製造業の研究開発部門では、摩擦力、せん断力を測定したいというニーズがあります。ロードセルのように、1軸または3軸で荷重測定するセンサーは広く使われている一方、摩擦力、せん断力を測定できるセンサーについてはそこまで広く認知されていません。
NISSHAは、シート状の摩擦力、せん断力センサーを提供できます。1点測定ではなく、多点測定が可能なため、分布を数値化できます。また、シート状のため、形状自由度が高く、狭い場所や曲面であっても測定できます。
今回は、NISSHAの摩擦力、せん断力センサーの特徴、面内分布を測定できるメリットや応用例を紹介します。
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摩擦力とは、面に置かれた物体を動かすときに、対抗する方向に働く力です。物体と面の接触面にかかります。
せん断力とは、物体の内部が切断するように、外からかける力のことです。物体の内部に発生する力はせん断応力といいます。
摩擦力、せん断力センサーは、シートに接触している物体にかかる荷重Fx,Fyを測定できます。また、鉛直方向の荷重Fzを測定でき、面圧に換算できます。
摩擦力、せん断力は方向によってプラスとマイナスの値で測定されます。フィルムの厚さは1㎜以下で、簡単に変形し、大きさのカスタマイズも可能です。ロボットハンドの先端など、小さな曲面部にも貼ることができます。
センサーシートの上に別の材質のシートを設置することも可能なので、摩擦係数の最適化も可能です。
摩擦力、せん断力センサーは、多点測定が可能なので分布を測定できます。面内分布を測定することで摩擦力の偏差を可視化し、すべりやすい箇所を特定できます。
製造業の加工、組み立て工程では、摩擦力分布や面圧分布を特性値として管理することで、歩留まり改善や生産性向上に役立つでしょう。
摩擦力、せん断力センサーは対象物にかかる荷重と分布を高精度に測定できます。人間が手に感じる感覚を数値化して触覚センサーとして応用することで、人がやっている作業を自動化できる可能性があります。
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摩擦力、せん断力センサーをさまざまな製品の研究開発に応用できます。
摩擦力、せん断力センサーをタイヤの下に敷いて分布を測定できます。静止状態はもちろんのこと、タイヤが通過するときの摩擦力や、停止状態でタイヤをひねった時の摩擦力も測定可能です。タイヤと地面の接触面内でのすべりやすさを特性値として測定可能です。
測定の様子の動画はこちらからご覧いただけます。
自動車メーカーでは、摩擦力、せん断力センサーの応用方法について検討しています。
ロボットハンドは、物をつかんで挟む場合、すべり落ちないように挟む力の制御が必要です。従来は関節部のトルクセンサで圧力を予測して把持力を制御していました。また、カメラによって対象物の位置を特定してロボットハンドで把持していました。
摩擦力、せん断力センサーはロボットハンドの先端に設置可能で、対象物にかかる摩擦力やせん断力、圧力の分布や時間変化を測定できます。リアルタイムの荷重フィードバックが可能となり、把持力の制御に応用できます。
例えば、工場のラインなどで全く同じ形状の対象物を繰り返しつかむ場合には、一定の把持力で制御をすればいいです。しかしながら、形状や重さが異なる対象物をつかむ場合には、一定の把持力では落としてしまう可能性があります。摩擦力、せん断力センサーは分布を測定できるので、対象物の位置を特定できます。対象物をつかんだ瞬間にすべり落ちそうになって位置がずれた場合には、把持力を強くして落とさないようにするなどの制御が可能です。
研磨工程は人の手で実施される場合が多いです。なぜなら微小な凹凸や段差などの表面性状は、人の手の感覚で検知して磨く強さや速さを制御しているためです。 摩擦力、せん断力センサーを研磨装置に適用すると、微小な凹凸があった場合に面圧や摩擦力のばらつきを数値化できます。荷重が高い部分は強く磨くなどの制御が可能となり、自動化できる可能性があります。
製造業の生産ラインでは、ネジ締め作業を自動化する場合が増えています。摩擦力、せん断力センサーを応用することで、組み立て品質のバラツキが少ないネジ締め自動化を実現できる可能性があります。 ネジの締め付けはトルクだけではなく、軸方向にもある程度の荷重をかけなければなりません。それぞれの力を可視化するために、自動化装置にセンサーを設置してトルクと軸方向の荷重を同時に測定して制御できます。
摩擦力、せん断力センサーをベッドのシーツや敷布団に応用して、床ずれ(褥瘡)という皮膚障害の予防に役に立てることが可能です。床ずれ(褥瘡)とは、体の同じ部分が長時間圧迫されたり、摩擦力がかかり続けることで、皮膚や、皮下組織に酸素がいかなくなり細胞が死んでしまった状態になることです。 センサーの測定結果から長時間摩擦力や面圧が集中している場合には、医療従事者が患者の態勢を変えるなどの対応を行えます。態勢を変えた後に、力がきちんと分散したかどうかモニターでわかるため、より正確な対処が可能です。
摩擦力、せん断力センサーは、プリンターや印刷機などの紙送り機構の開発にも活用できます。 紙や布などのメディアを搬送する場合、ローラー同士で挟んで搬送します。メディアとローラーの間ですべりが発生すると、送り量や速度がばらつきます。メディアに対してローラーの力を正しく伝えるために、接触面に摩擦力や圧力のムラがないか確認しなければなりません。例えば、強度がたりなくて中央部がたわんでしまう場合には、摩擦力は中央部分だけ小さくなります。摩擦力、せん断力センサーをローラー間に挟んで測定することで、正しい検証ができます。
摩擦力、せん断力の面内分布測定は、1点だけを測定するよりもメリットが多くあります。面内分布を測定することでセンサーから得られる情報が増え、より正確で緻密な力覚コントロールができます。NISSHAの摩擦・せん断力センサーは多点測定が可能なシート状センサーなので面内分布測定に適しています。大きさ、形状、荷重範囲など、お客様のさまざまなニーズに合わせてカスタマイズ可能です。興味をお持ちの方はぜひお気軽にお問合せください。
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