正確な力を測るのに欠かせない!
力覚センサーに求められる特性や種類を解説!

力覚センサーは複合的に作用している力の状態を計測できるセンサーです。臨機応変な対応が求められる高度な作業をロボットに行わせる場合などに必要不可欠なものです。現在力覚センサーには様々な種類のものが用いられています。今回は力覚センサーに求められる特性と代表的な方式について解説します。

力覚センサーとは

力覚センサーとは複数の向きに作用する力やトルクの大きさをリアルタイムに計測することのできるセンサーです。従来は「ロードセル」という一方向の力の大きさを計測できるセンサーがあり、広く使われてきました。しかし複雑な動きを分析したり、高度な作業をロボットに行わせたりするためのセンサーとしては情報量に乏しいものでした。

そこで3軸や6軸といった、複合的な力の状態をリアルタイムに計測できる力覚センサーが求められるようになりました。現在では様々な計測原理と特徴をもった力覚センサーが使われています。

3軸、6軸とは

力覚センサーには一般的に3軸、6軸という2つの対応があります。

6軸力覚センサーとはX、Y、Zの三方向の力(Fx、Fy、Fz)と各軸まわりのトルク(Mx、My、Mz)を計測できるセンサーです。負荷の状態をすべて把握することができ、力覚センサーとしては一般的なものになっています。

しかし用途によっては6軸すべての情報は不要な場合もあります。計測する軸を減らすことで小型化やコスト低減につながるため、3軸力覚センサーも開発、使用されています。

3軸力覚センサーに関してはXYZの三方向の力のみ対応できるものが多いですが、中にはX、Y軸回りのトルク(Mx、My)とZ方向の力(Fz)で3軸としているセンサーもあります。ロボットの手首などに取り付けることを考えると、このような構成の方が使い勝手がいいこともあります。

力覚センサーに求められる特性

力覚センサーに求められる特性には様々なものがあります。

精度

力やトルクが長時間繰り返し負荷されても、絶対値として正しく計測されることが求められます。また温度や加速度などの周辺環境の変化に対しても、それらを補正する機構が求められます。

 

応答性

瞬間的な力やトルクの入力に対しても遅れが少なく、正しい値を瞬時に捉えられることが求められます。

 

剛性

計測する力やトルクはセンサーに全て加わることになります。このため、例えばロボットハンドの場合、力覚センサーの剛性が低いと掴んだものがしっかりと保持されないなどの不都合が生じます。特に微小な力に対してのセンサー感度を上げようとすると、剛性はトレードオフで低下することが多いため注意が必要です。一方で用途によっては問題にならない、むしろ柔らかいほうがいいこともあります。

 

ダイナミックレンジ

ダイナミックレンジとは捉えられる力やトルクの最小から最大の幅のことを指します。微小な力から強大な力まで精度良く捉えられることが望ましいですが、一般的にはトレードオフになるため、より重要度が高いレンジにフォーカスすることになります。

 

搭載性

力覚センサーは限られた空間に搭載することも多いためなるべく小型であることが求められます。またロボットの腕部など可動部に搭載されることもあることから、慣性を減らすために軽量であることも重要です。

 

耐久性

計測する力やトルクはセンサーに全て加わります。このため力覚センサーにもその力に対しての耐久性が求められます。

 

耐環境性

用途によっては厳しい温度や湿度、振動や電磁波に曝されるため、そういった環境に耐えられる必要があります。

 

コスト

製品全体の価格を下げるため、センサーの価格も低い方が望ましいです。

 

多点化

多くの力覚センサーはある一点に加わる力とトルクを計測できます。しかし用途によってはある計測領域での状態を多点的、面的に捉えたい場合があります。

方式別力覚センサーの紹介と比較

※当社調べ

電気抵抗式(ひずみゲージ式)

物体に力が加わった際にその物体の電気抵抗値が一定の関係で変化する原理を用いて力の大きさを検出する方式です。従来からロードセルに使用されてきたひずみゲージを使うものが多いです。ひずみゲージとは微細なジグザグ状の電気回路を持ったフィルムです。
この回路が力を受けて引き伸ばされると抵抗値は増大します。ひずみゲージはセンサー内部の積極的に力を受ける箇所(起歪体)に接着され、力に応じて一緒に伸縮します。これを「ひずみゲージを通る電圧変化」として捉え、アンプで増幅し比較的大きな電圧変化に変換して読み取っています。力覚センサーとして最も一般的ですが、小型化に限界がある、多点化はできないなどの欠点もあります。

静電容量式

力が加わった際に一定の関係で静電容量が変化する構造を利用し力の大きさを検出する方式です。原理は電子部品のコンデンサーと同じです。
2つの平行に対面させた導体間に電圧を加えると電荷が蓄えられますが、これを静電容量とよびます。静電容量は導体同士の距離に寄って変化するので、力の大きさに応じて導体間の距離が変わる構造を設けて力の大きさを求めています。構造が比較的簡単であり、さらにフィルム状に小型化を行ったり多点化をすることが可能です。

圧電式

力が加わった際に電圧を発生させる圧電素子を用いて力の大きさを検出する方式です。水晶やPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)などは圧力を加えることで電気分極が発生し、表面に電圧が生じる圧電効果(ピエゾ効果)をもっています。

ライターやガスコンロなど、カチッという音と共に火花を飛ばす製品がありますが、これも圧電効果を使ったものです。カチッという音は圧電素子をハンマーで叩くことで鳴っています。この原理をセンサーに応用し、発生した電圧の高さを計測することで力の大きさを求めることができます。他の方式と比較して剛性を高くでき、ダイナミックレンジも広い特徴がありますが多点化はできません。

光学式

力が加わる箇所に模様をプリントしておき、模様の変化を光学センサーで検出して力の大きさを求める方式です。他の方式と比べ原理上センサー内部に複雑な回路が不要で、耐環境性やダイナミックレンジが広いことが特徴ですが、感度や剛性は低いことが多いです。

NISSHAの力覚センサー

NISSHAの力覚センサーは従来の方式とは一線を画すユニークなセンサーです。

他の方式のように一点での力の状態を計測するのではなく、フィルム状のセンサー表面に生じる3軸方向の力を多点的に計測が可能です。特にその搭載性は非常に優れており、フィルムの厚さはわずか1mm以下。容易に変形し曲面などにも柔軟にフィットします。

力の大きさのみを計測する3軸センサーですが、面での計測が可能なため、多点での結果を元にソフトウェア処理によるトルクの状態などの検出が可能になります。従来の力覚センサーに替わるものとなるだけでなく、これまでにない新たなアプリケーションへの適用も期待されています。

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