NISSHAのロール to ロール技術を紹介
Web検索からこの記事にたどり着かれた皆さんは「ロールtoロール」という言葉を既にご存知の方も多いでしょう。
もともと印刷加工に使われていたロールtoロールプロセスは、現在では電子デバイスの製造現場でも重要な役割を果たしています。
NISSHAはロールtoロールによるデバイス製造で長年の実績を培ってきました。この記事では、NISSHAが保有するロールtoロールでのデバイス製造プロセスを紹介します。
Contents
ロールtoロールは一般的に印刷加工で用いられている技術です。
ロールtoロールの加工設備は、ロール状に巻いたプラスチックフィルム基材を印刷、コーティング、熱処理などの加工装置を備えた搬送ラインに通して、最後にライン末端の巻取りロールに巻き上げるように構成されています。
従来は文字や絵柄の印刷に使われてきた技術ですが、最近は電子デバイスの生産技術としても活躍しています
液晶ディスプレイやタッチパネル用の透明電極、フィルム状のセンサーデバイスやヒーター、アンテナなど、薄さや軽さが求められる様々な製品に使用されるフィルムデバイスの生産にロールtoロールの生産設備が用いられています。
ロールtoロールプロセスでは、通常の樹脂基板やガラス基板、シリコンウエハーのような枚葉(シートtoシート)での生産プロセスよりも高速で大量に生産することが可能であり、低コストでの生産が可能となります。
また、ロールtoロールプロセスで使用するフィルム基材には厚さ10〜150μmと非常に薄くて軽いPET、COP、PC、PIなどの樹脂素材が用いられます。そのためにロールtoロールで製造されるフィルムデバイスは柔軟性があり、素材に応じて透明性、耐熱性、破断耐性、耐薬品性などの機能も備えています。
今後フィルムデバイスの使用範囲はさらに広がることが予想され、ロールtoロールは非常に重要な生産技術のひとつとなってきます。
ここからはNISSHAが所有するロールtoロール方式によるフィルムデバイス生産プロセスを紹介します。
NISSHAでは、COP フィルムのような非常に割れやすく扱いが難しいフィルム材料の搬送において、量産実績では厚さ55um、開発品では厚さ30um のベースフィルムを扱った実績があります。
NISSHAのロール搬送技術は、「薄い」「割れやすい」といったハンドリングの困難な素材のロール to ロールによる加工にも対応可能です。
導電材料をパターニング加工して、電子デバイスを構成するセンサー電極や配線パターン、絶縁膜などをベースフィルム上に形成します。NISSHAのパターニングプロセスは、フォトエッチングとスクリーン印刷のふたつのプロセスがメインになります。
フォトエッチングではベースフィルムの表面に形成した金属薄膜をパターニングします。
金属薄膜の上にレジスト膜を形成し、目的とする回路形状のフォトマスクを通して露光硬化した後、酸やアルカリのエッチング液で未硬化のレジストを溶解除去することで回路パターンを形成します。
エッチングプロセスは、主にITO、Cu、Ni、その他合金および絶縁膜のパターニングに用いられます。NISSHAのロール to ロールによるフォトエッチングプロセスは、フィルム両面へのパターニング、ITOとCuの1プロセスでの同時パターニング、最大500mm×1,000mmの大面積フォトマスクを使用するエッチング加工が可能なことなどの特長を持っています。Line/Space =10/10μmの細線形成が可能です。
スクリーン印刷は、Ag、カーボン、PEDOTなどの導電ペーストを用いたパターニングに使用します。スクリーン印刷で形成できるLine/Space は50/50μm程度とフォトエッチングほどの細線加工は難しいですが、ペースト化されたものであれば金属以外のさまざまな材料のパターニングにも対応できるところに利点があります。最大500mm×500mmのスクリーンサイズに対応しています。
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パターニングを行ったフィルムに絶縁膜や偏光膜などの光学機能膜、その他の機能性フィルム材を貼り合わせます。
これにより、耐久性の向上や電気的絶縁形成、光学的機能などが付与されます。
貼合加工にはフィルムと粘着剤(OCA)の間に気泡が入ってしまい外観不良となる問題がつきまといます。NISSHAでは加工条件を徹底的に見直すことで気泡による不良を無くしています。
また、貼合時の位置精度の確保にも細心の注意を払っています。
パターニング、機能性膜貼合後に、高寸法精度でのダイカットにより個々のフィルムデバイスに切り分けます。
ロールtoロールのプロセスでは熱処理の工程が多用されるため、ベースフィルムは熱による収縮延伸を起こします。
そのため、パターニングした回路の寸法精度を管理するためには様々な工夫が必要です。
NISSHAでは、ベースフィルムの耐熱性の改良や、搬送するフィルムにかけるテンションを厳密にコントロールするなどのいくつもの改善対策を施すことで、打抜き位置精度±150umでのダイカット加工を実現しています。COPのような割れやすく扱いにくいフィルム基材の打抜きにも実績があります。
ロール基材から個片にカットされたフィルムデバイスへは、取出し配線となるFPCが圧着されます。
フォトエッチングで両面パターニングを実現しているNISSHAは、FPCの圧着についても片面、両面、上下からの挟み込みといったさまざまな圧着加工に対応する設備を所有しています。
片面
両面
上下フィルム挟み込み
NISSHAではフィルムデバイスの製造だけでなくプラスチック成形加工も手掛けています。
この成形加工技術との組み合わせにより、曲面形状を有するカバーパーツや大型のプラスチック成型品などの特殊なパーツへのフィルムデバイスの貼合加工にも対応しています。
NISSHAは、ガラス平板との貼合から大型成形品への組み込みまで、タッチパネルやフォースセンサー、ヒーターなどのフィルムデバイスをモジュール部品の状態まで加工する技術を備えています。
NISSHAのロールtoロールによるフィルムデバイスの加工技術は、薄く、軽い、高精密なパーツの量産を可能にします。
フレキシブルな透明フィルムアンテナや透明フィルムヒーター、タッチパネル、表面実装用のフィルム回路、ひずみゲージ、検査/分析などに使用する櫛歯電極など。各種フィルムデバイスの製造に活用できます。
お客さまのさまざまな加工ニーズにお応えできますので、開発、試作、量産委託など、問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
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