大型ひずみゲージの量産に対応可能
NISSHAのエッチング加工技術

ひずみゲージは民生分野から産業分野に至るさまざまなシーンで用いられています。構造物の強度試験や劣化診断用のセンサーをはじめ、ロボット用力覚センサーや体重計のセンサーなど、その用途は多岐にわたります。強度測定レンジや測定面積は使用目的により異なるので、ひずみゲージにはたくさんの仕様のものが用意されています。しかし、中には既製品のひずみゲージでは対応できない用途もあります。

特に大型のひずみゲージは、既製品の種類もあまり多くないため、選択肢が十分ではありません。
NISSHAはフィルム基材上の薄膜エッチング加工技術によるひずみゲージのカスタマイズや量産が可能です。

求めているひずみゲージが既製品では見つからないときはNISSHAにご相談ください。

この記事では、ひずみゲージを選ぶ際のポイントとNISSHAの加工技術について紹介します。

ひずみゲージは、電気絶縁体である樹脂基材の上に抵抗線を形成し、そこに引き出し線を付けた構造になっています。抵抗線は金属箔をフォトエッチング加工し、緻密な蛇行パターンとして形成します。樹脂基材にはポリエステル、金属箔にはコンスタンタンなどの銅ニッケル合金が多く用いられます。

ひずみゲージを使ったひずみ測定では、測定対象物の表面にひずみゲージを接着し、対象物の歪みによって生じる抵抗線の抵抗値変化からひずみの大きさを測定します。

ひずみゲージの使用方法としては、ゲージ単体を測定対象物に貼り付けて測定する方法と、計測機器の部品として組み込まれる場合が有ります。単純な構造で局所的な評価が可能であり、応答性がよくデータ処理が容易な点が特長です。

ひずみゲージを選ぶ際のポイント

一般的な応力測定用のひずみゲージ以外にも、さまざまな種類のゲージが用意されています。どのような観点で選べばいいのか、ひずみゲージを選ぶ際のポイントを紹介します。

1.測定対象物の材質に応じた選び方

例えば、コンクリート用やプラスチック用、ゴム複合材料用などがあり、それぞれの材質が持つ表面の状態や変形の特長に応じて、特性が調整されたひずみゲージが販売されています。

 

2.測定時の環境に応じた選び方

高温または低温環境で用いられる場合や防水性が必要な場合、特殊なケースでは磁力に対する耐性が必要な場合もあります。また製品開発や品質管理の場面で加速耐久試験を行う場合や、意地悪条件を付加する試験などでは、特殊環境に対応したひずみゲージが必要になる可能性があるでしょう。

 

3.用途に応じた選び方

ひずみゲージは、クラック測定用、残留応力測定用のほか、大きなひずみを測定するものなど、測定用途に応じて分類されている場合があります。

また、ゲージ部の面積もひずみゲージを選ぶ際の代表的なポイントです。用途に応じて適切な大きさのひずみゲージを選定しなければなりません。

 

ひずみゲージは以上のようなポイントを考慮して選定しますが、既製品のひずみゲージでは目的に合った測定ができない場合があります。そのような場合には、目的に応じてカスタムされたひずみゲージが必要です。

ひずみゲージ加工に適したNISSHAのエッチング加工技術

ひずみゲージの性能を左右する要素の一つに、抵抗線を形成するフォトエッチング加工技術が挙げられます。NISSHAはこのエッチング加工技術に強みを持っており、それを活かしてひずみゲージのカスタム生産に対応しています。

NISSHAのCu合金エッチング技術

NISSHAは、ひずみゲージの抵抗線に用いられる銅合金の薄膜パターニング技術を保有しています。
NISSHAのエッチングラインは厚さ0.1~0.2μmのCu合金薄膜のパターニングが可能です。この膜厚は一般的な合金箔の20分の1程度の厚さなので、既成のひずみゲージよりも高抵抗な配線を形成できます。

また、ロールtoロールプロセスの生産ラインでは、500mmの広幅ロールフィルムを基材に使用できます。この技術の活用により、大型のひずみゲージの量産に対応可能です。

ひずみゲージを完成させるためには、フォトエッチングによるパターニングだけでなくモジュール加工の技術も必要です。NISSHAでは、パターニング層の絶縁被膜貼り合わせやFPC圧着加工、筐体部品との貼り合わせなどの技術も保有しています。

Cu合金の加工例(コンスタンタン)

ひずみゲージの抵抗線に用いられる銅合金の加工例として、銅55%、ニッケル45%の組成からなるコンスタンタンが挙げられます。コンスタンタンは、銅よりも抵抗率が高く、抵抗値の温度依存性が低いため、精密な抵抗値測定を求められる製品に用いられています。

NISSHAのフォトエッチング加工プロセスではコンスタンタン薄膜のパターニングが可能です。高抵抗材料であるコンスタンタンを線幅10~15μmで微細加工するこの技術は、ひずみゲージの端子間配線距離を短縮し、ゲージの狭小化に活用できます。

ひずみゲージの生産はNISSHAにご相談ください

NISSHAでは、お客さまの独自設計によるひずみゲージの生産に協力できます。特に、大型ひずみゲージの製造に対応している点はNISSHAの持つ独自性のひとつです。大面積のパターニング技術と、高精度の貼合、打ち抜き加工技術により、さまざまなモジュール形態での納品に対応しています。

また、フォトエッチング加工ならではの微細加工にも対応し、小型から大型までさまざまなサイズのひずみゲージ加工に対応しています。ひずみゲージのカスタム生産が必要な場合には、ぜひご相談ください。

お探しの記事は見つかりましたか?

こんなページも用意しています。

薄膜フィルムデバイスの量産技術

Cu合金薄膜のパターニング加工

NISSHAのOEM・受託開発

関連記事

ロボットアームに役立つ6軸力覚センサー特徴や3軸との比較を解説
製造業界では、人手不足や生産効率向上の観点から、今まで人間が担っていた手作業をロボットアームに代替さ ... もっと見る

ロボットアームに役立つ6軸力覚センサー特徴や3軸との比較を解説

フォースセンサー
モーメントセンサーとしての摩擦・せん断力センサーの活用
モーメントとは、ある点を中心に物体を回転させるはたらきの大きさのことを指します。 「力の大きさ」×「 ... もっと見る

モーメントセンサーとしての摩擦・せん断力センサーの活用

フォースセンサー
ロボットの滑り覚測定に活用できるNISSHAの摩擦・せん断センサー
滑り覚とは、物体同士の位置変化が生じる際の速度や量を表します。滑り覚の研究は、ロボット開発の分野で重 ... もっと見る

ロボットの滑り覚測定に活用できるNISSHAの摩擦・せん断センサー

フォースセンサー
把持力とは?把持力測定を活用した研究開発事例を紹介
NISSHAでは、把持力の測定に活用できる摩擦・せん断力センサーを開発しています。この記事では、把持 ... もっと見る

把持力とは?把持力測定を活用した研究開発事例を紹介

フォースセンサー
協働ロボットとは?特徴や産業用ロボットとの違いを解説
協働ロボットとは、人間と同じ空間で協働作業ができるロボットのことを指します。 消費者の趣味趣向は年々 ... もっと見る

協働ロボットとは?特徴や産業用ロボットとの違いを解説

フォースセンサー
バラ積みピッキングの自動化に貢献できるNISSHAの摩擦せん断力センサー
生産効率を上げる上で欠かせない自動化工程の一つとして、製品のピッキング作業が挙げられます。特に、バラ ... もっと見る

バラ積みピッキングの自動化に貢献できるNISSHAの摩擦せん断力センサー

フォースセンサー
触覚のメカニズムとは?圧力や凹凸、温度を感じる仕組みを解説
「触覚」はその名のとおり、ものを「触った」際に生じる感覚です。 水を触ったときに冷たさを感じたり、針 ... もっと見る

触覚のメカニズムとは?圧力や凹凸、温度を感じる仕組みを解説

フォースセンサー
座圧センサーとしての用途や活用方法を解説 ~NISSHAの摩擦・せん断力センサー~
座圧測定をする際には、一般的に垂直方向の力を測定できるセンサーを使用します。一方で、NISSHAは座 ... もっと見る

座圧センサーとしての用途や活用方法を解説 ~NISSHAの摩擦・せん断力センサー~

フォースセンサー
足圧センサーとしての用途や活用方法を解説 ~NISSHAの摩擦・せん断力センサー~
NISSHAの開発している摩擦・せん断力センサーは足圧の測定に活用できます。一般的に足圧を測定する際 ... もっと見る

足圧センサーとしての用途や活用方法を解説 ~NISSHAの摩擦・せん断力センサー~

フォースセンサー
急速に開発が進むソフトロボティクス 取り組み事例や課題を解説
「ロボット」と聞くと硬い金属でできたイメージを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 硬い材質の ... もっと見る

急速に開発が進むソフトロボティクス 取り組み事例や課題を解説

フォースセンサー
カメラを活用したロボットハンド制御 メリットデメリットを解説
産業用ロボットや搬送用ロボットなど、製品を取り扱うロボットには必ずと言っていいほど「ロボットハンド」 ... もっと見る

カメラを活用したロボットハンド制御 メリットデメリットを解説

フォースセンサー
人間が感じる触覚の評価指標と計測デバイスについて解説
5Gなどの通信技術の向上と共に、ロボットの遠隔操作のように「自分の体と同調させて操作をする」技術や、 ... もっと見る

人間が感じる触覚の評価指標と計測デバイスについて解説

遠隔操作、自動化できる工程を触覚センサーによって拡大可能に
ロボットの遠隔操作技術の進歩によって、これまで人間がやっていた作業をロボットが実施できるようになって ... もっと見る

遠隔操作、自動化できる工程を触覚センサーによって拡大可能に

フォースセンサー
摩擦・せん断力センサーを応用した入力インターフェース
NISSHAの摩擦・せん断力センサーは、「ねじる、こする、弾く」などの多様な入力を可能にする力覚検知 ... もっと見る

摩擦・せん断力センサーを応用した入力インターフェース

フォースセンサー
ロボットハンドに使われるセンサーとは? トルクセンサーなど代表的な力覚、触覚センサーを解説
指先を使って作業をするとき、人間はさまざまな感覚を使いながら動きをコントロールしています。同じような ... もっと見る

ロボットハンドに使われるセンサーとは? トルクセンサーなど代表的な力覚、触覚センサーを解説

フォースセンサー
正確な力を測るのに欠かせない! 力覚センサーに求められる特性や種類を解説!
力覚センサーは複合的に作用している力の状態を計測できるセンサーです。臨機応変な対応が求められる高度な ... もっと見る

正確な力を測るのに欠かせない! 力覚センサーに求められる特性や種類を解説!

フォースセンサー
ロボットの進化に必須! 触覚センサーの種類と原理を解説
工場などで使われている従来のロボットには、あらかじめ決められた動きやルールに従って動作する位置制御が ... もっと見る

ロボットの進化に必須! 触覚センサーの種類と原理を解説

フォースセンサー
タクタイルとは? 心地いい使用感や直感的な操作にかかせない性質
私たちの身の回りには多くの入力インターフェース(機械と人間とをつなぐ接点)があります。これらを操作す ... もっと見る

タクタイルとは? 心地いい使用感や直感的な操作にかかせない性質

フォースセンサー
摩擦力、せん断力の面内分布を測定可能!さまざまな製品の研究開発に応用できます
製造業の研究開発部門では、摩擦力、せん断力を測定したいというニーズがあります。ロードセルのように、1 ... もっと見る

摩擦力、せん断力の面内分布を測定可能!さまざまな製品の研究開発に応用できます

フォースセンサー
ロボットハンドの種類と特徴を解説、さらなる高性能化を考察
ロボットは生産、加工現場だけでなく、医療、福祉などさまざまな場面で活用されています。ロボットに求める ... もっと見る

ロボットハンドの種類と特徴を解説、さらなる高性能化を考察

フォースセンサー
面圧の測定方法とセンシングデバイスを紹介
製造業の研究、開発現場ではさまざまな特性値を測定して、技術ノウハウを蓄積しています。面圧は、摩擦力を ... もっと見る

面圧の測定方法とセンシングデバイスを紹介

フォースセンサー
注目される食品工場でのロボット利用 活用事例と導入課題の解決策を解説
食品工場では、少子高齢化の進行による人手不足対策や生産性向上、作業者の負担軽減を目的として、ロボット ... もっと見る

注目される食品工場でのロボット利用 活用事例と導入課題の解決策を解説

フォースセンサー
AR
現実とデジタル情報を融合させるxR(xReality)技術は、近年、開発と実用化が進んできました。 ... もっと見る

開発と実用化が進むxR-仮想世界で活躍するインターフェース技術を紹介

摩擦力・せん断力とは-NISSHAの摩擦・せん断力センサー技術
物体と物体が接触して動く際、その接触面には摩擦力が生じます。ネジ、ベアリング、衣服、靴、オイル……。 ... もっと見る

摩擦力・せん断力とは-NISSHAの摩擦・せん断力センサー技術

フォースセンサー
ユーザーインターフェースとは ―入力装置の今とこれからをまとめてみる
人が機械との間で情報伝達を行うユーザーインターフェースには、マウスやキーボードなど様々な種類がありま ... もっと見る

ユーザーインターフェースとは ―入力装置の今とこれからをまとめてみる

ロボットに新たな感覚を付与する、NISSHAの触覚センサー
指で押し込んだ時に感じる物の弾力。手を横に滑らせたときに感じる、ひっかかるようなザラザラとした表面の ... もっと見る

ロボットに新たな感覚を付与する、NISSHAの触覚センサー

フォースセンサー

見積り依頼/技術に関する相談

フィルムディバイス開発や量産におけるご相談はお気軽にご連絡ください

CLICK