遠隔操作、自動化が難しい工程
次に、依然として遠隔操作・自動化が難しいとされている工程をご紹介いたします。
ワイヤーハーネスの差し込み作業自動化
ワイヤーハーネスとは電気配線のことを指します。電気機器や家電、自動車などさまざまな機械の内部に使われています。ワイヤーハーネスは曲がりやすいため、ハンドリングが難しく、ロボットハンドで扱うには適していません。
また、人間がコネクタにワイヤーハーネスを差し込む際には、指先の触覚によって差し込み完了を検知しています。しかし、ロボットハンドではこういった触覚のような繊細な検知が難しく、自動化に至っていません。
ロボットによる遠隔操作、自動化を進めるためには、曲がりやすい製品も適切につかむ機能や、繊細な触覚を備えたロボットの技術開発が必要です。
研磨工程
研磨とは、製品の表面を滑らかに仕上げるために数μm~数十μm程度削って平らにする作業です。研磨工程によって微小な凹凸を減らせます。
研磨対象の表面が平面であればロボットによる遠隔操作や自動化も実現可能です。
しかしながら、研磨対象が曲面をもつなど複雑な形状をしている場合、力加減の調整や細やかな操作が難しいため人間の手作業が主となっています。
人の手で研磨をするときは、触覚によって微小な凹凸を判断して、力を変えるなどの制御をしています。そのため、熟練の技術者であればきれいに作業を完了できますが、経験が浅いとうまく研磨できません。
ロボットによる遠隔操作、自動化を進めるためには、人間の手の触覚と同じようなセンサーを備え、力の入れ具合などを制御できるロボットの技術開発が必要です。
食品搬送、梱包工程
食品搬送や梱包においても課題があります。
同じ動作を繰り返すロボットにとって、例えば大きさが不揃いな食品は取扱いが難しくなります。また、ブドウやバナナなどのやわらかい食品は、つぶさないようにつかまなければなりません。季節によってつかむ対象が変わることもあるでしょう。
人間が作業する際には、視覚情報で大きさや形を認識して手を広げてつかみます。また、触覚によって得られる情報から、つぶしたり落としたりしてしまわぬよう注意してつかみます。
ロボットによる遠隔操作、自動化を実現するためには、さまざまな形状に対応でき、都度適切な力でつかむことができるロボットの開発が必要です。
NISSHAの摩擦力、せん断力センサー