“ずれが分かる”体圧測定センサー
用途や事例を解説

従来の体圧測定センサーでは、垂直方向の圧力(Z)を測定することに主眼が置かれてきました。しかし、それと同等に把握しておくべきなのが、水平方向に働くずれの力(せん断力、XY)です。

一般的に体圧の測定データはマットレスや車いすの開発、スポーツ工学や褥瘡対策の研究などとあらゆる場面で活用されていますが、せん断力を定量的に把握できることで多角的なメリットが生まれます。

例えばマットレス開発においては、垂直方向の圧力測定では「どこに重さがかかっているか」と体圧分散性の評価に留まっていたのが、せん断力が測定できることにより「身体とマットレスの摩擦・ずれ」まで数値化されるようになります。
これにより、リクライニング時のメカニズムを最適化して摩擦を逃がしたり、皮膚への低刺激性を追求した新しい表面素材を選定したりと、より高性能な製品開発へとお役立ていただけます。

このように、せん断力を把握することは体圧の関わる製品開発や研究において非常に効果的なアプローチとなります。

3軸、6軸力覚センサーが計測できる状態量

X・Y・Z 3軸の体圧測定データの用途

この「ずれ(せん断力)」の可視化が、具体的にどのような現場で活用されているのか、主要な用途について詳しく解説します。

低刺激・快適なベッドやマットレス開発への設計根拠に

横臥時やベッドの背上げ動作時、身体と接地面の間には必ず摩擦とずれが生じます。

メカニズムの最適化

「どちらの方向に、どれだけの力で引きずられているか」を数値化することで、ずれを吸収するリンク機構やスイング機能の有効性を客観的に証明できます。近年開発が進んでいる自動体位変換ベッドの検証や、エビデンスの取得としても効果的です。

高機能素材の選定

低反発素材やカバー生地の選定において、摩擦係数だけでなく「実際に身体にかかるせん断力」を比較検証できるため、より低刺激で高品質な製品開発が可能になります。

3軸、6軸力覚センサーが計測できる状態量

褥瘡(床ずれ)発生リスクの可視化や現場教育に

褥瘡は、垂直荷重による圧迫だけでなく、せん断力によって皮膚内部の血管が引き伸ばされ、歪むことで発生します。

「隠れたダメージ」の可視化

皮膚の表面に変化がなくても、内部組織にはせん断力による大きなストレスがかかっている場合があります。これを可視化することで、表面的な圧力分散だけでは防げなかった褥瘡の研究に活用いただけます。

看護・介護現場における教育と質の向上

言葉だけでは伝わりにくい「ずれ」の影響をリアルタイムでモニターに表示することで、スタッフの教育効果が劇的に高まります。体位変換の際、自分の手が身体に触れる角度や力の入れ方一つで、いかにせん断力が発生するかを具体化し、皮膚に負担をかけない適切な手技を直感的に習得させることが可能です。

3軸、6軸力覚センサーが計測できる状態量

車椅子のシーティング、リクライニングの適正化に

車いす利用時、特に着座やリクライニング動作においては「圧力」だけでなく「せん断力」を同時に把握したいというニーズが高まっています。

着座時やリクライニング時のずれ測定と適正化

着座の瞬間やリクライニング動作中に、身体が前方に滑り出そうとする力をリアルタイムで測定します。取得したデータを確認しながら、背もたれの角度や連動する座面の動きを微調整することで、利用者の姿勢が崩れない最適なシーティング環境の適正化が可能になります。

カスタム車いす・クッションの設計検証

個々の身体状況に合わせたカスタム車いすやクッションの開発において、その設計が真に有効かどうかを客観的なデータで検証します。「圧力が分散されているか」だけでなく「不要なずれ(せん断力)が生じていないか」を数値で確認することで、長時間の着座でも疲れにくい、高品質な製品設計をサポートします。

3軸、6軸力覚センサーが計測できる状態量

体圧測定センサーとして活用できる、NISSHAの摩擦・せん断力センサー

※ 本製品は医療機器ではありません

6軸力覚センサーが採用されるロボットの種類

NISSHAの摩擦・せん断力センサーでは、X・Y・Z 3軸での体圧測定が可能です。

3軸の力の分布を測定

センサーはフィルム上にマトリックスとして形成され、多点同時での検出が可能です。垂直方向の圧力(Z)だけでなく、摩擦せん断力(XY)の面内分布も測定することができます。

その場ですぐ測定可能

センサー・コントローラー・Viewerソフトをセットでご提供します。必要なドライバをインストールし、PCに繋げて初期設定をするだけで測定可能です。

曲げた状態で測定可能

シート状センサーのため薄くて軽く 曲げた状態でも測定が可能です。

体圧測定の事例:車いすのリクライニング

具体的な事例として、車いすのリクライニング動作における測定をご紹介いたします。

上記の測定事例では臀部に生じている圧力とずれ力(せん断力)が、リクライニングすることで緩和されている様子が見て取れます。

 

新規開発品に摩擦・せん断力センサーを用いれば、製品機能の検証や効果を示す具体的なデータとして活用することが可能なほか、既存製品に用いれば、その製品で生じている圧力課題をリアルタイムに見つけ出し、新たな機能追加や仕様開発にお役立ていただけます。


ご興味を持っていただけた方は、まずは一度お気軽にご相談ください。

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