医療機器の滅菌包装受託とは?
メリットやパートナーの選び方

医療機器の流通においては、多くの製品が無菌状態でなければなりません。万が一微生物が残留している状態で患部に接触すると、大きなトラブルに発展する可能性があるからです。製品によって材質や形状などが異なるため、滅菌や包装においては適切な包装材と滅菌方法を選ぶことが求められます。
この記事では、医療機器製造における滅菌包装について解説します。

滅菌包装とは

滅菌包装とは、医療機器を無菌状態に保ちながら、安全に保管・輸送するための技術です。医療機器は患者さまの体内・体外に直接触れるものが多いため、微生物による汚染を防がなければなりません。そのため、製品の滅菌後、使用時まで無菌状態を維持する特別な包装が必要です。
滅菌包装は、製品の特性に応じて多様な方法が用いられます。包装に使われる素材には、滅菌剤などの透過性、強度、耐久性を考慮し、製品に適したものを選びます。
また、輸送時に傷や微生物が付着してはならないため、製品の包装だけでなく専用の輸送容器を使う場合があります。

滅菌包装の種類

滅菌包装は主に「滅菌バッグ・滅菌ラップ・滅菌コンテナ」の3種類に分類されます。それぞれの仕様と特徴は、以下の通りです。

包装種類 特徴 使用用途
滅菌バッグ 紙とフィルム素材を合わせたバックをシーラーを使用してヒートシールする。滅菌バッグの紙面から滅菌剤を浸透させ滅菌する。機器によってサイズと強度を変える。 小型の医療機器
滅菌ラップ 微生物を通さず滅菌剤のみ通す不織布。機器の重量によって選ぶラップ材の厚みが異なる。 手術用器具
(セット器具の包装)
滅菌コンテナ フィルタを装着したコンテナをガスケットにより密閉状態にする。フィルタを通して浸透させた、滅菌剤により開封まで無菌状態を維持する。 重量がある手術用器具

各包装方法は、特定の滅菌方法や用途に適しており、製品の形状や使用場面に応じて最適なものを選択します。

滅菌包装のプロセス

こちらでは、滅菌包装における準備から最終検査、保管・出荷までの一連の流れを解説します。

  1. 製品の準備と事前検査
    滅菌包装プロセスの最初のステップは、製品の準備と事前検査です。この段階では、製品が滅菌剤や高圧蒸気などの熱に耐えられる状態か、製品仕様のチェックやサンプルテストの実施により検査します。また、異物混入がないか、製品に損傷がないかなどの検査を行います。
  2. 一次包装
    一次包装では、包装材により製品を直接包装します。製品の形状や用途、滅菌方法に適した包装材を使用します。包装作業はクリーンな環境で行われます。
  3. 製品の滅菌
    製品の一次包装後、滅菌作業に移ります。滅菌方法は高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)、酸化エチレンガス(EOG)滅菌、放射線滅菌、乾熱滅菌、低温ガスプラズマ滅菌、火炎滅菌など、①の結果に基づき、製品の材質や特性に応じて最適なものが選択されます。
  4. 最終検査
    滅菌後には、最終検査が行われます。不良品が発見された場合は適切な対処を行います。
  5. 保管・出荷
    最終検査に合格した製品は、無菌状態を保ったまま適切な環境で保管します。出荷時は、外的要因で微生物が入る可能性がゼロではありません。品質に問題がでないよう、温度や湿度、衝撃に対する管理を厳密に行い、無菌性を損なわないよう配慮します。

滅菌包装の外部委託

滅菌包装は自社で実施する際の手間やコストを省くため、外部へ委託する選択肢があります。ここではそのメリットについて説明します。

メリット

滅菌包装を外部委託するメリットは、主に以下の3点です。

コスト削減
自社で滅菌包装を実施するには、手間や人件費などのコストがかかります。外部委託することで、より低コストな運用が可能になる場合があります。
専門知識と技術の活用
滅菌包装には、ノウハウが必要です。特に複雑な形状の医療機器や扱いの難しい素材を使った製品に対しては高度な対応が求められるため、外部委託も有用な手段です。
高い品質管理体制
滅菌包装の受託企業には、規制や国際規格に準拠した品質管理体制を備えている企業もあります。

滅菌包装の受託企業の選び方

滅菌包装を委託する際、自社の製品や要件に合ったパートナー選びが重要です。以下のポイントを考慮して、最適な委託先を探します。

専門知識や技術の高さ

滅菌包装には高度な技術と専門知識が必要です。製品の種類に合わせて、最適な包装手段が求められます。自社に滅菌包装のノウハウがない場合、委託先に一任することは有効な手段です。専門性や技術力の高い委託先なら安心して任せられます。

実績の豊富さ

過去の実績が豊富な業者は、さまざまな医療機器に対する経験と独自のノウハウがあります。トラブルが生じた場合でも迅速に対応できるので安心です。

規制や国際規格の準拠

医療機器の滅菌包装は、衛生管理上の規制や国際規格に準拠して行われなければなりません。特に海外へ販売する医療機器の場合は、委託先のISO13485取得が必要になることがあります。受託企業の選定では、許認可の取得状況を確認します。

コミュニケーション能力の高さ

製造プロセスの外部委託では、受託企業とのコミュニケーションが不可欠です。相手の対応力やコミュニケーション能力が高いかどうかは、円滑な業務に大きく影響します。定期的なミーティングが行われるか、業務内容を文書化して共有してくれるかなど、受託企業の担当者としっかりとコミュニケーションがとれるかも重視します。

NISSHAにおける滅菌包装受託の強み

NISSHAでは、医療機器製造受託サービスや滅菌包装受託を展開し、製造から出荷までをワンストップで請け負っています。

クラス10,000のクリーンルーム完備

NISSHAは、QMS省令やISO13485に準拠した洗浄度クラス10,000のクリーンルームを完備し、厳格な衛生管理のもとで製品の包装を行います。

高度管理医療機器にも対応

NISSHAは、高度管理医療機器に求められる、高い規制要件や品質管理などの国際規格にも対応しています。世界水準の印刷・コーティング・ラミネーション・成形・パターンニング・金属加工の6つのコア技術により、多様な医療機器の製造が可能です。

製造から出荷までワンストップで対応

NISSHAでは、製造後の滅菌包装に加え、製造から出荷までの一貫したサービスを提供しています。製造・組立・検査・包装・ラベル印字・滅菌(外部委託)・検品・出荷までをワンストップで実行できます。

医療機器の滅菌包装ならNISSHAにお任せください

滅菌包装は医療機器の安全を担保する重要なプロセスです。
NISSHAでは医療機器の製造受託をワンストップで提供しており、滅菌包装もカバーすることができます。ぜひお気軽にご相談ください。
詳細に関しては「滅菌包装受託」ページをご覧ください。

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