種類、特長、用途を知る
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透明導電膜は、金属材料と同じように導電性を持ちながら、可視光を透過する性質を持つ材料で形成された薄膜です。光を通すので外観上は透明であって、普通に見ても目視することはできません。
その一方で電気を通す性質も持っているので、ガラスやフィルム上に透明導電膜を形成することで、見た目は透明でありながら、導電性を付加することが出来ます。
この性質を利用して、スマートホンのディスプレイや、タッチパネル、電子ペーパーの画面、太陽電池の電極など、幅広い用途に用いられています。
透明導電膜を形成する方法には、半導体を製造するように、高温真空プロセス(スパッタ)で製膜する方法があります。
このほかに、インクのようにプリントできる透明導電性材料もあり、塗布することで薄膜を形成します。
インクのように扱えるので、柔らかく曲げられるフィルム上に透明な配線を描くことも可能です
透明導電膜には様々な素材が使用されます。
代表的なものの1つに、酸化インジウムに酸化スズを添加したITO(酸化インジウムスズ)が挙げられます。透明度や導電性に優れ、液晶ディスプレイやタッチパネルなど、幅広い用途に利用されてきました。
主に、電子ビーム蒸着やスパッタ蒸着により薄膜の形成が行われています。近年では、塗布によりITO薄膜の形成が行われるものもあります。
今も多く使われているITOですが、レアメタルであるインジウムは高価であり、安定供給に懸念があります。
また、形成される膜が硬く脆いため、曲面への施工や折り曲げを行うデバイスへの利用が難しいという問題もあります。
これに伴い、現在はITOに代わる透明導電性材料の開発と利用が進んでいます。以下にその例を挙げます。
AgNW(銀ナノワイヤ)は、ナノサイズの極微細な繊維状の銀フィラーです。 フィラーが微細であるため、透明樹脂の中に充填しても視認できず、高い導電性を持ちながら、外観上透明に見えます。フィルムに挟み込む、インクとしてフィルム上に塗布するなどして利用されます。ITOと比べて屈曲性に優れているので、折り畳みのできるタッチパネルやフレキシブル基盤、曲面ディスプレイなどにも使われます。
PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)は、導電性ポリマーの一種です。 導電性に優れ、薄膜を形成した際に高い透明性を持ちます。耐熱性や安定性も持つことから、ガラスやプラスチック表面の帯電防止コートや、タッチパネルやタッチセンサーの透明電極として用いられるなど、幅広い用途に用いられています。
CNT(カーボンナノチューブ)は、炭素原子がナノサイズのチューブ状に規則正しく配列された材料です。 高い導電性、熱伝導性、耐熱性を持っています。透明なフィルムを形成する際にCNTを添加したり、インク状にして薄く塗布したりすることで、透明性を持ちながら、導電性を付加することが出来ます。
これらの素材により透明導電性を付加する方法の他、透明基盤上に目視が難しいほど微細なCu配線を形成することで、透明性を付加する方法も行われています。
透明導電膜は、既にスマートホンのディスプレイやタッチパネルなど幅広く使われていますが、今後は更に用途が広がっていくことが予想されます。
例えば、これから普及が進む第5世代移動通信システム(5G)では、従来よりも高い周波数帯を利用するので、電波の届く範囲が狭くなります。
アンテナの間隔は数十メートルから数百メートル程度になるとされ、現在よりもより多くのアンテナが必要になります。これを解消するため、ビルの窓をアンテナ化して増設する方法が考えられています。しかし、窓の透明性を保つためにはアンテナに透明導電膜を用いる必要があります。
他にも、コネクティッドカーが普及すれば、車のフロントガラスを透明なディスプレイとして活用するため、透明導電膜を用いる必要が出てきます。
NISHHAのプリンテッドエレクトロニクスは、エッチングや印刷技術を応用し、さまざまな電極を透明フィルム上に形成します。
ITOをはじめ、微細加工した銅パターン、PEDOT、AgNWなど様々な透明電極の加工に対応します。
医療用電極・センサー、回路基板、ヒーター、アンテナなど、お客様のニーズに応じて試作や小ロットの生産からご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
最小加工精度10μmの微細パターンをフィルム上に形成します。
フィルムの両面に成膜したITO、Cuの積層膜を1プロセスでパターニング加工するDITOプロセスを保有しています。
最大有効露光エリア500×1,000mmのパターン加工が可能です。
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