力覚センサーとは
力覚センサーは力(圧力)やトルクの大きさ、向きを検出することのできるセンサーです。触覚センサーの基本となるもので、ロボットハンドで物を掴んでいる状態を検出したりロボットが行っている作業の状況を把握したりすることができます。ここからは、さまざまな方式の力覚センサーを紹介します。
電気抵抗式
力が加わった際に一定の関係で電気抵抗値が変化する物体を用いて力の大きさを検出する方式です。ひずみゲージを用いたロードセルが代表例です。抵抗値の変化は非常に微小ですが、アンプで増幅して比較的大きな電圧変化に変換し読み取ります。ロードセルは単軸方向の力の大きさのみ検出できますが、近年では3軸方向とその軸回りのトルクも測ることのできる6軸力覚センサーなどが利用されています。
ひずみゲージ以外では感圧導電性ゴムを使う方法があります。基材であるゴムの中に導電材を分散させた構造で、力によって変形するようになっています。変形すると導電材同士の接触量が増し、電気抵抗値も変化するため力の大きさを求めることができます。いずれの方法も回路構成やセンサー構造が簡単で耐久性も高くできます。
静電容量式
力によって静電容量が一定の関係で変化する構造を利用し、力の大きさを検出する方式です。原理は電子部品のコンデンサーと同じです。2つの平行に対面させた導電体間に電圧を加えると電荷が蓄えられます。電荷が蓄えられる量を静電容量とよびます。静電容量は導電体同士の距離によって変化します。力の大きさに応じて導電体の距離が変わる構造を設けることで、静電容量の変化から力の大きさを求めることができます。電気抵抗式と同様に構造が簡単で小型化や多点化、多軸化が可能です。
圧電式
力が加わった際に電圧を発生させる圧電素子を用いて、力の大きさを検出する方式です。水晶やPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)などの物質は圧力を加えることで電気分極が発生し、表面に電圧が生じる圧電効果を持っています。
その特性をセンサーに応用し、力によって発生した電圧の高さを計測することで力の大きさを求めることができます。
ほかのセンサーと比べ高い剛性を持ちながら、高感度を両立させることができるのが特徴です。
光学式
力が加わる箇所に模様をプリントしておき、力による模様の変化を光学センサーで検出して力の大きさを求める方式です。事前にどのような力が加わると模様がどう変化するのか、関係性を明らかにしておく必要があります。ほかの方式と比べセンサー内部に複雑な回路が不要で、耐環境性が高いことが特徴です。