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エッチング加工は、液体やガス状の薬品により素材表面を腐食させて目的の形状を形成する加工技術です。
銅板による版画や印刷用の版の製造にも、古くから用いられてきました。近年では、精密撮像技術等を用いたフォトエッチング加工により、配線幅が数十μm以下の微細な電気回路やIC、プリント基板、各種精密電子機器の製造などが行われています。
エッチングの基本的な原理は、金属薄膜の表面にレジストパターンを形成し、レジストで被覆されていない部分を酸やアルカリのエッチング液で腐食させて除去することで回路パターンのような目的の形状を形成します。
以下にフォトエッチングの基本的な製造工程を示します。
フォトマスクは、露光させたい部分以外を遮蔽するマスクパターンが描かれたガラス板です。
ガラス板の上に形成されたクロムなどの遮蔽用薄膜をエッチングしてマスクパターンを描画します。
電気回路用のフォトマスクでは、電子ビームなどを利用して10μmレベルの微細配線パターンが形成されます。
ベースとなる基板上に、配線などに用いる金属薄膜を形成します。
ベース基板には、ガラスやシリコンウエハーなどの他、PETやPC、COP などの薄いフィルム素材が用いられます。金属薄膜の形成は、真空蒸着やスパッタ等により行われます。
金属薄膜の上に感光膜(フォトレジスト)を形成します。
フォトレジストには液状レジストやシート状のドライフィルムなどがあり、エッチングする薄膜の種類や求められるパターンの精度などにより使い分けられます。
フォトマスクを通してフォトレジストに紫外線を照射(露光)します。
フォトレジストの露光部が変質することでマスクパターンが転写されます。
さらに現像液で不要なレジスト膜を除去することで、レジストパターンを形成します。
レジストにはネガ型とポジ型の2種類があり、ネガ型では非露光部が、ポジ型では露光部が現像液によって溶解されます。
エッチング液により、レジストパターンの覆われていない部分を除去します。気相中で行われるドライエッチングと、液相中で行われるウエットエッチングがあります。
エッチング液は、素材や希望するエッチング条件等により各種あり、最適なものを選択して使用します。
レジストを除去し、洗浄工程などを経て完成します。
NISSHAでは、ロール to ロール方式のエッチングプロセスで、高精度な電極、配線パターンの加工を行っています。
ロールフィルムを基材に使用したロール to ロールによるエッチングプロセスでは、最大500mm×1,000mmの大面積マザーシートでのエッチング加工が可能です。卓越したロール搬送技術により、高い位置精度とハイスループットを実現しています。
NISSHAのロール搬送技術は、「薄い」「割れやすい」といったハンドリングの困難な素材であっても、ロール to ロール加工による大量生産を実現してきました。
たとえば、NISSHAのタッチパネルのベース基板にはCOP(シクロオレフィンポリマー)フィルムが用いられています。
COPはガラスと遜色のない高透明な光学特性をもっており、タッチパネルのように高い視認性を求められるデバイスには最適なフィルムです。ですがその一方でCOPには非常に割れやすいというデメリットが有ります。そのため、厚さ100μm以下の薄いCOPフィルムを生産ラインに通すためにはさまざまな知恵と工夫が必要になります。
NISSHAではこのような扱いが難しいCOPフィルムの搬送を、量産実績で厚さ55um、開発品では厚さ25um まで実現しています。
そしてフィルムをただラインに通すだけでなく、精密なパターニングを実現するための高度なアライメント技術の確立にもこだわりを持っています。NISSHAのフォトエッチングプロセスでは、ITO、Cu、Niなどの各種金属およびこれらの合金において、Line/Space=10/10μmレベルの微細パターニングを実現しています。さらに、フィルムの片面だけではなく、約10um以下のアライメント精度で、両面へのフォトエッチング加工も可能です。
ITO+Cuのような積層薄膜のパターニングにも対応します。
NISSHAのフォトエッチングプロセス
薄膜のパターン形成(Line/Space =10/10µm)
両面へのフォトエッチングのイメージ
フレキシブルな透明フィルムアンテナやFPC、筐体の表面に貼り付けて組み込みができるフィルム回路、ひずみゲージ、バイオ分野での検査/分析で活用される櫛歯電極などの各種フィルムデバイスの製造において、NISSHAのロール to ロールによるエッチングプロセスを活用することで、高精密なパーツの量産が可能になります。
お客さまのさまざまな加工ニーズにお応えできますので、開発、試作、量産委託など、問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
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