標を計算することでタッチした位置を把握します。

超音波表面弾性波方式は、透明度が低くなる抵抗膜方式の短所を解消するため、明るく視認性が高く、耐久性の高いタッチパネルを作るために開発されました。POSやATM、キオスク端末など、公共の場で使われるタッチパネルに多く利用されています。透過率が高く、耐久性や耐傷性があり、高い安定性と長寿命を確保できます。指や手袋など超音波表面弾性波を吸収できる柔らかいものでなければ操作が行えません。また、水滴などの異物に反応しやすい特徴があります。

長所

透明電極不要で透過率が高い
ガラス1枚の構造なので耐久性が高い

短所

マルチタッチは2点まで
雨や埃など屋外環境ノイズに弱い
軽いタッチには反応しない
フレキシブルには対応できない

投影型赤外線方式(PIT)

基本原理

投影型赤外線方式は、XY方向に対に配置された、LED発光素子と受光素子の間の赤外線光が遮られることにより、タッチした位置を把握する方式です。投影型赤外線方式では、発光素子と受光素子はタッチパネルの裏側に配置され、プリズム構造によりタッチされる表面側に発信されます。

投影型赤外線方式は、XY方向に発信される赤外線でタッチされた位置を把握するので、透明電極膜が不要であり透過率が高く、パネル面に傷があっても影響を受けません。指や手袋をした手の他、ペンなどでも入力が可能であり、2点以上の接触を同時に感知するマルチタッチにも対応しています。LEDを使うため、構造的に他の方式と比べて厚みがでやすく、埃や虫などの異物に反応しやすい特長があります。

長所

マルチタッチが可能
ペン入力可能
透明電極が不要で透過率が高い

短所

LEDが必要で構造が厚くなる
フレキシブルには対応できない
虫、埃など異物にも反応する

赤外線カメラ方式(IR)

基本原理

赤外線カメラ方式は、赤外線イメージセンサーにより、タッチした位置を三角測量により把握する方式です。左右の赤外線イメージセンサーと再帰反射テープにより、タッチした指などにより遮られてできる影の座標を、三角測量により計算して求めます。

赤外線カメラ方式は、赤外線イメージセンサーで光学的に位置を把握するので、透明導電膜などが不要であり、高い透過性が得られます。指や手袋をした手、ペンなど様々なもので入力が可能です。大画面にも対応しやすく、センサー部には触れないので耐久性も高くなります。2点以上の接触を同時に感知できる、マルチタッチにも対応しています。センサー部が外に出るため厚みがあり、外からの光に影響を受けやすく、埃や虫などの異物にも反応しやすい特徴があります。

長所

透明電極が不要で透過率が高い

短所

LEDが必要で構造が厚くなる
フレキシブルには対応できない
虫、埃など異物にも反応する

用途に合わせたタッチパネルの選定を

ここまで、さまざまな方式のタッチパネルを紹介してきました。製品開発や部品調達の業務で、最適なタッチパネル選びの参考にしていただければと思います。

方式別タッチパネルの特長一覧

  投影型静電容量方式 表面型静電容量方式 抵抗膜方式 超音波表面弾性波方式 投影型赤外線方式 赤外線カメラ方式
センサーの基材 フィルム or ガラス フィルム or ガラス フィルム ガラス 光源等で構成 光源等で構成
表フレキシブル化 可能 可能 不可 不可 不可 不可
マルチタッチ 可能 不可 不可 2点まで 可能 可能
ディスプレイ画像 フィルム透過率に依存 フィルム透過率に依存 フィルム透過率に依存 良好 良好 良好
虫、浮遊物の誤検知 ない ない ない 起きやすい 起きやすい 起きやすい
水,油の誤検知 IC調整により回避可能 IC調整により回避可能 ない ない ない ない
手袋入力 IC調整により回避可能 IC調整により回避可能 可能 可能 可能 可能
ペン入力 誘電型ペンに対応 誘電型ペンに対応 可能 可能 可能 可能

NISSHAは静電容量方式タッチパネルを提供しています

NISSHAは独自の高精細加工技術により検出精度と耐久性に優れたフィルムタイプの投影型静電容量方式タッチパネルを提供しています。10.1~15.0インチの標準モジュールのほか、手袋入力や水滴下での入力、非接触入力など、要望に応じたカスタマイズにも対応します。
くわしくは製品紹介ページをご覧ください

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